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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
始まりの章
17/211

復活の女神

 ジグムント王の骨だけとなった首と胴が離れる瞬間、シグルドは、その顔に、自らの父の顔が重なった。

 

『『オオッ!!?』』


 死霊騎士(スケルトンナイト)達が、驚愕と、そして歓喜に声を上げた。ジグムント王を倒すものがついに現れた。

 それは、予言の成就を意味していたからである。


『ついに、約束の者が現れたか・・・。』


 万感の想いが、ミーメのその言葉に込められていた。


「ガハッ!ハアッハアッハアッ・・・。」


 ジグムント王によって切り裂かれた傷は、決して浅いものではなかった。

 しかし、その命に届くほどではなかった。

 養父レギンの鎧は、見事その役目を果たしたが、それだけではないとシグルドは確信していた。ジグムント王の手加減による所が大きかったのであろう。しかし、その魔導装甲(マギアームス)(コア)とも言うべき胸部の宝玉に罅が入った。シグルドの鎧は、まるで風に吹かれた砂のようにボロボロに崩れ去った。

 へし折れたシグルドの剣に嵌めこまれていた触媒の宝玉も、砂となって消えた。その場に残ったのは、真っ二つとなったシグルドの剣、そして、同じく二つに折れた魔剣ノートゥングだけであった。

 正に、薄氷の勝利と言えるものであったのだが、それよりも、ある一つの事がシグルドの頭の中を占めていた。

 

『なるほど、母親の血か・・・。』


 その声にシグルドは顔を上げた。

 そこには、霊体となったジグムント王が、存命中であった頃の姿を取り戻して立っていた。

 

「やはり!父上!!」

『見事だったぞ!我が息子ジークフリートよ!』


 その言葉に涙を流すシグルド。今やジークフリートとして立つその青年は、悔いを滲ませながら、父であるジグムント王に問うた。


「何故ですか!?父上!?何故一言(ひとこと)言ってくれなかったのですか!?」

『・・・もう僅かな時しか残されておらぬ、許してくれとは言えぬな・・・故に伝えるべきことを伝えねばならぬ!心して聞いてくれ』


 ジグムント王は、司教ミーメを見て治療を促すと、女神の封石を指差した。

 シグルドが振り向くのと、封石に罅が入るのは同時だった。


『間もなく女神が封印より解かれ、そなたは世界を救う旅へ出ねばならぬ。』


 ミーメに治癒の法術を施されながら、シグルドはその話を聞いた。


『もう思い出したであろうが、そなたは、余と余の妻ヘカーティアの間に生まれた第一皇子、つまりこの国の王位継承者だ。』


 死霊騎士(スケルトンナイト)達が、一斉に膝をついた。


『これまでの無礼をお許しください。そしてどうか我が祖国を復活させてください!』


 死霊騎士(スケルトンナイト)の一人が、そう訴えた。シグルドはそれが、先程のアルベリヒであることに気付いた。その生前の姿も、今は思い出すことが出来る。彼等は一途に祖国の為に尽くした英雄達だったのだ。


『その魔導装甲(マギアームス)は、すでに使えまい。余の黒獅子の鎧を授けよう。ミーメよ、触媒をノートゥングよりグラムに移し替えてくれ。それと、折れたとは言え、ノートゥングは王位継承のための証しだ。肌身離さず所持しておいてくれると嬉しい。』


 そこまで告げたところで、霧の空に光が射した。

 ヴィーザルの時と同じく、ジグムント王の昇天が始まったのだ。

 

「父上!せっかく再び会えたというのに!!」

『嘆くな我が息子よ!そなたの運命の旅の伴侶となる者が、永き眠りより覚める!前を向いて進むのだ!!』


 そして、ジグムント王の言葉と共に、女神の封石は砕け散った。

 

 ヒロイン復活です。話の流れ的には初登場ですが・・・。気付いた人もいるかもしれませんが、シグルド・・・シグルズはジークフリートの別名です。

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