表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 急
122/211

頂上決戦開始

「さあて!始める前に一つ、やっておかなきゃならんことがある」


 スッと雷神の鎚(ニョルニル)をジークフリートの後方へ向けた。


「そこでぶっ倒れてるご老体に退場願おう。・・・サッサと連れ出せぃ!」


 ガルガンチュアのその言葉によって、衛兵達が慌ただしく動き出した。


「それにしても、まさかあのヴェオウルフを瞬殺するとは、驚いたぜ、婿殿!」

「フルンティングは一度折れたことがあるんだよ。邪竜ニドヘグの息子、巨人グレンデルとの戦いの事は知ってるだろ?って婿殿ッて何だよ!!」

「固い事言うなって!勝っても負けてもお前さんには、リンドを嫁にしてもらうつもりだからな!それで・・・?」


 ジークフリートは、やれやれと嘆息しながら答えた。


「・・・グレンデルには、剣の刃に傷つくことは無いという(まじな)いがかけられていたのさ。だから、フルンティングは全く役に立たなかったのさ」


 運ばれていくヴェオウルフを見送りながら、ジークフリートは聞き耳を立てているであろう観衆にも語って聞かせた。


「フルンティングは本来、血を吸えば吸うほどに堅牢になるという厄介な剣だが、グレンデルの拳で叩き折られちまった。その繋ぎ合わせた部分を狙って切ったんだよ。あの爺さんの本領は、組み打ちに在る。巨人や邪竜を己の身一つで退治してのけたんだからな。まともにやれば、苦戦は免れない。工夫もするさ」

「そしてあの一撃か・・・」


 ガルガンチュアは神技(ゴッドアーツ)をジークフリートが使った意味を、なんとなくではあるが悟っていた。

 あれは、同じく神技(ゴッドアーツ)を使える自分と、同等の実力があると示して見せたのだ。


(律義な奴だな・・・)


 ニヤリと笑いながら、ガルガンチュアは戦闘態勢に入った。

 空に雷神の鎚(ニョルニル)を掲げると、みるみる快晴だった空が曇天(どんてん)となり、雷鳴を轟かせ始めた。


ご主人(マスター)!あれはとんでもないぞ!気象まで操るとは、並みの武器ではない!』


 炎の魔剣(グラム)からヴィーの切迫した声が響いた。


「知ってるよ。だけどお前も、満月を過ぎて魔力は全開だろ?」

『それはそうだが・・・』

「それに、俺は一度、ガルガンチュアが神技(ゴッドアーツ)を実際に撃つ所を見たことがある。勝機はあるさ」


 正に、戦雲を呼んだガルガンチュアと、それに呼応するように炎の魔力を滾らせるジークフリート。

 その姿に、観客達はこれから訪れる英雄同士の闘いに期待を膨らませていた。

 唯一、落ち着いてその様子を見ていたのは、王の観覧席にいるブリュンヒルデ達であった。


「真の試練が始まったか・・・よく見ておけよ、ゲルヒルデ!我が主殿の闘いの様をな!」


 そう女神の封石に語りかけるブリュンヒルデを、リンドブルムがまるで痛い子を見るような目で見ていたが、それを他所にブリュンヒルデがリンドブルムに言った。


「ではそろそろ試合開始の宣言でもしてもらおうか?リンドブルムよ!」

「ッ!!私か!?」


 驚いて立ち上がったリンドブルムに、ブリュンヒルデは呆れながら言った。


「他に誰がいる?」


 そう言われてみれば、確かにそうだった。

 階下のブラギを見ると、こちらを振り返り頷いている。

 常ならばこれは王である父の役目、しかし、この場において自分がこの号令を発するのが最も相応しいだろう。

 なにせ、ジークフリートは、自分との結婚を認めさせるために、あの偉大な父に挑むのだから。(勘違いであるが)

 そう奮い立つと、リンドブルムは大音声(だいおんじょう)を張り上げた。


「それではこれより!女神の封石を賭けた、頂上決戦を行う!!」


 それは、ヴィーグリーズの歴史に残る闘いの始まりであった。


「試合開始!!!」



 雷と炎の撃突が始まります。

 皆さんは安全な場所まで避難して下さい!

 それでは!以下次回!!(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ