降臨
「さて、敵は四方から押し寄せて来ています。そこで、ルーネは大河から来る敵の迎撃に当たって下さい。そして、ゲーテ、貴方は・・・」
シュベルトライテはそこまで言ったところで、両手を着いて項垂れるゲルヒルデに気付いた。
「何を落ち込んでいるのですか、ゲーテ?」
その問いかけに、ゲルヒルデは猛然と反論した。
「何って!酷いッスよ!乙女の唇を何だと思ってるんスか!?」
しかし、二人の姉は落ち着いて答えた。
「放っておくと貴方、いつまでも契約出来ないでしょう?いざという時、勇気が出せないんだから、本当に勇気を司っているのか、不思議です」
「その怒りは、今、押し寄せている魔神族にぶつけなさい。話は後で、じっくりと出来ます」
プルプルと震えていたゲルヒルデであったが、やおら立ち上がると、その手に持っていた槍を天へ掲げた。
「こうなったら遣ってやるっス!!今宵の勇気の槍は血に飢えているッスヨーーー!!」
そう叫ぶゲルヒルデに、シュベルトライテが指示を出す。
「では東より押し寄せる敵は貴方に任せます。私は西へ向かいましょう」
「了解ッス!!『勇者の力!!』」
言うが早いか、ゲルヒルデは光の翼を展開し、流星となって飛んで行った。
「ではルーネ、私達も行きましょうか」
「はい、姉上」
残り二人の戦乙女も、それぞれの戦場へ向かって行った。
後に、残されたのはジークフリート一人であった。
「クソッ!!」
今の自分は、足手纏いである。
それを理解するがゆえに、ジークフリートは更なる高みを目指すのであった。
その頃、武舞台の上では、ファーブニルとブリュンヒルデが、剣を交えていた。
といっても、ブリュンヒルデは防戦一方である。
その戦い方に、ファーブニルは、ブリュンヒルデの剣に、勝つ気が無い事を悟っていた。
時間を稼ぐ、その為の闘いであると。
では、何の為に?
戦力は圧倒的に、魔神族が有利である。
では、先程の光と、飛んで行った流星に何かあるということか。
(何にせよ、決着は早く着ける必要がある!!)
そう決断したファーブニルは、ブリュンヒルデを弾き飛ばす。
「見せてやる!!我が真の姿を!!」
黒炎が逆巻き、周辺を焼き尽す。
ガルガンチュアは、ブリュンヒルデの力によって、その威力から守られていたが、ファーブニルの行動が、攻撃ではなかった事を思い知る。
『この姿になったからには、跡形もなくこの世から消し去ってくれる!!』
そこには、巨大な竜がいた。
これまで見たこともない大きさの黒龍である。
黒龍は、息を吸い込むと、その巨大な顎から凄まじい勢いで黒い炎を吐き出した。
黒炎の火柱がブリュンヒルデと、ガルガンチュアを襲う。
ブリュンヒルデは、守護の盾を振りかぶり、大地へ打ち付けた。
「守れ!!守護の盾よ!!」
守護の盾より、巨大な光の魔法陣が出現し、黒炎を受け止める。
黒炎を吐き尽し、相手が既に死んでいたものと思っていたファーブニルは、驚くべきものを目の当たりにした。
『馬鹿な!!我が終焉の吐息を受けて、生きているだと!!有りえん!!』
しかし、流石のブリュンヒルデも、その威力を完全に殺す事は出来ず、全身から白煙が立ち昇っていた。
炎竜ヴァルカンの時とは、格段に上であるその威力に、苦戦は免れない事を覚悟したブリュンヒルデは、遂に切り札を出す決意を固めた。
「流石は、魔神族の王族。ならば、こちらも最後の切り札を使わせてもらう!!」
ブリュンヒルデは、正義の剣を天へと掲げた。
『来たれ!!軍勢の守り手よ!!』
その声に応えるかのように、天空より七色の閃光が舞い降りる。
ファーブニルは初めて驚愕の声を洩らした。
『虹の橋だと!!まさか!!』
閃光の中から、白銀の巨像が現れる。
女性の姿をとり、全身を鎧に包んだ、正に鋼の機神。
『魔導姫神!!』
はい!やっていしまいました!!
遂に、巨大ロボットの出現です!!
最初から出すつもりでしたが、ここまでかかりました!(汗)
詳細は次回!!