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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
真戦の始まりの章
140/211

希望

 エルルーンの話を聞いていたジークフリート達は、一様に押し黙っていた。

 その沈黙を破ったのは、ブリュンヒルデだった。


「おそらく、その者は、名乗った通り破壊神ロキの側の女神なのだろう。それならば、結界の力が通用しないのも(うなず)けるな」

「本当に、申し訳ありません。私の考えが足らず、むざむざと大封印を破壊されてしまいました。しかし、その罪を償おうとも、この有様・・・自業自得とは正にこの事です」


 エルルーンは、動かすことが困難になった右腕を見た。

 切断には至らなかったものの、腱を断たれてしまったその腕では、以前のように剣を振るうことは無理であろう。

 他の薔薇十字聖騎士団の団員も同様である。

 この中で最も、エルルーンの腕を惜しんだのは、リンドブルムであった。


「父上、どうにかならないのですか?国の治癒魔術師達では、エルルーンの傷の完治は無理なのですか?」

「こればかりはどうしようもない。治癒の魔術は、高位の魔術師でさえも、完全な回復は不可能なのだ」


 ガルガンチュア王の答えに、リンドブルムや、騎士団の面々も押し黙ってしまった。


「治るぞ。心配はいらん」


 あっけらかんと答えたのはまたしてもブリュンヒルデだった。

 ジークフリートは、後ろに控えているジークルーネを振り返った。

 そう、ここには英知を司るほどの、高位の魔術師、いや、女神が居るのだ。

 しかし、ジークルーネは、ジークフリートの視線の意味に、首を振って否定を示した。


「主殿、ジークルーネではないよ。それよりもオーディンの瞳が示す次なる目的地が知りたいのだ。出してくれないか、主殿」


 そう言うと、ブリュンヒルデは天空の瞳を起動させた。

 空中に浮かびあがる光の地図、その精巧さにガルガンチュア王やブラギは目を奪われたほどだ。


「これは・・・神宝具(オーパーツ)か・・・素晴らしい」


 ブラギは、それがいかに希少なアイテムであるか即座に理解した。

 ジークフリートが、魔導宝庫マジックボックスからオーディンの瞳を取り出すと、部屋の中を柔かな青い光が満たす。


「おお・・・!!」


 ガルガンチュア王はその幻想的な光景に、思わず感嘆の声を上げる。

 その光が収束し、地図の一点を示す。


「ニダヴェリールの王都、グランネイドルだな。でも、それとエルルーンの負傷と何の関係があるんだ?」


 ジークフリートが不思議に思い、ブリュンヒルデに尋ねるが、エルルーンの傍に立っていたシュベルトライテが、納得した様子で呟いた。


「ヘルムヴァーテですね。それならば、エルルーンのこの傷も治すことが出来るでしょう」


 その言葉に、ジークルーネが補足する。


「ご主人様。ヘルムヴァーテは慈愛を司る女神で、治癒の力に長けています。姉上は次の目的地が分かっていたのですか?」

「なに、簡単なことだよ。ここまで封印は、我等の出生の順に解かれているだろう。ならば次なる目的地はニダヴェリールであると、推測したまでだ」


 なるほどと頷くジークフリートであったが、話の流れが一段落した所で、ガルガンチュア王がジークフリートに問いかけた。


「婿殿、一つ聞きたいことがあったのだが。まさか、ここにいるお前さんの連れは、全員女神なんて言わないよな」


 ガルガンチュア王は、答えは殆ど分かっていたのだが、聞かずにはいられなかったようだ。

 ジークフリートは、クスリと吹き出すと、ガルガンチュア王に答えた。


「その通りですよ。陛下」

「やっぱりか!何人従えてんだよ!こんな美人でしかも強い女ばかり!一人ぐらい寄越せ!!」


 予想道りの答えに、ガルガンチュア王は、取り乱して素が出てしまったようだ。


「オッホン!!」


 リンドブルムがやけに大きい咳払いで、ガルガンチュア王に注意を促した。

 ガルガンチュア王はビクリとして、明後日の方を向く。

 その様子に、思わずエルルーンが吹き出した。

 絶望が、希望へと変わり落ち着いたのだろう。

 そして、ジークフリートは新たに判明した目的地に思いを馳せた。

 次の目的地は、ドゥベルグの国、ニダヴェリールです。

 いかな、冒険がジークフリート達を待っているのでしょうか?

 以下次回!!

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