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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
勇者降臨の章
193/211

戦いの勝者

 ニーズホッグは自分がいつ斬られたのかさえ、分かっていなかった。吠え叫ぶ者(ダイオーズ)が一瞬、輝いた所までは認識できていたが、その次の瞬間には吠え叫ぶ者(ダイオーズ)は消えていた。そして今、自分は身動きが取れないまま、空を見上げていた。呼吸をする度に、ヒュウヒュウと音が聞こえて、息苦しさを覚えた。それは、吠え叫ぶ者(ダイオーズ)によって両断された肺から、呼吸した空気が漏れる音であった。ニーズホッグがそれを理解できたのは、自分の横に転がっている自分の半身を見た時であった。


『ゴフッ!!』


 呼吸が乱れ咳き込むと同時に、ニーズホッグは大量に血を吐いた。


(こんなバカなことがあるか!!本懐も遂げられぬまま、私はここで潰えるというのか!?)


 絶望に囚われたニーズホッグに、落ちる影があった。ニーズホッグはその影の主を、ありったけの憎悪をもって睨み付けた。そこには、戦いの勝者たる吠え叫ぶ者(ダイオーズ)が悠然と立っていた。


『勝負あったようだな』


 その声には、勝者の余裕が(うかが)えた。逆上したニーズホッグは、ジークフリートに、怨嗟の言葉を投げかけた。


『確かに、この勝負はあなたの勝ちです・・・しかし、私も混沌の蛇として畏れられたもの・・・我が血は千年かけようと、大地を侵食し・・・グランネイドルを壊滅させるでしょう・・・ククク・・・最後に笑うのは、私です・・・!』


 血を吐き出しながら語るニーズホッグに、ジークフリートは己が炎の魔剣(グラム)を掲げて見せた。


『俺の剣は、炎の属性を持つ魔剣でな・・・敵の肉体を焼き切ることが可能だ。自分の半身を見てみろ、未だに血は流れ出していないぞ』


 その言葉に、ニーズホッグは慌てて両断された自分の半身を見た。そこにはジークフリートの言った通り、血が一滴も流れ出ていない体があった。


『だが、聞いてしまった以上、後顧の憂いは断たせて貰う』


 そう言うと、ジークフリートは吠え叫ぶ者(ダイオーズ)を飛び立たせた。最高速に達した吠え叫ぶ者(ダイオーズ)が旋回を始める。それは瞬く間に、炎の竜巻と化してゆく。


龍牙旋風(ドラゴンツイスター)!!!』


 その竜巻に、巻き込まれたニーズホッグは、天高く宙へ舞い上げられていった。


『グアアアアア!!何という力だ!!これが、魔導巨神(デウス・エクスマキナ)!?』


 まるで風に舞う木の葉のように、竜巻の起こす乱気流に乗って、ニーズホッグの巨体がどこまでも舞い上げられていく。雲を突き抜け、成層圏に達したところで、ようやく上昇が収まった。眩い太陽が照らし出す世界の姿に、死が迫ったニーズホッグはつかの間の安らぎを得た。その視界の端に、キラリと輝くものがあった。それは、エキドナから託された念話水晶(テレパスクリスタル)であった。ニーズホッグは、最後の力を振り絞り、念話水晶(テレパスクリスタル)に、唯一残った右腕を伸ばした。



『ヴィー!!準備はいいか!?』

『こちらは、いつでも全開で行けるぞ!!ご主人(マスター)!!』


 吹き上げた炎が金色(こんじき)に染まり、ジークフリートの闘気に呼応するように、炎の魔剣(グラム)の魔力が増大していく。

 それは、ジークフリートとヴィーの二つの力が合わさって発動する神技(ゴッドアーツ)


『『煉獄天衝インフェルノブラスター!!!!』』


 二人の声が重なり、天に轟いた。炎の魔剣(グラム)が一際輝き、その刀身から巨大な炎の竜が顕現する。そして、炎の竜は閃光となって、重力に引かれて落下するニーズホッグに襲い掛かった。灼熱の炎の閃光がニーズホッグを焼き尽くしていく。その煉獄の中で、ニーズホッグは最期の断末魔を上げた。


『我等が民!!蛇神族に栄光あれーーーーーーー!!!!!』


 炎の竜は、ニーズホッグのみならず、その蛇神鎧(スキュレイ)までも消滅させた。それは、光の粒子となって吠え叫ぶ者(ダイオーズ)に降り注いだ。


 その光景は、遥か大地の下、グランネイドルにおいても、ブリュンヒルデの至宝、天空の瞳によって投映されていた。


「勝ったぞ・・・」


 それは誰の呟きであったろうか。その小波(さざなみ)はやがて、大瀑布となり波及していく。


「やった!勝ったぞ!!勝ったんだ!!」「俺たちの勝利だ!!」「グランネイドルは救われた!!」「救世主だ!彼は、救世主だ!!」「そうだ!勇者だ!ここグランネイドルに勇者が降臨したぞ!!」「バンザーイ!!勇者様、バンザーイ!!」


 その、民達と共に、ジークフリートの戦いを見守っていたブリュンヒルデが、感慨(かんがい)深げに、微笑みながら囁いた。


「オーディンの勇者が、我等の勇者が今、誕生した」




 勇者降臨の章、これにて閉幕!

 次回から新章に突入します。いろいろ、ほったらかしにしている話もありますので、その辺りを攻めていこうと思います。

 以下次回!!


 パソコンが死にました。新品に替えて投稿、一回目!!

 予想外に使いやすい!!

 しかし、明日からまた出張である!!オラが死ぬる!!

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