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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 急
126/211

決着の時

 既に廃墟と化した武舞台の上で、ジークフリートとガルガンチュアの肉弾戦は続いてた。

 二人の得物は、使用不能となっている為、必然とそうなってしまっているのだが、観客達は総立ちである。


「「「「ガルガンチュア!!ガルガンチュア!!ガルガンチュア!!」」」」

「「「「ジークフリート!!ジークフリート!!ジークフリート!!」」」」


 二人の名が連呼され、その声で闘技場(コロッセオ)は埋め尽くされていた。

 その声に後押しされるように、二人は攻撃の手を緩めない。

 とはいえ、互いの神技(ゴッドアーツ)によるダメージによって、その動きは頼りない。

 ガルガンチュアの剛腕も今や、風を切る威力もない。

 ジークフリートの方も、作戦通りとなったとはいえ、黒獅子の鎧による治癒効果も薄くなってしまっている為、決定打に欠けるのだ。


(クソッ!ガルガンチュアは神技(ゴッドアーツ)を撃った後は激しく消耗して、一定時間、雷神の鎚(ニョルニル)が使えなくなるから、今がチャンスだって言うのに!動け!俺の身体!!)


 予想外であったのは、炎の魔剣(グラム)の全ての魔力を使う羽目になってしまったことであった。

 カウンター気味に入った一撃も、相手の威力の全てを殺せず、魔神化もままならない状態になってしまった。

 だが、今が千載一遇のきかいであることには、間違いなかった。


「うおおおおおお!!!」

「ぬああああああ!!!」


 二人の拳が、空を切る。

 互いに、限界を超え、死力を振り絞って闘っているのだ。


「父上!ジークフリート!」

「目を逸らすなよ。リンドブルム!これほどの闘いは、一生に一度、見られるかどうか分からん!」

「そうですね。これほどとは思いませんでした」


 王の観覧席で、ブリュンヒルデ達も勝負の行方を、固唾を飲んで見守っていた。

 ガルガンチュアは、固めた拳を振るいながら、散り散りになった思考の中で、決着を急いでいた。

 

雷神の鎚(ニョルニル)はしばらく使えねぇ!それに、いつまで動けるか分からん!しかも、ジークフリートの奴は、少しづつ回復してやがる!今、決着を着けるしかねぇ!)


 残った力の全てを乗せ、最高の一撃が振るわれた。

 今までの死んだ拳ではない。

 まさに生きた拳である。

 当たれば、首から上が吹き飛びそうな一撃であった。

 しかし、ジークフリートはその一撃を待っていた。

 唸る剛腕が、顔面を捉えたかに見えたその時、ジークフリートは更に踏み込んだ。

 顔の横を通り過ぎる拳の摩擦で、頬が切り裂かれ、鮮血が飛び散る。

 その腕の上をジークフリートの拳が飛んだ。

 飛燕の速さで放たれたその拳は、ガルガンチュアの顎を撃ち抜いた。

 自分の攻撃力そのままを返されたガルガンチュアは、意識を刈り取られゆっくりと倒れた。

 観覧席で見ていたリンドブルムが立ち上がり、武舞台(ステージ)に向かって駆けだした。

 ブリュンヒルデ達も、それに続いた。

 時間にして、一分ほどであろうか、ガルガンチュアが目を開けると、リンドブルムの泣きそうな顔が見えた。

 ああ、そうかと、ガルガンチュアは思った。

 負けたのだ。

 ジークフリートに。

 自分を見下ろすこの青年に。

 それと同時に、肩に在った重荷が、急に軽くなったような気がした。

 ニヤリと、男臭い笑みを浮べながらガルガンチュアは言った。


「俺の負けだ。婿殿」


 何故か晴れ晴れとした表情で、敗北を受け入れたガルガンチュアに、ジークフリートは手を差し出した。

 その手を掴み立ち上がったガルガンチュアは、そのまま、ジークフリートの腕を取り掲げさせた。

 勝者が示されたのである。


「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」


 観客が、歓声を上げ闘技場(コロッセオ)が爆発したような雰囲気に包まれた。

 大闘技祭の真なる優勝者が決った瞬間であった。


 しかし、その歓喜の渦の中に、黒き流星が飛来する。

 ズシャ!と鎧を響かせ、着地した異形の黒騎士、その背には竜の翼が生えていた。

 ジークフリート達を見つめるその瞳に、氷の冷たさを湛えながら、騎士は告げた。


「ガルガンチュア王!御命頂戴(つかまつ)る!!」

 

 大闘技祭終了の巻!

 しかし、戦いは更なるステージへ!

 以下次回!!

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