表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
真戦の始まりの章
127/211

漆黒の暗殺者

 異形の騎士がゆっくりと立ち上がり、腰に差した剣を引き抜く。

 その所作に、隙は微塵も(うかが)えなかった。


「王よ!」

「我らが盾となります!お早く!」


 フェルナンデスとゴライアスがその間に滑り込むが、それを制したのは、ガルガンチュアであった。


退()いてろ!こいつは只者じゃねぇ!お前らじゃ相手にならねぇよ!」


 そう言いながら、ガルガンチュアは、暗殺者の背後にある雷神の鎚(ニョルニル)へ意識を集中する。

 しかし、雷神の鎚(ニョルニル)はその意思に応えない。


(不覚!!)


 神技(ゴッドアーツ)を使用した負荷が、未だ雷神の鎚(ニョルニル)を縛り着けているのだった。

 

「何者だ?唯の殺し屋じゃねぇだろ!?名乗れよ!暗殺者!!」


 ふと、構えられたその剣に、見覚えがあった。


「まさか、ダインヘイムの宝剣、覇者の剣(ダインスレイブ)!!貴様一体!?」


 問いかけられた暗殺者は、表情を変えることなく、淡々と答えた。


「黄泉路への土産に名乗ってやろう。我が名はファーブニル!ヨートゥンヘイムの支配者、アングルボザが長子!!黒龍太子ファーブニル!!」


 名乗りと共に叩きつけられた殺気が、大気を歪ませる。

 常人であるならば、それだけで絶命するであろうその殺気を受け、フェルナンデスとゴライアスは指一つ動かせなくなってしまった。

 ガルガンチュアの方も、健全な状態ならいざしらず、今はリンドブルムに支えられて立っているのがやっとの状態である。

 ヴィーグリーズの運命は風前の灯であった。

 しかし、その両者の間に、割って入った者がいた。

 瞬時に白銀の神鎧甲(モノケロス)(まと)ったブリュンヒルデであった。

 

「主殿!!ゲルヒルデの封印を!!こやつの相手は私がする!!」


 そう言われ、ジークフリートは我に返った。

 余りにも急転直下な成り行きに、茫然自失としていたのである。


「わ、分かった!!」


 そう言って、ジークフリートは炎の魔剣(グラム)を召喚した。


『我が元に来たれ!!剣よ(グラム)!!』


 しかし、反応がない。

 王の観覧席の真下の壁に突き刺さったままである。


「ご主人様!おそらくヴィーが気絶してしまっているのでしょう!直接取りに行くしかありません!!」


 ジークルーネに説明され、ジークフリートは絶望的な気分になった。

 今の自分は、歩くこともままならないのだ。

 しかも、刺さっているのは武舞台(ステージ)の外周の堀の壁である。

 どれほど、時間がかかってしまうのか、と考えた時、身体が宙に浮いた。


「では!姉上!!」

「うむ!頼むぞジークルーネ!!」


 姉妹は、言葉少なく了解し合うと、それぞれの役割に突入した。

 ブリュンヒルデは、ファーブニルと対峙し、ジークルーネは飛翔魔法で、ジークフリートを連れ炎の魔剣(グラム)の元まで運ぶ為、舞い上がった。


「無粋な・・・」


 ファーブニルはそう呟くと、ガルガンチュアに更なる絶望を告げた。


「今頃、我が魔神族の兵団が、このヴィーグリーズの四方から殺到してきているはずだ!ガルガンチュアよ!お前が死ぬか、降伏するかしなければ、我が軍は殺戮を()めはしないだろう!潔く死ぬがよい!!」


 ガルガンチュアの顔から血の気が引いた。

 一方、ジークフリートは、ジークルーネに(かか)えられながら、炎の魔剣(グラム)の元に辿り着いていた。


「おい!ヴィー!!しっかりしろ!!」


 炎の魔剣(グラム)を引き抜き、話しかけてみると。


『うう・・・巨大な拳骨が迫ってくる・・・し、死ぬ・・・』


 などという声が聞こえた。

 構うことなく、ジークルーネが声をかける。


「しっかりなさい!!もう一働きしてもらいますよ!!それまで頑張りなさい!!」

『は・・・はいぃ』


 そのまま、ジークルーネは、女神の封石の元までジークフリートを運んだ。

 第四の女神、ゲルヒルデの封印が、解かれようとしていた。

 遂にゲルヒルデ復活!

 しかし、迫り来る絶望に、ジークフリート達はどうやって立ち向かうのでしょうか!

 以下次回!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ