女神乱舞
シュベルトライテは、一気にエキドナに肉薄する。だが、エキドナはこれまでと同じように、その種族特性を活かして、間合いを取り、ドゥベルグの守備兵を巻き込む形で攻撃を繰り出そうとした。そうすれば、シュベルトライテは、ドゥベルグ達を守りながら戦わねばならないからだ。
(同じことなんだよ!!女神様!!)
自らの後方で、前方の身体を操作する為に、地面にしっかりと踏ん張っている尻尾に力を込めるエキドナであったが、突然、目の前に居たシュベルトライテの姿が掻き消えた。それと同時に、エキドナの上半身に衝撃がはしった。
ズギャアアアアアン!!
金属同士のぶつかり合う音ではない。これは、エキドナの女胴蛇に衝撃波がぶつかった音だ。エキドナは慌ててシュベルトライテを捕捉しようと、周囲に注意を払うが、またしても衝撃がはしり、エキドナは大きく仰け反ることとなった。
『これは!!真空衝撃波による攻撃か!!だが、舐められては困るな!!』
エキドナは、目を閉じ、その意識を耳に集中させる。シュベルトライテの歩法術による撹乱を阻止する為、心眼による防御に頼ったのである。
「それでは、邪眼による攻撃が出来ませんよ?よろしいのですか?」
エキドナの神径を逆撫でするように、シュベルトライテの落ち着いた声が聞こえて来る。
『チッ!!』
だが、それと同時に察知した、空を切り裂く風斬り音を頼りに、自らの円月刀を構える。エキドナは、その身の内に宿す闘気を爆発させる。
『ハアッ!!』
闘気の爆発によって生じた衝撃波が、シュベルトライテの真空衝撃波を相殺させる。
「闘気による防護ですか!?そちらもなかなかやりますね。ですが、我が神技に耐えうる事が出来ますか?」
神技と聞かされて、エキドナの髪の毛が逆立った。エキドナの纏う女胴蛇であっても、神技の直撃を受ければ無事では済まされないだろう。しかし、彼女にも戦士としての誇りがあった。前大戦から続く因縁から、易々と背を向けることなどできなかったのである。
『ならば、こちらも魔技をもって迎え撃つまでだよ!!』
大きく構えを取るエキドナの前に、シュベルトライテが姿を見せる。
「いざ!!受けるがいい!!百華霊爛!!」
金色の闘気が、立ち昇りシュベルトライテの両の手が消える。それと同時に巻き起こる、百に及ぶ斬撃から放たれる真空衝撃波の嵐、それが一斉に、エキドナに襲いかかる。
『させないよ!!天鎖百蛇!!』
同じく、魔技と呼ばれる、魔神族の使う武技の中でも最強の部類に属する術が、エキドナより繰り出される。それは、刺突による攻撃!だが、それはまるで蛇のようにくねりながら進む鎖のようである。それが、シュベルトライテを押し包むように取り囲みながら殺到していく。
その魔技を迎え撃つ、シュベルトライテの神技。二人の技がぶつかり合い、城壁の上で大きな爆発を起こした。
シュベルトライテとエキドナの戦いの行方は!?
そして、未だ攻撃を続けるニーズホッグと、出陣したブロック王はどうなったのか!?
以下次回!!