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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
真戦の始まりの章
131/211

紅の輪舞

 ヴィーグリーズで行われた戦いにおいて、最も激戦となったのが、北の平野で行われた戦いであった。

 この戦いに参加したヴィーグリーズの将兵の総数は、三万人。

 傭兵の参加も含めると、約三万五千人である。

 ヴィーグリーズに存在する傭兵のほぼ総てがこの戦いに加わった計算になる。

 これだけでも、ガルガンチュアのカリスマがいかほどのものか(うかが)える。

 そして、これを率いたのは、紅の戦姫リンドブルム、副将として獣戦士団団長ゴライアス、作戦参謀として剣士団団長フェルナンデスが付いていた。

 他方面から送られてくる報告には、鋼の巨神の参戦によってヴィーグリーズの優勢で戦は続いているらしい。


「っておい!鋼の巨神ってなんだ!!」


 報告に噛みついたリンドブルムに、フェルナンデスは当惑気味に答えた。


「分かりません。しかし、戦局はこちらに傾きつつあります。この上は敵の本陣を突き、頭を叩くべきだと思います」

 

 その意見を聞き、リンドブルムは頷いた。


「よし!その意見を執るぞ!」


 この言葉を聞いたゴライアスと、フェルナンデスは嫌な予感がした。


「いざ!出陣!!」


 その予感は、残念なことに的中した。

 リンドブルムが、光の翼を展開し、臨時に設営した本陣を飛び出したからだ。


「貴方が行ったら、意味無いでしょう!!」

「姫様に続けーーーーーー!!!」


 フェルナンデスもゴライアスも、その突撃に参加した。

 前軍参加による矢の陣である。

 (さいわ)いなことに、敵側も挟撃に廻す戦力がなく、正面からこれを迎え撃った。

 魔神族を率いたのは、蛇王ヨルムンガルドの腹心、蛇将エキドナであった。

 

「なんだと!!敵が全てこちらに向かって来るだと!!他方面からの援軍は!?」

「残念ながら・・・」

「クッ!!」


 こちらの数は五万、数においては有利であるが、季節が悪い。

 冬は、蛇身族にとって最も身体の動きが制限される季節である。

 蜥蜴人(リザードマン)達の殆どが、夜になると動きが鈍るのだ。

 そのため、砦の襲撃も昼に行わなければならなかったほどだ。

 陽が沈みかけた今、戦力は半減していると考えていいだろう。

 渡河部隊の魚人族と共に、大河に向かったヨルムンガルドは無事であろうか。

 そう考えた時、上空から声が聞こえた。


「そこにいるのは、この軍の将と見た!我が名はリンドブルム!いざ尋常に勝負!!」


 エキドナは頭を抱えたくなった。

 何故、紅の戦姫がここにいるのか。

 そして、何故、竜人でもないのに、空に浮かんでいるのか。

 破れかぶれに、円月刀(シミター)を抜いたエキドナは、その侵入者(リンドブルム)に名乗り返した。


「私の名は蛇将エキドナ!!相手になってやるよ!!」


 しかし、地上戦を得意とするエキドナは、この戦いの不利を悟っていた。

 自分の蛇身である下半身を使い、間合いを崩しながら、相手を幻惑して戦うのが基本的な戦法である。

 空中戦は、全くの死角になってしまうのである。

 しかも、リンドブルムの振るう雷鳴の斧槍(ガールブレイ)を受けた瞬間、電撃がエキドナを襲った。


「ガアッ!!」

「「エキドナ様!!」」


 全身から煙を上げるエキドナを(かば)い、蜥蜴人(リザードマン)の戦士達が前へ出る。

 だが、リンドブルムを止めることは不可能であった。

 雷鳴の斧槍(ガールブレイ)を振るい続けながら、リンドブルムは自分の強さを再認識していた。


(やはり、あのブリュンヒルデの強さが異常なのだ!私は強い!!)


 まるで、無人の野を往くが如く、リンドブルムは戦場を舞い続けた。

 リンドブルムさんの独壇場です!

 エキドナは不運としか言いようがありません。

 ちなみに、魔導姫神の当て字にしているレギンレイブは、戦乙女(ワルキューレ)の名前です。

 神々の娘という意味です。

 ブリュンヒルデ達の魔導姫神の名前も、そのまま戦乙女(ワルキューレ)の名前です。

 以下次回!!

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