表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
神々の世界の章
200/211

天界の城へ

「なるほど・・・これは凄いな・・・」


 神船ファルマチュールの操船を任されたジークフリートは、ようやくコツのようなものを掴んでいた。とはいえ、それはジークフリート自身の能力によるものではなく、ファルマチュールの魔導頭脳からフィードバックされた感覚をそのまま使用しているだけなのだが。


「自分の肉体が、そのまま船になったような感覚だな。指先にいたるまでファルマチュールそのものになったようだ」


 ファルマチュールは、ジークフリートの思う通りに動いてくれる。巨大な船体が、自分の思うままに動かせるのは、ジークフリートを高揚させるに十分な出来事であった。


「これは凄いぞ!ファルマチュール!」

『お褒めに預かり光栄です』


 自らの横を、並走して飛ぶ天使が笑顔を浮かべて答えるが、ジークフリートはファルマチュールの操船に夢中でそれどころではなかった。

 しかし、その空間の中に、突如、ブリュンヒルデの顔が出現した。


「うおっ!?」

「主殿。お楽しみの最中だろうが、リンドブルムにも、ファルマチュールの操船を体験させてやりたいのだ」


 そういうと、魔法陣の中にリンドブルムを連れたブリュンヒルデが現れた。


「ファルマチュール!操舵手の交代だ。リンドブルムを登録してくれ」

『承知致しました。リンドブルム様、よろしくお願いします』

「こ、こちらこそよろしく頼む」


 やや緊張したリンドブルムを残し、魔法陣から出たジークフリートは、振り返って驚いた。

 外の光景はすでに消え、そこには天使の像の前で、不思議な挙動を繰り返すリンドブルムが佇んでいるだけだった。


「俺も、さっきまであんな感じだったのか」

「概ねそんな感じだったぞ。別の空間へ転送される訳ではないからな。外からは丸見えという事だな」

「そうだったのか・・・」


 先程までの高揚感は、羞恥心に取って代わられた。


(これは、精神的に来るものがあるな・・・恥ずかしい!!)


 先に座席に着いていたブリュンヒルデが、ジークフリートを自分の隣に誘う。


「主殿!後は到着まで、ゆるりとされるがよい」

「ああ・・・そうだな」


 リンドブルムも、どうやら、ファルマチュールの操船を問題なく行えるようになってきたようだ。壁面に映し出された外の光景が、気持ちいいように後ろに流れていく。

 数多く存在する浮遊大陸が、大きくなっては小さくなる。その中でも、最も巨大な浮遊大陸が見えてきた。光り輝く黄金の城が、ジークフリートの目にもはっきりと視認できる距離となってきた。


「あれが、そうなのか?」


 ジークフリートに答え、ブリュンヒルデがその城を見つめながら、誇りと懐かしさをその目に湛えて、その名を口にした。


「その通り!我等の故郷ヴァーラスキャールブ、そして父、オーディン神の居城、ヴァルハラ神殿だ!」


 懐かしさに浸っているのは、ブリュンヒルデだけではなかった。


「約二千年ぶりっスか・・・長かったっスね・・・」

「ワルテ姉君(あねぎみ)と~、ルーネ姉君(あねぎみ)も~、連れて来たかったですね~」


 ゲルヒルデとヘルムヴァーテも、映し出された懐かしい自分達の生家を目に写し、感激していた。

 ヤールンサクサは、年若い戦乙女(ワルキューレ)達の様子を、微笑ましく見守っていたが、不意に、ジークフリートに向かってこう尋ねた。


「勇者殿、覚悟はよろしいかな?ここから先へ進めば、最早後戻りは出来ぬぞ」


 ヤールンサクサの眼差しには、ジークフリートの覚悟のほどを見極めよういう意思が感じられた。

 だが、ジークフリートはその目を真っ直ぐ見返して答えた。


「後戻りなど有り得ない。・・・あの日、ブリュンヒルデを封印から解き放った時から、覚悟など決まっているさ!」


 力強く答えるジークフリートの言葉に、嘘はないと見たヤールンサクサは目を閉じ、頷いた。


「これは、聞く必要のない質問であったな許されよ・・・さて、どうやら到着の様だ。行くとするか!」


 ヤールンサクサと話す内に、ファルマチュールは、ヴァーラスキャールブの前にある発着場へ到着していた。リンドブルムは既に操船を止めており、接舷はファルマチュールに任せていたらしい。音もなく到着していたファルマチュールの技術の高さに驚きつつ、ジークフリートは、勇者の資格を手に入れるため、グラズヘイムの王城へとたどり着いたのである。

 ようやく、王城へたどり着いたジークフリート一行。勇者の証とは、一体何か?(笑)

 そして、リンドブルムに待つ運命とは?

 以下次回!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ