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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 急
118/211

暗躍する者達

 次の試合は、またしてもヴェオウルフの圧勝であった。

 そもそも、身の丈ほどもある刃を持つ名剣フルンティングに加え、その身を包むのは、かつて彼が倒した邪竜ニドヘグの鱗で造られた竜麟の鎧ドラゴンスケイルアーマー、あらゆる状態異常から身を守り、竜の強大な力を得ることのできる上級魔導装甲(ハイマギアームス)であり、いかにヴィーグリーズの闘士達が歴戦の勇者であろうとも、実力もさることながら、装備までも上回る彼に、勝つことは不可能といっても過言ではなかったからだ。

 これで残すは、決勝のみとなった。

 大闘技祭も、最終日を前に、古豪ヴェオウルフが勝つか、それとも、若き勇者ジークフリートが勝つかで大いに盛り上がっていた。

 さて、その華々しいヴィーグリーズの祭りとは裏腹に、国境に位置する砦では、警護の任に付いた兵士たちが愚痴をこぼしていた。


「あーあ!大闘技祭も明日で終りだって言うのに、俺達は今日もつまらねえ任務で一日が過ぎちまう!見たかったなー!決勝戦!!」

「そう言うなよ。王も差し入れに酒を送ってくれてるじゃないか。」

「でも、飲めるのは交代時間だけだぜ!それにやっぱりヴィーグリーズの男なら、闘技祭の決勝が見られなきゃ悔しくて当然だろ!?」

「そりゃそうだ。」


 ハハハと笑い合う兵士達だが、中の一人が異変に気付いた。


「おい!森が静かだと思わないか!?」

「・・・本当だな。警戒体勢を取るよう隊長に進言しよう!」

「それは困りますねぇ。その前にあの世に行って貰いましょうか。」


 その声のした方に振り向くと、目も覚めるような美人がそこにいた。

 ただし、その下半身は蛇である。


「くそっ!!」

「警鐘を鳴らせ!!」

「遅いわ!!」


 滑るように間合いを詰めた女が、両の手を振るった。

 応戦しようとした兵士達の首が、宙に舞った。

 その手には、円月刀(シミター)が握られていたのである。


「さて、明日にはヴィーグリーズの都を急襲しなければならないんだから、余計な手間を掛ける訳にはいかないわよ。」


 そう言う彼女の背後から、次々に蜥蜴の顔を持つ亜人達が、砦内に入って来た。


「エキドナ様。全員配置に就きました。」

「ならば結構。始めなさい。」


 命令と共に、亜人達は、砦の攻略を開始した。

 剣撃の音と、兵士達の悲鳴が聞こえてくる。

 その声を背に、蛇王ヨルムンガルドの将、エキドナは明日行われる大攻勢を前に、戦いの余韻に浸っていた。

 その彼女の上から声がかかった。


「相変らずいい趣味してるわね。エキドナ。」


 見上げると、そこにはフードを被った女がいた。

 しかし、その背にはドラゴンの翼を想わせる飛翼が存在していた。

 その飛翼を羽ばたかせながら、ゆっくり降下してきた女性は、着地すると、懐から水晶を取り出し、エキドナに渡した。


「フェニヤじゃない。お久しぶりね。ヴィーグリーズへの潜入工作、ご苦労様。

これは?」

「進軍の合図の為の、念話水晶(テレパスクリスタル)。希少なアイテムなんだから、丁寧に扱ってよね!それと、なんでいつも上から目線なのよ!」

「私の方が年上だからでしょう。少しは年長者に敬意を払いなさいな。」

「ううう・・・。」


 恨めしそうに睨むと、フェニヤは空に舞い上がった。


「とにかく渡したからね!くれぐれもファーブニル様の足を引っ張らないでよね!」


 そう言い残すと、風の如く去って行った。


「あれで本当に古代竜(エンシェントドラゴン)なのかねぇ。」

「エキドナ様、完了いたしました。」


 音もなく報告に来た配下に、エキドナは次なる指示を下した。


「よし!このまま本隊は、ヴィーグリーズへ進軍!後は黒龍太子ファーブニル様の下知に従う!!」


 こうして、戦いは更に苛烈を極めようとしていた。

 魔神族側の動きも活発になってきました。

 ジークフリートの大闘技祭も、ついに決勝!

 ヴェオウルフ、そして、ガルガンチュアとの闘いは!?以下次回!!

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