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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
天への道の章
168/211

虹の橋の番人

 ヘルムヴァーテの開いた虹の橋(ビフレスト)は、彼女を包み込むと、その存在を空へと連れ去って行った。だが、ヘルムヴァーテの消えた後も、虹の橋(ビフレスト)は、そこに在り続けている。その前に、ブリュンヒルデが立ち、ジークフリートに真剣な眼差しを向けた。


「主殿、ここから先へ進めば、そこには試練が待っている。しかも、その相手とは、おそらくヘイムダルだろう」


 ジークフリートは、その名に聞き覚えがあった。


虹の橋(ビフレスト)の番人、天界の守護者か・・・」

「その通りだ。彼の強さは正に神そのものだ。覚悟は良いのか?」


 ブリュンヒルデが、ジークフリートの決意がいかほどのものか問いただす。つまり、それほどの相手ということだ。


「俺の覚悟は、この旅に出た時に、すでに決まっているさ・・・だが、お前はいいのかリンドブルム?この先は何が起こるか解らない。それでも付いて来るのか?」


 リンドブルムが意外そうな顔で聞き返して来た。


「お前は、行くと言うのだろう?ならば、その婚約者たる私も行かねばなるまい!これでも、紅の戦姫と呼ばれた戦士だぞ!」


 リンドブルムがそう答えると、ゲルヒルデが後ろからその両肩に手を置き、ひょこっと顔をのぞかせ笑顔でこう告げた。


「リンちゃんが嫌々付いて来たと思っていたんスね!あれは振りっスよ主さん!」

「ゲーテ様!!」

「様もいらないっスよ。リンちゃん」

「はあ・・・」


 なにやら疲れた声を出しているが、リンドブルムの方も、問題はなさそうだ。ジークフリートは、ブリュンヒルデの横を通り過ぎ、一言だけ皆に告げた。


「行くぞ!今の俺に、立ち止まることは許されない!!」


 その言葉が終ると共に、ジークフリートは虹の橋(ビフレスト)の中へ、その身を投じた。


 

 七色の光に、目が眩んだのも一瞬である。ジークフリートは、石造りの通路の上にいた。その通路は、空中に浮かんでおり、周辺は虹色の雲海に囲まれていた。その通路の先には、ヘルムヴァーテが待っており、その背後には、先程よりも巨大な虹の橋(ビフレスト)が天空を貫いており、その麓には、巨大な石像を門の前に建てた神殿が存在していた。そして、その前に立つ、一人の戦士の姿があった。金色(こんじき)の鎧を纏ったその戦士は、ただ腕を組みじっと立っている。おそらく、あれがヘイムダルだろう。ブリュンヒルデとリンドブルム、ゲルヒルデとヴィーが追いついて来たのを確認すると、ジークフリートは、空中に浮かぶ通路を進みだした。


「ここが、天界なのか?」


 ジークフリートは、自分の前を歩くヘルムヴァーテに尋ねたが、それに答えたのはブリュンヒルデであった。


「ここは、天界の入り口、ヘイムダルの居城であるヒミョンブルグだ。我等の故郷であるグラズヘイムは、あそこに見える虹の橋(ビフレスト)を渡った先に存在する。そこに行けるかどうかは、主殿次第だろうな」


 ブリュンヒルデの話を聞きながら進んでいると、ヘイムダルの姿がはっきりと見えるようになってきた。

 だが、そこに待っていたのは、ジークフリートが想像していたものとは少し異なる存在であった。

 金色(こんじき)の、おそらくオリハルコンで造られた鎧を纏っていたのは、青銅の色の肌を持つ自動人形(オートマタ)であった。その眼窩に眼球は存在せず、緑色の光が灯っており、鎧の隙間から見えるのは、機械で造られた腕であり、むき出しになった腹部は、蛇腹状の装甲の隙間から歯車の様な装置がちらちらと見えている。それが、虹の橋(ビフレスト)の守護者ヘイムダルであった。

 その、機械仕掛けの神は、ジークフリート達の姿を認めると、顔を上げ鋼で出来た唇から言葉を発した。


『よくぞ来られたな、オーディン神の姫君達。そして、彼女等に認めらし勇者よ。吾輩(わがはい)の名はヘイムダルという。戦乙女(ワルキューレ)の試練のことは知っている。戦う覚悟があるなら名乗るがよい』


 機械とは思えない流暢な言葉使いであるというのが、ヘイムダルの最初の印象であった。ジークフリートは進み出ると、ヘイムダルに対し、騎士の礼をとり名乗りを上げた。


「我が名は、ジークフリート!この試練に打ち勝ち、必ず未来を掴み取って見せましょう!!」


 ジークフリートは、天へと手を振り上げ、炎の魔剣(グラム)をその手に召喚する。


『我が元に来たれ!炎の魔剣(グラム)よ!!』

『応!!』


 ヴィーは魔剣に姿を変えると、凄まじい炎を噴き上げた。

 はい!ようやくヘイムダルが出ました。

 ここから、いかなる闘いが繰り広げられるのか!?

 立ち塞がる試練に、ジークフリートは勝利することが出来るのか!?

 以下次回!!

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