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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
天への道の章
162/211

浄化

 ズルリという音と共に、ニーズホッグの尻尾の先が、抜け殻から抜けた。そのあまりの巨体の為に、完全に脱皮するまで、かなりの時間を費やしてしまったニーズホッグは、自分自身の抜け殻に、鞭のようにしなる尻尾を叩きつけた。凍結していた抜け殻が、粉々に粉砕される。


『くそっ!!凍結に完全耐性があるとはいえ、その度に脱皮を要するとは、我が身ながら真に不便ですね・・・さて、奴等はどこへ・・・?』


 ニーズホッグが見渡したその先に、グランネイドルの正門に突き刺さったタングニョーストが見えた。どうやら、ブロック王が逃げ込んだ先はあそこのようだ。ニーズホッグの目が細くなり、まるで睨らみつけるような顔を作る。本来、蛇には、まぶたなど存在しないのだが、彼は蛇の属性にある魔神族である。当然、ただの蛇という訳ではなく、蛇としての能力を持つ巨人と言った方が正しいのだ。その尻尾を今度は、凍結した湖面に叩きつけ、氷を割ると、そこから混沌の水が溢れ出した。ジークルーネの凍結魔法を持ってしても、混沌の水を完全に凍らせることは出来ないのだった。


『金属であるのなら、岩を溶かすよりも容易く腐食させられる。選択を誤ったな!ブロック王!!』


 ニーズホッグが、グランネイドルへ向かおうとした時である。その背後から、閃光が煌いた。


『なんだ!?』


 ニーズホッグが振り返ると、そこには、先程、自分の前から無様に逃走した者達が揃っていた。ニーズホッグは、何故、彼等がその場所にいるのか見当もつかなかったが、ブロック王の顔を見つけ、口元がつり上がり、ニヤリと笑ったような顔を作った。彼が、自らの王であり神と崇めるヨルムンガルドに与えられた使命は、ドゥベルグ達の懐柔か、さもなくば殲滅である。これで、使命は果たしたも同然。そう思ったニーズホッグは、上体を、まるで蛇が鎌首をもたげるように持ち上げた。


『今度こそ死ねい!!ドゥベルグの王よ!!』


 そう叫びながら、ニーズホッグの巨体が、ジークフリート達に向かい突き進む。だが、その集団の中から見たこともない戦士が進み出る。


『貴方が~、今回の事件の~犯人ですね~。そんな悪い人には、お仕置きです~!!』


 そう言うが早いか、その戦士は、右手に持ったモーニングスターの鉄球を、頭の上で、物凄い速度を出して回し始めた。ニーズホッグは、それに構うことなく突進する。その質量だけでも、ニーズホッグは、人間など軽く圧殺出来るのである。ヘルムヴァーテの振り回す鉄球など、彼からすれば、ピンポン玉程度の大きさしかなかった。それゆえ、防御など考えることもなく、四本の巨大な円月刀(シミター)を振りかぶり、斬りかかろうとしたその瞬間、ニーズホッグは、突如、横から飛んで来た巨大な鉄球に、顔面を殴打されて地底湖の中央まで吹き飛んだ。


「なんだ!?鉄球が大きくなったぞ!?」


 ジークフリートが、見たままを口にする。その疑問に答えたのは、ブリュンヒルデであった。


「主殿、ヘルムヴァーテの持つ武器も、神宝具(オーパーツ)だ。その名も、大鉄球、盾砕き(ランドグリーズ)と言う。相手が何者であろうと、あの鉄球は、それに合わせて巨大化するという訳だ。驚くことはないぞ!」

「いや!驚くだろ普通!!」


 ジークフリートの後ろで、ブロック王とリンドブルム、そしてエルルーンが首を縦に振り、激しく同意していた。しかし、ブリュンヒルデは、それを見事にスルーして、ヘルムヴァーテに指示を出す。


「ヴァーテ!!まずは地底湖を浄化してくれ!!そうすれば我等も、戦いに参加出来る!!」

『了解です~!姉君~!』


 ヘルムヴァーテが、盾砕き(ランドグリーズ)の棒状の柄を握りこむと、鉄球と繋がった鎖が一気に収納されて行く。柄の先に鉄球が連結されると、ヘルムヴァーテは、盾砕き(ランドグリーズ)を頭上に掲げ、ルーン言語による詠唱を開始した。


『『闇の力に穢れしものよ~!神の光の力もて正しき姿を取り戻せ~!神聖浄化セイクリッドピューリフィケイション~!!』』


 ヘルムヴァーテの真言と共に、地底湖が閃光を発した。

 ヘルムヴァーテの浄化魔法炸裂!!流れは、一気にジークフリート達へ!!

 しかし、ヘルムヴァーテはまだ、ジークフリートと契約を果たしていません。

 ジークフリートを待つ試練とは一体!?

 以下次回!!

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