第四の女神
ファーブニルが放った一刀をブリュンヒルデの守護の盾が受け止めるも、その威力にブリュンヒルデの身体が流れる。
「小癪な・・・」
静かな殺気が、ブリュンヒルデの肌を焼く、普段の余裕はブリュンヒルデには無い。
つまり、それだけの相手ということだ。
ガルガンチュアは冷静を取り戻し、二人を見ていた。
(まさか、敵の頭が単身で乗り込んでくるとは・・・だが、それだけの実力は持っている!流石は魔神族の王子よ!)
もし、自分が万全の状態でも、果たして勝てたかどうか、それほどの相手である。
しかし、ブリュンヒルデは怯まない。
『守護者の力!!』
ブリュンヒルデから放たれた光が、ガルガンチュア達にも影響を及ぼす。
「これは!!」
「動けるぞ!!」
動けなくなっていたフェルナンデスと、ゴライアスが自由を取り戻した。
ガルガンチュアは即座に命令を下す。
「お前等は、観客を避難させろ!!それと、防衛戦の用意だ!!魔神族がやってくるぞ!!」
「「御意!!」」
二人はすぐ行動に移した。
その二人を見送るリンドブルムに、ブリュンヒルデが声をかける。
「リンドブルム!そなたも行け!!ここは私が引き受ける!!」
その言葉に、一瞬、リンドブルムは父の顔を見たが、ガルガンチュアは笑顔で頷きその視線に答えた。
「頼むぞ!!」
そう言うと、リンドブルムは勝者の力を発動させ、空に舞い上がった。
「ライテ!!そなたはルーネとゲーテと共に三方へ散れ!!後は承知しているな!?」
シュベルトライテは頷くと、光の翼を展開した。
『正義の力!!』
光の尾を引き飛び去るシュベルトライテに目もくれず、ファーブニルの攻撃を受け流すブリュンヒルデ。
正直、この相手に油断は則、死を招くと言っても過言ではなかった。
一方、ジークフリート達は女神の封石の前にいた。
ジークフリートは炎の魔剣を掲げ、封印解除の念を送った。
(封印よ、退け!!)
剣のルーン文字が輝き、封石が閃光を放つ。
ドカンという炸裂音と共に封石が砕け散るが、破片は空中で停滞し留まる。
もはや見慣れた光景であるが、それを知らぬ人間からすれば、それは正に奇跡と呼ぶべき光景であった。
その唯一の目撃者であったブラギは、あまりのことで言葉も出なかった。
その中を、槍を携えた女神が、ジークフリートの元へ進む。
ジークフリートの前まで進んだ女神は、跪くと頭を下げて告げた。
「オーディン神が四女、ゲルヒルデ。今日より貴方様を主と仰ぎ・・・」
そこまで言った所で、ジークルーネがゲルヒルデに近づき、なんとその頭を叩いた。
スパァン!という小気味よい音と共に、ゲルヒルデの絶叫が響いた。
「痛ェーーーーッス!!」
「空気を読みなさい、ゲーテ!そんなことをしている余裕は無いのよ!!」
「で、でも最初が肝心というか、何というか・・・」
「とにかく、今は契約を!挨拶は後でなさい!!」
「そ、そんなぁ・・・」
涙目になりながらジークフリートに向きなおったゲルヒルデ、しかし、ジークフリートは二人の遣り取りに、目が点になっていた。
「やっぱり呆れられてるッスーーーー!!」
そんな三人の元に、シュベルトライテが飛んで来た。
「まだ、契約が済んでいないのですか?」
着地し、ツカツカとゲルヒルデに近寄ったシュベルトライテは、その後頭部をガシッと掴んだ。
「へっ!?」
疑問を浮かべながら立たされるゲルヒルデ。
「失礼します。ご主人様」
何故か、ジークルーネに羽交い締めにされるジークフリート。
「えっ!?」
質問も許されることなく、その唇にゲルヒルデの唇が押し付けられる。
契約が成り立つと、封石が元の姿へと戻る。
「さて、それでは反撃と行きましょうか!」
シュベルトライテはそう言うと、ゲルヒルデの頭から手を放した。
ゲルヒルデさん復活!
その守護地にちなんで体育会系です!
それにしても、なんとも強引な契約でしたね!合掌!!
以下次回!!




