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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
真戦の始まりの章
146/211

新たな旅の供

 王城へと帰ったジークフリートは、ガルガンチュア王の元に(おもむ)き、明日にもヴィーグリーズを出発し、次の目的地であるニダヴェリールに向かうことを告げた。

 しかし、ガルガンチュア王の発した言葉に、ジークフリートは勿論、そこにいた家臣達も驚くこととなる。その内容とは・・・。


「つまり、リンドブルムを連れて行けということで間違いないんだな。ガルガンチュア王よ」

「うむ!その通りだ!!」


 打てば響くような明朗な答えに、ジークフリートは頭を抱えた。

 また一つ問題を抱え込むことになるのだ。慎重にもなるというものである。


「とりあえず、訳を聞きましょうか?」

「まあ、建前はリンドブルムの破損した神鎧甲(モノケロス)の修復が出来るのは、ニダヴェリールの王であるブロックだけだからという理由だな」

「本当の所は?」

「愛娘が本気で惚れた男と、離れ離れになるのは忍びないと思ってな。まあ、所謂(いわゆる)一つの親心というやつだ」


 やはり、とジークフリートは嘆息した。ガルガンチュア王はどうも、本気でジークフリートとリンドブルムの婚姻を真実のものとしたいらしい。

 かつての友、剣王ジグムントと交わした約束が、ここに来て真実になろうとしているのだ。意気込むのも分からぬ訳ではないが、一つだけ断っておかねばならないことがあった。


「この旅は、行く先で世界を救う為の試練が待ち受けている。命の保証は出来ない。それでもいいのか?」


 ジークフリートの問いに、ガルガンチュア王は急に真顔になって答えた。


「なめるなよ!俺の娘はそんなに(やわ)ではない。それに、いざというときは婿殿がなんとかしてくれるんだろ?」


 やはり、とジークフリートは思った。試練の難易度が上がっている。滞在が長引いたせいか、それとも短期で出て行ったとしても、リンドブルムは付いて来たのかは分からないが、今となっては後の祭りだ。

 そもそも、ギンヌンガカプの二の前にならないよう、戦乙女(ワルキューレ)達の戦力を動かすのは、ヴィーグリーズの防衛網が元の状態に戻ってからと、決めていた。

 今更というものだ、とジークフリートは首を振った。


「引き受けよう。ヴァルムンクの王位継承者としてな!」


 ガルガンチュア王は満足そうに頷くと、ブラギに命じた。


「タングニョーストをリンドに与える。手配を頼むぞ!」

「なんと!あれを姫様に差し上げると!承知しました!直ちにそのように取り計らいましょう!」


 そう言うとブラギは、弟子達を連れ、足早に去って行った。

 ジークフリートは、タングニョーストなるものが如何なるものか知らなかった為、ただ見送っただけであった。


「では、俺達は旅の準備があるから、街で買い出しに行くとするよ」


 出て行こうとしたジークフリートにガルガンチュアが待ったをかけた。

 振り向いたジークフリートは、驚くべきものを目にすることとなる。

 なんと、ガルガンチュア王が、ジークフリートに頭を下げていたのだ。

 この世界では、その行為は、最大限の礼にあたり、一国の王が、未だ地位も持たぬ平民に頭を下げるなど、古今東西聞いたためしがなかった。


「娘の事、よろしく頼む!!」


 ガルガンチュア王がそう言うと、居並ぶ家臣一同も、ジークフリートに頭を下げた。

 これが、ヴィーグリーズの結束、これがある限り、ヴィーグリーズは滅びることは無いと、ジークフリートは確信した。

 ジークフリートは答礼を返し告げた。


「未だ未熟なれど、全力を尽くしましょう!未来の父よ!」


 そう言うと、ジークフリートはサッと踵を返し、玉座の間を後にした。

 ガルガンチュア王と家臣達は、その後ろ姿にかつての剣王の姿を見た。


「ひょっとしたら、俺の娘は、とんでもない男を選んだのかもしれないな・・・」


 ガルガンチュア王の呟きは、誰にも届かなかった。


 その後、ジークフリートがタングニョーストの正体を知って仰天するのは、すぐ後の事であった。

 タングニョーストというのは、北欧神話でトールの戦車を引く山羊の名前である。

 そこから、連想してみよう!はい!その通りです!!かどうかは分かりませんが、次回は再びファーブニルにスポットが当たります。

 ヨートゥンヘイムの禁断の間とは、いかなる場所なのか!?

 以下次回!!

 

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