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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
真戦の始まりの章
128/211

第四の女神

 ファーブニルが放った一刀をブリュンヒルデの守護の盾(スヴェル)が受け止めるも、その威力にブリュンヒルデの身体が流れる。


「小癪な・・・」


 静かな殺気が、ブリュンヒルデの肌を焼く、普段の余裕はブリュンヒルデには無い。

 つまり、それだけの相手ということだ。

 ガルガンチュアは冷静を取り戻し、二人を見ていた。


(まさか、敵の頭が単身で乗り込んでくるとは・・・だが、それだけの実力は持っている!流石は魔神族の王子よ!)


 もし、自分が万全の状態でも、果たして勝てたかどうか、それほどの相手である。

 しかし、ブリュンヒルデは怯まない。


守護者の力(ガーディアンフォース)!!』


 ブリュンヒルデから放たれた光が、ガルガンチュア達にも影響を(およ)ぼす。


「これは!!」

「動けるぞ!!」


 動けなくなっていたフェルナンデスと、ゴライアスが自由を取り戻した。

 ガルガンチュアは即座に命令を下す。


「お前等は、観客を避難させろ!!それと、防衛戦の用意だ!!魔神族がやってくるぞ!!」

「「御意!!」」


 二人はすぐ行動に移した。

 その二人を見送るリンドブルムに、ブリュンヒルデが声をかける。


「リンドブルム!そなたも行け!!ここは私が引き受ける!!」


 その言葉に、一瞬、リンドブルムは父の顔を見たが、ガルガンチュアは笑顔で頷きその視線に答えた。


「頼むぞ!!」


 そう言うと、リンドブルムは勝者の力(ウイニングフォース)を発動させ、空に舞い上がった。


「ライテ!!そなたはルーネとゲーテと共に三方へ散れ!!後は承知しているな!?」

 

 シュベルトライテは頷くと、光の翼を展開した。


正義の力(ジャスティスフォース)!!』


 光の尾を引き飛び去るシュベルトライテに目もくれず、ファーブニルの攻撃を受け流すブリュンヒルデ。

 正直、この相手に油断は則、死を招くと言っても過言ではなかった。


 一方、ジークフリート達は女神の封石の前にいた。

 ジークフリートは炎の魔剣(グラム)を掲げ、封印解除の念を送った。


(封印よ、退け!!)


 剣のルーン文字が輝き、封石が閃光を放つ。

 ドカンという炸裂音と共に封石が砕け散るが、破片は空中で停滞し留まる。

 もはや見慣れた光景であるが、それを知らぬ人間からすれば、それは正に奇跡と呼ぶべき光景であった。

 その唯一の目撃者であったブラギは、あまりのことで言葉も出なかった。

 その中を、槍を(たずさ)えた女神が、ジークフリートの元へ進む。

 ジークフリートの前まで進んだ女神は、跪くと頭を下げて告げた。


「オーディン神が四女、ゲルヒルデ。今日より貴方様を主と仰ぎ・・・」


 そこまで言った所で、ジークルーネがゲルヒルデに近づき、なんとその頭を叩いた。

 スパァン!という小気味よい音と共に、ゲルヒルデの絶叫が響いた。


「痛ェーーーーッス!!」

「空気を読みなさい、ゲーテ!そんなことをしている余裕は無いのよ!!」

「で、でも最初が肝心というか、何というか・・・」

「とにかく、今は契約を!挨拶は後でなさい!!」

「そ、そんなぁ・・・」


 涙目になりながらジークフリートに向きなおったゲルヒルデ、しかし、ジークフリートは二人の遣り取りに、目が点になっていた。


「やっぱり呆れられてるッスーーーー!!」


 そんな三人の元に、シュベルトライテが飛んで来た。


「まだ、契約が済んでいないのですか?」


 着地し、ツカツカとゲルヒルデに近寄ったシュベルトライテは、その後頭部をガシッと掴んだ。


「へっ!?」


 疑問を浮かべながら立たされるゲルヒルデ。


「失礼します。ご主人様」


 何故か、ジークルーネに羽交い締めにされるジークフリート。


「えっ!?」


 質問も許されることなく、その唇にゲルヒルデの唇が押し付けられる。

 契約が成り立つと、封石が元の姿へと戻る。


「さて、それでは反撃と行きましょうか!」


 シュベルトライテはそう言うと、ゲルヒルデの頭から手を放した。

 ゲルヒルデさん復活!

 その守護地にちなんで体育会系です!

 それにしても、なんとも強引な契約でしたね!合掌!!

 以下次回!!


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