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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
勇者降臨の章
188/211

吠え叫ぶ者

 ニーズホッグは、グランネイドルの市街地へと入り、尚も前進して行く。このままでは、いずれ王城へと辿り着き、宣言通りこのグランネイドルの街を消滅させるだろう。

 しかし、その圧倒的な、破壊という言葉を体現した姿を見ても、ジークフリートは、恐れを抱く事が無かった。


「おいおい・・・デビュー戦にしては、大袈裟な相手だな」

『仕方あるまい。それが、勇者の宿命というものだろう。ご主人(マスター)


 手元の炎の魔剣(グラム)から、ヴィーの緊張感の無いのんびりした声が響く。 

 その声を聞きながら、ジークフリートは不敵に笑みを洩らした。


「ルーネ!俺が奴に取り付いたら、奴ごと跳ばせるか?」


 ジークフリートは、視線をニーズホッグに向けたまま、ジークルーネに尋ねた。ジークルーネはその質問の意味を即座に理解した。


「一度だけなら・・・しかし、ご主人様お一人で相対さねばならなくなります。それでも?」


 その質問に、ジークフリートは行動で応えた。炎の魔剣(グラム)を翳し、叫んだのである。その声は、ニーズホッグのたてる破壊音の中に、やけに鮮明に轟いた。


『契約の元!!勇者ジークフリートが命じる!!来たれ!!吠え叫ぶ者(ダイオーズ)!!』


 その叫びと共に、魔導装甲(マギアームス)の胸部装甲に施された、獅子の装飾が、咆哮を上げる。それと同時に、その(あぎと)から、眩い閃光が放たれる。傍から見ていた者達には、獅子の装甲が、光を発している様に見えたことだろう。しかし、獅子の口の中には、かつて賢神ミーミルによってもたらされた魔導宝庫(マジックチェスト)が収納されており、光はそこから放たれていた。

 女神達とドゥベルグの兵士達の前で、その光が、何も存在しない空間に、人型の巨神を描き出す。光の粒子が収束し、巨神は、実体となってジークフリートの前に現れた。


 ズン!!


 巨神が、グランネイドルの地に降り立つと、大地が揺れた。そして・・・


『ウオオオオオオオオオオオオオオオン!!!』


 その叫びは、グランネイドル全土に響き渡った。


魔導巨神(デウス・エクスマキナ)・・・ご主人様、貴方は真の勇者となられたのですね」


 ジークルーネが、感慨もひとしおに、魔導巨神(デウス・エクスマキナ)を見上げる。何故なら、吠え叫ぶ者(ダイオーズ)は、彼女の父神であるオーディン神の魔導巨神(デウス・エクスマキナ)と瓜二つであったからだ。もっとも、その機体色は、オーディン神の叫ぶ者(オーズ)白銀(しろがね)色であったのに対し、ジークフリートの吠え叫ぶ者(ダイオーズ)は、黒一色に金の装飾が施されていた。神の代行者でありながら、魔神の血を引く勇者の乗る矛盾を孕んだ機体、それが、吠え叫ぶ者(ダイオーズ)であった。


「行って来る!!」


 そう言い残すと、ジークフリートは光の粒子となって消えた。吠え叫ぶ者(ダイオーズ)が、彼を取り込んだのである。


「頼んだぞ!!主殿!!」


 送り出すブリュンヒルデの声には、ジークフリートに向ける絶対的な信頼が込められていた。


『なんですか!?アレは・・・』


 ニーズホッグは、突如、光と共に出現した巨神の存在に困惑していた。ここグランネイドルは地底に造られた都市である。故に、魔導姫神(レギンレイブ)が現れることは、無いと言って良かったはずであった。となれば・・・


『まさか!!魔導巨神(デウス・エクスマキナ)だとでもいうのですか!!後少しで目的が達せられるというのに!!』


 ニーズホッグの焦りを他所に、ジークフリートの駆る吠え叫ぶ者(ダイオーズ)は、凄まじい速度で、空中を滑るように移動し、ニーズホッグへ突進してきた。両者は凄まじい音と衝撃を発して激突した。

 遂に、ジークフリートの駆る魔導巨神(デウス・エクスマキナ)が初見参しました。長かった・・・、本当はもっと早く出すつもりでしたが、何故かここまで引っ張ってしまいました。

 魔導巨神(デウス・エクスマキナ)での初戦闘に、ジークフリートは勝利することが出来るのでしょうか?(笑)

 以下次回!!

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