青き鱗の王
ブレイザブリク城から出陣したブロック王は、ドゥベルグ達の盾の陣形に守られまるで無人の野を行くが如く、蜥蜴人の兵士達の中を突き進んでいく。
「フハハハ!!惰弱!!惰弱ゥ!!」
ブロック王は、その盾の陣形の上に立ち、飛び掛かって来る蜥蜴人の戦士達をその戦鎚で一撃の下に打倒していた。
「温い!温いわ!!貴様等では、ガルガンチュアの足元にも及ばぬ!!」
ドゥベルグの陣形が変化し、先端が楔の様になり、守る側から攻める側へと変り、ドゥベルグ達はメインストリートから、枝分かれする様に分散し始めた。
「街の住人の避難が最優先だ!!力を尽くせよ!!」
「「「「オオウ!!!!」」」」
ブロック王の命令に、鉄騎兵団の戦士達の怒号が響き渡る。そう、彼等もまた魔神族の理不尽な侵略に対し、怒り心頭だったのである。その勢いは止まらない。いや、止められない。完全武装のドゥベルグ達が、隊列を組んで、蜥蜴人を蹴散らして行く。
「脆弱な蜥蜴共に、我等の力を存分に見せてくれようぞ!!」
しかし、その言葉が終らない内に、ブロック王の前に展開していたドゥベルグの戦士達が吹き飛ばされた。
「なに!?」
崩された陣形の中から、一人の蜥蜴人が進み出る。その体に纏っているのは、他の蜥蜴人の碧の蛇神鎧と違い、海を想わせるような蒼い色の蛇神鎧である。
『脆弱とは、言ってくれるではないか!!ドゥベルグの王よ!!』
「何だと?貴様は!?」
蒼の蛇神鎧を纏った蜥蜴人は、身の丈もある程の両刃の段平を両手で構えながら、静かに名乗りをあげた。
『我が名はボティス。貴殿の首、ここで貰うとしよう』
ボティスという名に、ブロック王は聞き覚えがあった。いや、あるどころではない。もしも、彼の名が、本当にボティスと言うのなら、それは決して油断して良い相手ではない。
「まさか、かの青鱗王ボティス殿ではあるまいな!?」
その問いかけが終る前に、蜥蜴人が段平を振り翳して斬りかかった。
かろうじて戦槌で受け止めるブロック王。その戦鎚の向こうで、ボティスの蛇神鎧の口の部分が、大きく開き、そこからズラリと並んだ牙が窺えた。
『そう名乗ったこともある。しかし、今の私は、エキドナ様の配下にして、ヨルムンガルド様の僕よ』
「魔神族の尖兵に堕ちたか!!ならば、止む無し!!戦うまでよ!!」
ブロック王の魔導甲冑の刻印が、白き輝きを放つ。最大の出力で押し戻されたボティスであったが、流れに逆らうことなく、その場で一回転すると、再び段平を振るう。
『人間族と姿の似通ったお主らには理解できまい。我等の同胞は、西方においては、人間族の家畜。いや!使い捨ての労働力として扱われていたのよ。それをお救い下さった我等が神、ヨルムンガルド様に、私は全てを捧げて戦うまで!』
ボティスの段平が、流れるように、ブロック王に襲いかかる。大盾と戦鎚でその攻撃を防ぎながら、ブロック王は密かに、笑みを浮かべた。
(これは、久しく出会えなかった強敵だわい!戦士としては本望よ!)
二人の武器が、旋風を巻き起こし、戦いは、完全に両者の一騎打ちと化した。
ボティスさん、モブキャラではありませんでした!!
ヴィーグリーズの砦の襲撃で暗躍していたのも彼です。
シュベルトライテさんを置き去りに、ここでも戦闘が勃発しました。
どうなることやら・・・
以下次回!!
というところで、また出張行って来ます!!
次回更新は、金曜日以降となります。
毎回読んでくれている皆さん、ありがとうございます!!