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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
始まりの章
15/211

魔剣ノートゥング

 ふと、シグルドは握りしめた剣を見た。そして、初めて愕然とした。今日まで数多の戦いを共に切り抜けて来た、シグルドの半身ともいうべき剣が欠けていたのだ。(ドラゴン)の眷属を相手に闘った時も、頑丈な竜麟でさえも簡単に切り裂いた養父(ちち)レギンの残した形見の剣、それがジグムント王との激突の際、欠けてしまったのだ。

 シグルドは、ジグムント王に気取られぬよう、慎重に相手の剣を見る。もし、無傷であるなら、シグルドの命運も尽きる。

 しかし、どうやらその心配はなさそうだ。ジグムント王が、無造作に構えるその刀身にも、僅かな 刃こぼれがあった。


(まだ、勝負はついていない・・・!)


 未だ気力の衰えぬシグルドのその姿に、ジグムント王は満足げに頷いた。


『立ちあがってくるか・・・そうでなくてはな!!』


 その言葉と共に、ジグムント王が再び閃光の速さで斬りかかる。

  

 ガキィ!!!


 今度の一撃は、なんとか受け止めて見せたシグルドだが、あることに気が付き、急いで距離をとった。

 シグルドが、剣の刀身を見ると、ジグムント王の剣と接触した部分が凍り付いていた。このような効果をもたらす武器は、ただの剣であろう筈がない。


「まさか・・魔剣か?」


 この世界の鍛冶職人達は、剣を打ちだす時、魔導式を直接、剣へと刻み込む技術を確立していた。その中でも、直接的な効果を生み出す物は、魔剣と称せられ、しかも、持ち主がある程度の実力を持っていなければ作用しない。

 では、その持ち主が、剣王と呼ばれるほどの実力ならば・・・その答えは、シグルドの持つ剣に刻まれていた。


『気付いたか・・・我が魔剣ノートゥングは氷属性の力を持つ、これで貴様が勝利するのは更に困難になった。続けるか?』


 明らかに、上位者の目線で、訊ねて来る剣王ジグムント。しかし、その問いに対するシグルドの答えは迅速であった。


「当然!!」


 シグルドは、そう吠えるとジグムント王に斬りかかった。

 両者の剣撃は嵐となり、音速を超えた剣風が大気を揺るがせた。

 力で凌駕されたシグルドは、戦いの方法を変えたのだ。

 受け流し、相手の力を利用し反撃する。

 次第に、ジグムント王の鎧に、剣が当たるようになってきた。

 だが、またしてもシグルドは、驚愕することになる。刃によって付けられた亀裂、その傷が徐々に修復されているのだ!


「まさか!その鎧も!!」

『黒獅子の鎧は、自己再生機能を有している。さあ!どうする!?』

「チィッ!!!」

 

 先の戦で、ジグムント王は槍の一撃によって命を失ったと聞いていたが、王の鎧に傷が見当たらなかったのは、そう言う理由があったのだ。

 しかし、勝つ可能性が更に低くなったと言うのに、シグルドの剣撃は止まらない。

 それどころか、戦いの高揚感に包まれ、自然と笑いが込み上げてきた。

 何故か、ジグムント王の骨ばかりとなった無表情な顔も笑っていると感じられた。

 強者は、実力の拮抗した相手と戦うと、お互いが繋がっているように感じることがある。そう、養父(ちち)レギンに聞いたことがあった。

 まさに、今、その現象が二人の決闘者の間に起こっていた。

 しかし、いつの時代も、戦いにおいての勝者は一人である。

 シグルドは、自分が追い詰められていることに気が付いていた。

 相手が、疲労や痛みを感じない身体だというのはもとより、氷属性の魔剣は、シグルドの鎧に、当たる度に凍りつき、体力をジワジワと奪ってゆくのだ。


(決着を急がねばならない!)


 そう決意したシグルドは勝負に打って出ることにした。

 決闘長いね!カラスです。ちなみに、ノートゥングは英雄ジークフリートの剣とも言われています。

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