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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
天への道の章
165/211

宝剣の復活へ

 ブリュンヒルデ達が、ブレイザブリク城の大浴場に入っている頃、ジークフリートは、ブロック王と二人きりで、玉座の間にいた。ニダヴェリールに来た目的の一つを遂行する為である。


「綺麗に、スッパリと断ち切ってるな。これはお前さんがやったのか?」

「そうです。ブリュンヒルデの封印を解く際、我が父である、剣王ジグムントを倒す為に、武器の破壊を狙ってそうなりました。」

「ふうん・・・」


 ブロック王が見ているのは、ジークフリートが実の父親であるヴァルムンクの王、ジグムントより託された氷の魔剣ノートゥングであった。そう、ジークフリートは、ブロック王にノートゥングの修理を依頼していたのだ。

 そのノートゥングの状態から、ブロック王はジークフリートの実力を推し量った。


(なるほど・・・ガルガンチュアに勝ったというのは嘘じゃねえな。この切り口の見事なことから、境地の二、三は会得しているだろうが・・・)


 ブロック王としても、ジークフリートの依頼を受けてやりたかったが、一つだけ問題があった。


「ここまで純度の高いミスリル鋼はそうそうねぇ・・・直してやりたくても材料が無けりゃどうしようもねえよ・・・」


 ミスリルは希少金属で、ニダヴェリールでも、年間で採掘できる量は微々たるものである。いかに女神の契約者とはいえ、軽々しく差し出せるものではなかった。

 しかし、ジークフリートは急に何かを思い出したのか、懐の魔導宝庫(マジックボックス)から、もう一振りの剣を取り出した。養父レギンの形見の剣、ブルートガングである。ノートゥングと同様に、真っ二つに折れてしまっているもの、その輝きは、未だ鉄でも楽々と切り裂くような鈍い光を発していた。


「その材料、この剣ではいかがでしょうか!?」


 ブロック王は、その剣を手に取り、しげしげと眺めた。確かに、純度の高いミスリル鋼である。強度も、量も申し分ない。ブロック王はニヤリとすると、ジークフリートに答えた。


「これなら、充分すぎるくらいだぜ!!ただ・・・修繕は、エルドフリームニルが直ってからになるだろうがな」


 その答えに、ジークフリートは飛び上がらんばかりに喜んだ。自分の実父と養父、その二人の剣が一つとなり、再びヴァルムンクの宝剣となるのだ。ジークフリートは我知らず運命の様なものを感じていた。


「話は聞かせて頂きました。ご主人様」


 その声に振り向くと、そこにはヴィーの手を引きながら入室してきたジークルーネの姿があった。

 ジークフリートは、オヤッ!?と思った。そう言えば、ここ最近、ヴィーの元気が無かったように思われたのである。


「ヴィーの奴どうしたんだ?なにかあったのか?」


 ジークフリートの質問に、ジークルーネが苦笑する。


「ここのところ、私はタングニョーストの操縦を教える為、メリーダに付きっきりでしたからね。すっかり拗ねてしまったのですよ」


 ジークフリートが、ヴィーの顔を覗き込もうとすると、ヴィーはフイッと顔を背ける。プクッと頬を膨らませ、自分は不機嫌であると主張しているようだ。二千年生きた古代竜(エンシェントドラゴン)とはとても思えない。


「ヴィー、ここの大浴場は温泉だそうだ。ジークルーネと一緒に行って来ると良い」

「本当か!!」


 ヴィーが飛び付くような勢いで振り向いた。目がキラキラと輝き、すっかり元気になったようだ。

 ジークルーネは小さく溜息をつくと、ジークフリートに質問した。


「よろしいのですか?エルドフリームニルの修繕は急務だと思いますが・・・」

「いいんだよ。まずは英気を養ってくれ。それが終れば、全力で修繕に取りかかってくれればいい」


 ジークフリートの言に、ようやく納得したジークルーネは、ヴィーを連れて大浴場へと向かっていった。


「それじゃあ、俺達も行こう!!まずは風呂だ!!その後は、宴会の用意もしてあるぞ!!」

「ええ!?」


 ブロック王は、ジークフリートの肩に手を回し、大浴場へと向かって行くが、ジークフリートは一つ気になることがあった。


「ブロック王、ここって混浴ですか?」

「残念だが違う・・・造った方がよいかのう」


 ホッとするジークフリートであったが、試練を前に、その不安は大きくなる一方であった。

 ノートゥングの復活が見えてきました。そして、ここしばらく元気の無かったヴィーもようやくいつもの彼女に戻ったようです。そしてようやく、その全容を見せる次なる試練!!ジークフリートは、試練を超えることが出来るでしょうか!?

 以下次回!!

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