表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
天への道の章
155/211

予想外の再会

 ジークルーネは、名乗りもそこそこにブロック王をタングニョーストの中へと案内した。ブロック王はまず最初に、このタングニョーストの内部に使用されている空間制御技術と、それを可能としたジークルーネの魔法を賞讃した。

 それはまるで、近所で遊んでいる普通の子供が、突如、自分の憧れのサッカー選手にでも会ったようなはしゃぎぶりで、見ているこちらが恥ずかしくなるほどであった。だが、ジークルーネは、矢継ぎ早に繰り出されるブロック王の質問に、事細かに応えていた。むしろ、そこはかとなく喜んでいるように、ジークフリートには感じられた。

 ブロック王が、最も興奮したのは、操縦室に入った時の事であった。彼は、入室するなり、瞳を輝かせてズラリと並んだボタンと、操縦桿を見た後、ジークルーネに尋ねた。


「これだけの種類の機能をどうやって制御しているのだね?」

「魔導核に、疑似人格を与えて制御させているのですよ。タングニョースト、こちらは、このニダヴェリールの王、ブロック殿です。挨拶をなさい」


 ジークルーネに命じられた、タングニョーストの山羊の頭の像が答える。


『ハジメマシテ、ブロック様。私ハ、タングニョースト、ト申シマス。ドウゾ、ヨロシクオ願イシマス』


 この声を聞いたブロック王は、またしても大声で、ジークルーネを賞讃した。


「素晴らしい!その齢で、これ程の魔導科学を実現し、しかも、それをしっかり制御している。これ程の腕の魔導士がこの世にいたことを知らなかったとは、このブロック、一生の不覚じゃわい」


 興奮気味に語るブロック王に、リンドブルムが申し訳なさそうに口を挟んだ。


「実は、伯父様に会って頂きたい人物がいるのです。ついて来ていただけますか?」


 そう言う、リンドブルムに連れられ、ブロック王がやって来たのは、タングニョーストの厨房であった。そこで、ブロック王を含めたジークフリート達を迎えたのは、未だ上半身、裸エプロンであるゲルヒルデであった。


「おんや?リンちゃん、ご飯の時間はまだっすよ?」


 寸胴に入れられたスープを混ぜながら振り返ったゲルヒルデは、そこに大勢の人物が立っていることに驚いたようであった。


「な、なんで皆ここにいるんスか?さては、あたしの作戦に気付いたとか・・・」


 こそこそと呟いているゲルヒルデを他所に、リンドブルムが彼女を示しながら、ブロック王に紹介した。


「伯父様、こちらにおわしますは、我がヴィーグリーズの封石の女神であったゲルヒルデ様です!」

「はぁ?」


 ブロック王は、一瞬、リンドブルムが何を言ったのか、理解が出来なかった。封石の女神、それはヴェーグリーズの闘技場(コロッセオ)に祀られていた存在のことだ。その高貴な存在が、今、目の前で妙な格好で料理をしていると言うのである。何かの冗談かと思っていたブロック王は、(くだん)の女性から信じられない言葉を聞くことになる。


「そこにいるのは、ブロックじゃないっスか!久しぶりッスね。五年前の大闘技祭で、ガルガンチュアと闘った時以来じゃないっスか?」


 えっ?と、リンドブルムが、ブロック王に振り返る。五年前の大闘技祭においてそんな試合はなかったからだ。しかし、振り向いた先に、ブロック王の驚きに満ちた顔が待っていた。


「それは、誰も知らない筈だぞ!互いの国の王が、たかが腕試しの為に、その様なことをしたと知られれば、それは互いの国の不利益に成りかねないと、誰一人としてその試合を見られぬようにと、細心の注意を払っていたのだぞ!」

「でも、あたしの前で闘ったじゃないっスか!二人して、この闘いをあたしに捧げると言っておっぱじめたじゃないっスか!」


 それは、ガルガンチュア王と自分しか知らぬ筈の事実で、例外とするなら、それは、二人が誓いを捧げた女神だけである。


「あーもー、じれったいっスね!」


 そう言うと、ゲルヒルデは、神鎧甲(モノケロス)を発動させ、戦乙女(ワルキューレ)の姿に戻る。闘技場(コロッセオ)で見たままのゲルヒルデのその姿に、ブロック王は、あんぐりと口を開くばかりであった。

 ブロック王、ゲルヒルデと初めて語り合うこととなりました。

 そして、スヴェルトアールブを襲う次なる厄災とは?

 以下次回!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ