女神達の帰還
『たかが一人増えた所で!!』
再び斬りかかる蜥蜴人の戦士達。しかし、その攻撃がジークフリート達に届く事は無かった。
「唸れ!!雷鳴の斧槍!!」
「貫けッス!!勇気の槍!!」
ジークフリートの背後から、二つの影が躍り出る。それは、リンドブルムとゲルヒルデであった。リンドブルムの雷鳴の斧槍が振るわれると、電光が迸り蜥蜴人達を感電させ、動きを封じ、ゲルヒルデの勇気の槍が放った衝撃波が、蜥蜴人達をまとめて吹き飛ばした。
『な、なんだと!?一体どこから現れたんだい!!』
頭上を飛んでいく蜥蜴人達を目で追いながら、エキドナが驚きを露わにする。
「そこにいるのは、以前ヴィーグリーズに攻め込んできた魔神族の将ではないか?性懲りもなく、また人様の土地にちょっかいをかけに来たか!」
エキドナを認識したリンドブルムが、戦闘態勢に入るが、そこへシュベルトライテの静止の声がかかった。
「待って下さい。今はその者よりも、ブロック王とこの街を救うことが先決です。王城の方へ向かってくれませんか」
傷つきながらも、グランネイドルの救済を第一とするシュベルトライテの言葉に、リンドブルムとゲルヒルデは頷くと、すぐに走りだした。
「よくやったな!ライテ!後は私達に任しておけ!」
「ヴァーテ!ライテの回復を頼めるか?」
「お任せ下さい~『世界を貫く大樹よ~その大いなる癒しの力持て~傷つきし者を癒したまえ~完全回復~!!》』」
ブリュンヒルデと共に帰還したヘルムヴァーテの回復魔法によって、シュベルトライテの傷が塞がっていく。その光が収まる頃には、シュベルトライテは自力で立てるほどに回復した。だが、体力は回復しても、失った魔力までは元に戻らず、未だに足元はおぼつかない様だ。
その様子に、ジークフリートはエキドナに振り向くと、ゆっくりと歩き出した。その様子に、エキドナは覚悟を決めるが、その周辺を蜥蜴人の戦士達が囲む。
『エキドナ様!ここは我等に任せてお引き下さい。万全の状態ならともかく、今の状態では、本来の力が振るえぬでしょう』
『お前達はどうするつもりだい?』
『我等は死兵となってでも、奴等をくい止めますゆえ。どうか!!』
エキドナは、唇を噛んだ。確かに、今の自分では、あの剣士に対するに不利は否めない。だが、同胞を犠牲に引くことなど、彼女には出来なかった。
だが、その時、グランネイドルが大きく揺れた。爆音と共に、グランネイドルを囲む城壁の一部が粉砕され、吹き飛んだからである。
「一体なんだ!?」
ジークフリートが見上げる先で、破壊された城壁の上部から、光の球がこちらに向けて飛来してきた。それは、結界によって守られたジークルーネと、城壁の守備兵、弩弓隊の兵達であった。
「申し訳ありません!ご主人様、城壁を破られてしまいました。ニーズホッグが来ます!」
着地と同時に、ジークルーネが、ジークフリートに警告する。ジークフリートの振り返った先で、哄笑しながら城壁内部にニーズホッグが侵入してきた。
『これで、グランネイドルは終りだ!!跡形もなく破壊しつくしてくれる!!』
ニーズホッグの姿を見たエキドナは、蜥蜴人達に撤退命令を出す。
『今の内に、撤退するよ!作戦通り、後はニーズホッグに任せるよ!』
エキドナは、懐から水晶を取り出すと、それに向けて語りかけた。
『後は任せるよ!ニーズホッグ!!私達は先に撤退する!』
すると、その水晶からニーズホッグの声が応えた。
『『任せておけ!!この都市を大地の中へ還したら、必ず帰還する!!これで、本懐が遂げられるというものよ!!』』
以前、龍将フェニヤより貸与された念話水晶を使用し、撤退を告げたエキドナは、ジークフリート達がニーズホッグに気を取られている間に行動に移した。
ついに帰還したジークフリートと女神達。
しかし、ニーズホッグもついに、ジークルーネの結界を破り、グランネイドルに侵入してしまいました。この状況を、ジークフリート達は、いかに打開するのでしょうか?
以下次回!!




