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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
真戦の始まりの章
132/211

一応の勝利

 形勢は四人の戦乙女(ワルキューレ)の介入によって、ヴィーグリーズの優勢に転じていた。

 しかし、闘技場(コロッセオ)で続いている戦いは、未だ決着が付いていなかった。

 魔導姫神(レギンレイブ)の力を持ってしても、黒龍太子ファーブニルの黒龍形体の猛攻を抑えることで手一杯であったのだ。

 二人の実力は、伯仲していた。

 後一手が足らないのである。


『やはり、魔導姫神(レギンレイブ)との戦い方は、心得ているようだな!流石と言っておこうか!ファーブニルよ!!』

『その魔導姫神(レギンレイブ)、見覚えがある。前大戦において我が兵団と戦い。古代竜(エンシェントドラゴン)の一族を壊滅させた白銀の姫神(きしん)鎧を纏う者(ブリュンヒルデ)だな!積年の恨み忘れるものではない!!』


 言葉と共に、二人は攻撃の手を緩めない。

 正義の剣(ゼファリス)が振るわれると、ファーブニルは竜麟を切り裂かれつつも受け流し、窮地に立たされるや、ブリュンヒルデの軍勢の守り手(ヘルヴォル)の背後に存在するガルガンチュアを狙って黒炎を吐く。

 止むなくブリュンヒルデは、その防御に力を割かねばならなくなる。

 その繰り返しであった。


(とはいえ、決定打に欠ける。それに、他の場所に向かった奴等も、魔導姫神(レギンレイブ)使いならば、早々に決着を付けねば、こちらの損失が増すばかりだ・・・最悪、本懐は遂げねばならん!!)


 そこまでファーブニルが考えた時、所持しているはずの念話水晶(テレパスクリスタル)に連絡が入る。

 それは、ファーブニルが心待ちにしていたものであった。


『兄上、こちらは完了しました。この後は如何なさいますか?』


 それは、夜の女神ヘルからの念話(テレパス)であった。


『全軍に撤退命令を出せ!!ここは退くにしかず!!フェニヤ!!』

「ハッ!!」


 物陰から、魔導姫神(レギンレイブ)の隙を伺っていたフェニヤが飛び出す。


『撤退するぞ!!』

「承知致しました!!『鎖縄楼閣(バインディングミスト)!!』」


 突如として現れた、フードを目深(まぶか)に被った、竜の翼を女から、濃い霧が押し寄せ、武舞台(ステージ)を覆い尽くす。


『逃がさん!!』


 そう言って、空に舞い上がる軍勢の守り手(ヘルヴォル)

 霧の中に目を凝らし、ファーブニルが飛び出て来る瞬間を待つ。

 しかし、待てど暮らせど、ファーブニルは現れない。


『まさか!ガルガンチュアを!?』


 そう思い、降下したブリュンヒルデを待っていたのは、ガルガンチュアを支えて立つ、ジークフリートの姿だった。


『してやられたか!!』


 そう、ファーブニルは人間形体へ戻り、混乱に乗じて闘技場(コロッセオ)から脱出したのである。


「何とかなったようだな・・・」


 そう言うガルガンチュアの顔に、ようやく安堵が浮かんでいた。


「リンドブルムは、まだ帰ってないんだろう?いいのかよ?」

「俺の娘だぜ!そう簡単にくたばってたまるかよ!!」


 ガハハと笑いながら、ジークフリートの肩をバシバシ叩くガルガンチュア。

 しかし、そこに駆けつけたブラギによって、その(なご)やかな雰囲気は霧散した。


「大変ですぞ!ガルガンチュア様!先程ビルスキルニル大神殿が襲撃を受け、大封印が破壊されたと報告が!!」


 ガルガンチュアは、その報告を聞くと、瞬時に王の顔に戻った。


「なるほど・・・敵さんの本当の狙いは大封印って訳だったのか・・・引き際の見事さといい。こりゃあやられたな・・・」


 そう言うガルガンチュアの表情には、言い知れぬ不安が張り付いていた。

 ファーブニルの真なる狙いは大封印にありました。

 一応の勝利を得た、ジークフリート達。

 しかし、これからの旅路はどうなって行くのでしょうか!?

 以下次回!!

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