表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
勇者降臨の章
186/211

帰還せし者

 エキドナの放った光の矢が集束し、赤い光の玉となった瞬間、その中心に居たシュベルトライテから閃光が迸った。赤い光が、シュベルトライテから放たれた光は、その一つ一つが、彼女の繰り出した剣戟である。

 一瞬にして、赤い光球が青い光の球へと変じる。エキドナは、何が起こったのか、分からない。しかし、凄まじい衝撃に襲われ地上へと墜落していく。ゆっくりと落ちて行く間、エキドナは、先程の衝撃が、シュベルトライテの神技(ゴットアーツ)によって引き起こされた真空衝撃波(ソニックブーム)の余波によるものだと気付いた。


(もし、こちらが遠距離からの攻撃ではなく、近接戦闘を行っている状態で、今の攻撃を受けていたら、間違いなく死んでいたね・・・)


 余波のみの衝撃とはいえ、その威力は、エキドナの蛇神鎧(スキュレイ)女胴蛇(メドーサ)を持ってしても守り切れず。エキドナの身体に、無数の手傷を負わせていた。致命傷は免れたものの、もはやこちらも、満身創痍の状態である。

 地上に激突する瞬間、最後の魔力を振り絞り、エキドナは、女胴蛇(メドーサ)に付与された技能(スキル)重羽龍亜霊(エウリュアレー)を展開させた。地上に近づくほど加速していた身体が、一瞬の浮遊感に満たされるが、それを過ぎれば、次に感じたのは、恐ろしいほどの重量感であった。


『ググッ!!』


 エキドナは、歯をくいしばり、地上への激突を防ぐ為、女胴蛇(メドーサ)に送る残った魔力を全て注ぎこんだ。その甲斐あってか、空中で体勢を立てなおしたエキドナは、無事に着地することに成功する。彼女の姿を認めた蜥蜴人(リザードマン)の戦士達が駆け付けて来た。


『エキドナ様!!ご無事で!?』

『大丈夫、と言いたいが、流石に空ッ欠だよ・・・戦乙女(ワルキューレ)の名は伊達ではないと言ったところか・・・』


 エキドナの睨みつける方向に、舞い降りて来た影がある。それは、シュベルトライテであった。しかし、彼女の顔は、血の気が全くなく、立っているのがやっとの状態であった。彼女もまた、上空から地上へ降りるまでに、その魔力を使いきっていたのである。


『でも、そっちも限界みたいだねぇ!お前達!!』


 エキドナの号令に、蜥蜴人(リザードマン)の戦士達が、一斉に腰に着けていた、幅の広い刃を持つ蛮刀(ククリ)を抜き放つ。


『今なら、お前達でも、充分、歯の立つ相手だよ!!討ち取って手柄にしな!!』


 エキドナが、手を振り翳すと同時に、蜥蜴人(リザードマン)達は、一斉にシュベルトライテ目掛けて突進した。

 シュベルトライテは、未だその心は死んでいなかったが、いかんせん血を流し過ぎた。その上、二度目の神技(ゴッドアーツ)の使用により、肉体はすでに限界に来ていた。最早、その手に持つ竜斬刀(シルドレイク)を振るうことも出来ぬまま、殺到してくる蜥蜴人(リザードマン)達を見ていることしか出来なかった。


『討ち取ったり!!ヴァルハラの魔女め!!』


 最も速くシュベルトライテの元に辿り着いた蜥蜴人(リザードマン)が、その手に持った蛮刀(ククリ)を、シュベルトライテの首筋へ叩き込んだ。


 ガキイイイイイイィン!!


 鳴り響く金属音とともに、その蛮刀(ククリ)は、弾き返された。


『なんだってぇ!?』


 エキドナは、シュベルトライテの横に突如として現れた、光り輝く人影に驚愕の声を上げた。あと一息で、永年の戦いに決着がつく、その土壇場で一体、誰が邪魔立てしたのかとその目を凝らした。

 光の先に、男が立っていた。その男は、シュベルトライテの肩に手を廻して、彼女を支えている。シュベルトライテが見上げた先には、彼女の望む存在の姿があった。


「随分と俺の女を可愛いがってくれたじゃないか!!ここからは、こっちの番だ!!倍返しじゃすまないからそう思え!!」


 黒き獅子の鎧を纏い、白銀の刃と真紅の柄をもつ(つるぎ)を構えた銀髪の戦士。ジークフリートの声が、グランネイドルの街に(とどろ)いた。

 ようやくジークフリート帰還です。一体グラズヘイムで何があったのか?

 それが、語られるのは、もう少し先です。

 以下次回!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ