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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
天への道の章
169/211

力の差

 気炎をあげるジークフリートに対し、ヘイムダルはその手中に一振りの剣を召喚し、クルリと一回転させると、ゆっくりと正眼に構えた。後は戦いの始まりを待つだけの二人の戦士は、そのまま互いに相手を見据えて動きを止めた。

 ヘイムダルの構えた剣が、白銀(しろがね)の輝きを放つ。触れた物を全て切り裂いてしまうような鋭い光だ。


「あの剣、相当な業物(わざもの)だな。見ているだけで、斬られてしまいそうな剣気を感じるぞ」


 リンドブルムが、その鋭い切っ先に、内包された力を感じ取り、そうこぼした。


「あの剣こそ、ヘイムダルの持つ神剣ホヴズだ!あらゆるものを切り裂く神の(つるぎ)、果たして炎の魔剣(グラム)で受け止めることが出来るのか、それすら我等には解らぬ」

「そんな・・・」


 リンドブルムの不安を他所(よそ)に、ジークフリートとヘイムダルの二人の間に進み出たのは、今回の試練の当事者であるヘルムヴァーテであった。


『では~、僭越ながら~、私が死合(デュエル)開始の合図を務めさせて頂きます~』


 ヘルムヴァーテの手が、スッと上へ伸ばされる。ジークフリートとヘイムダルの両者の間に緊張が走る。死合(デュエル)とは即ち、どちらか一方が死ぬまで戦いぬく事を指すからである。


『それでは!死合(デュエル)開始!!』


 ヘルムヴァーテは、勢いよくその手を振り下ろし、戦いの始まりを宣言した。気合いの入った澄んだ声を聞きながら、全身を炎に包んだジークフリートが、ヘイムダルに肉薄する。一気に炎竜化(ドラゴンモード)を最大出力に引き上げた。炎刃(ヒートブレード)と化した炎の魔剣(グラム)が、ヘイムダルの神剣、ホヴズに激突する。それと同時に、ジークフリートの纏っていた炎が、ヘイムダルへと殺到する。

 しかし、岩をも溶かす炎竜(ヴァルカン)の炎の中で、ヘイムダルは意にも介さず平然と立っていた。


『吾輩の金色(こんじき)の鎧、フィヨルニルは、見ての通りオリハルコンで出来ておる。この程度の炎など、涼風も同然!!』


 ヘイムダルが、ジークフリートを軽々と押し返す。ジークフリートは負けじと、再び斬りかかるが、それはあまりにも無謀であった。ジークフリートの攻撃に、ヘイムダルは半歩下がっただけで、その斬撃を躱してしまった。後に残ったのは、体勢の崩れてしまったジークフリートの隙だらけの姿である。


『ムウン!!』


 ヘイムダルの振るった剣は、容易くジークフリートの黒獅子の鎧を紙のように切り裂き、血飛沫を上げた。


「ああっ!?」


 動揺し、声を上げたのはリンドブルムである。彼女にとって、ジークフリートは今まで、越えられぬ壁であった。その彼をしてこうも簡単に手傷を負わされるなど、想像だにしていなかっ為である。もっとも、彼女の純情可憐な乙女心が、ジークフリートの危機に、敏感に反応したせいでもあったのだが・・・。


「大丈夫!まだ終っていないっスよ!」


 ゲルヒルデの言葉に、リンドブルムが目を凝らすと、浅くない傷を負わされているものの、未だ立ってヘイムダルに応戦しているジークフリートの姿があった。

 出血は相当のものであるが、ジークフリートが倒れない理由、それは彼の纏っている魔道装甲(マギアームス)、黒獅子の鎧の追加技能、全方位治癒オールマイティーヒーリングの効果による所が大きい。

 しかし、すでに魔人化し、炎竜化(ドラゴンモード)の同時使用で、ジークフリートには疲労の色が濃い。戦いは、ヘイムダルが優勢であった。


「何故・・・こうもこちらの剣の上をいかれる!?これが、神の力とでも言うつもりか!」


 ジークフリートのあせりが言葉となって口から零れる。だが、それは真実であることをヘイムダルから聞かされることとなる。


『その通りである!!これが人の持つ領域の外にある力、神通力、真・自他合一の境地トゥルー・ソード・オブ・シンパシーである!!お主も自他合一の境地ソード・オブ・シンパシーを極めし戦士であるようだが。それゆえに、吾輩に一太刀も浴びせることが出来ぬのだ!!』


 ヘイムダルの神剣ホヴズが、再びジークフリートの身体にヒットし、鮮血が白亜の通路に降り注いだ。



 ジークフリートが、ジワジワと追い詰められていきます。

 ここから、巻き返すことは出来るのでしょうか?

 ちなみに、ヘイムダルの持つ神剣ホヴズの名前の意味は、人間の()を指します。どう言う由来なのでしょうかね。

 以下次回!!

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