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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 急
120/211

神技

 自分の身の丈ほどもある名剣フルンティングを突きつけ、ヴェオウルフはジークフリートに尋ねた。


「シグルドよ!今一度ミズガルズへ戻るつもりは無いか!?」


 ジークフリートは、やはりと心の中で呟いた。


「お主が、ヴァルムンクの遺児であることは聞いた。しかし、これまで築いた信頼や、立場を棄ててまで(こだわ)る理由があるというのか?」


 まるで諭すように語りかけるヴェオウルフであったが、ジークフリートはその言葉に揺らぐことは無かった。


「理由ならあるさ。ヴェオウルフのオッサン」


 ゆっくりと炎の魔剣(グラム)を構え、ジークフリートはヴェオウルフの問いかけに答えることにした。


「俺は、ヴァルムンクの剣王ジグムントの一子ジークフリートだ。父の命を奪ったのは、現ミズガルズ国王のフレイだ。俺は今まで仇に仕えていた訳だ。そして!!」


 ジークフリートは、その戦争の引き金となった魔神族の血の力を発動させた。

 すなわち魔神化を行ったのだ。

 その髪が、白く染まり、蒼い瞳が真っ赤に染まって行く。

 魔導装甲(マギアームス)に刻まれた刻印の光が、真紅から金色(こんじき)に変じる。


「そ、その姿は!?」

「これが、ミズガルズに戻れない理由、俺には魔神族の血が流れている。ミズガルズの国教、光の聖教会は、魔神族の血を認めることは無い!それが元で戦争を引き起こしたくらいだからな!それに!!」


 ジークフリートはガルガンチュアの隣で、観戦しているブリュンヒルデ達に視線を移した。


「こんな俺にも、信じてついて来てくれる奴らが出来た!その信頼に応えるために、あんたを倒させてもらう!!」

「ぬううぅ・・・」


 ヴェオウルフは、無念の思いを滲ませる様に、唇を噛んだ。


「是非も無しか・・・止むを得ん!祖国の障害になるものは、この剣にて打ち果たすのみ!!往くぞジークフリート!!!」


 ヴェオウルフがフルンティングを振り抜き、臨戦態勢に入った。

 ガルガンチュアが立ち上がり、決勝の開始を宣言した。


「それではこれより!!大闘技祭の決勝戦を執り行う!!双方持てる力の全てをもって闘え!!それでは決勝戦開始!!!」


 宣言と同時に、二人の闘気が爆発した。

 しかし、ジークフリートの闘気がその拮抗を崩す。

 人の域を越えた闘気が、ヴェオウルフの闘気を圧倒する。


「ウオッ!?」


 ヴェオウルフがたじろいだ瞬間、ジークフリートが光の速さで踏み込む。

 炎の魔力を宿した刃が振るわれる。

 それを受け止めようと、ヴェオウルフがフルンティングを正眼に構える。

 そのフルンティングに、ジークフリートの炎の魔剣(グラム)が叩きこまれる。

 フルンティングに当たった炎の魔剣(グラム)は何の抵抗もなくその刀身を斬り飛ばした。


「何ッ!!!?」


 そのありえない光景に、ヴェオウルフが驚愕した。

 しかし、ジークフリートは止まらない。


「行くぞ!ヴィー!!」

『おうさ!ご主人(マスター)!!』


 その瞬間、二人の声が重なった。


「『鎧襲一燭(アーマーブレイカー)!!!!』」


 十字の閃光がヴェオウルフを切り裂く、ジークフリトはそのままヴェオウルフの脇を通過し、背後に抜けた。

 そのまま二人は動かない。

 成り行きを見守る観客達も、開始直後のジークフリートの攻撃に、誰一人として着いて行けていなかった。

 観客達が見たのは、ジークフリートが物凄いスピードで、ヴェオウルフの横を通過した瞬間、閃光が走り、その後にフルンティングの刀身が、折れて武舞台(ステージ)に落ちた光景であった。

 ピシリと何かが、(ひび)割れる音が響いた。

 それは、ヴェオウルフの竜麟の鎧ドラゴンスケイルアーマーの砕け散る予兆だった。

 (ひび)が全身に広がり、鎧は木端微塵身なった。

 ヴェオウルフが倒れる。

 既に、意識の無い彼を振り向き、ジークフリートが静かに告げた。


「これぞ神技(ゴッドアーツ)鎧襲一燭(アーマーブレイカー)!」


 そのあっという間の惨劇に、闘技場(コロッセオ)はひそとして静まり返っていた。


 

 ヴェオウルフさん瞬殺の巻!!

 いいとこなしでした。

 そしてついに、ガルガンチュアとの決戦にジークフリートが挑みます。

 以下次回!!


 神技の名前を当て字に変えました。

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