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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 破
107/211

誓約

 流石に国家の威信もかかっている晩餐会である。

 ジークフリートが見たこともないような豪勢な料理が、次々と運び込まれて来た。

 この世界のマナーというのは、中々に大雑把である。

 食事をしながらの歓談なども許されている。

 各国の貴族たちがそれぞれ友好を交わすため、声をかけ合うなか、ガルガンチュアは、ジークフリートに話しかけて来た。


「ときにジークフリート殿、貴殿がこの国に来たのは、リンドブルムを嫁に迎えるためらしいな?」


 ガルガンチュアの隣で、蜂蜜酒(エール)を飲んでいたリンドブルムが、ゲホゲホと咳き込んだ。

 

「ち、父上・・・その儀は。」

「この国の未来に関わることだぞ。おろそかには出来ん。」


 などと、語り合う親子を前に、ジークフリートの頭の中は、完全に停止していた。


(・・・・・・・・・・・・・・・・・え?)


 しかし、横からその問いに答えた者がいた。

 もちろんブリュンヒルデである。


「その通りだ!その為にガルガンチュア王、我が主殿は貴方に挑み、国宝である女神の封石を手に入れるためにここに来たのだ!」


 その言葉に、晩餐会の席は大騒ぎとなった。

 誰もが、国交そっちのけで、この話題に聞き耳を立て始めた。

 ジークフリートは、ブリュンヒルデの方へ顔を向け、目線で問うた。

 しかし、ブリュンヒルデは、分かっているとでも言いたげに頷くと、言葉を続けた。


「主殿は必ず優勝し、貴方に挑戦するだろう!結果、主殿が貴方に勝った場合、二人を婚約者と認めなさるか?いかに!ガルガンチュア王よ!」


 ジークフリートが振り返ると、そこには修羅がいた。

 闘気を放ち、こちらを見据えている。


「覚悟はあるのだろうな?ジークフリート殿?」


 こうなってしまっては、ジークフリートも腹を括るしかなかった。


「受けて頂けますか?」


 闘気を真っ向から受け止め、問いかけた。

 そもそも、ガルガンチュアと闘うため、この大闘技祭に参加したのだ。

 主旨は変わってしまった気がするが、結果は同じだ。

 ガルガンチュアは、笑い声を上げた。


「ガァッハッハッハッハッハ!!いい度胸だ、ジークフリート!気に入ったぜ!だがな、俺に挑むには、少なくとも後三回勝たねばならん!なあ!ゴライアス!」

「応!!!」


 ガルガンチュアの呼びかけに、屈強な大男が立ち上がった。

 ヴィーグリーズにおいて、重戦士団を率いる最強の戦士、そして。


「フェルナンデス!!」

「ハ!!」


 優雅に立ち上がったのは、剣士隊隊長であり、そして最速を誇る剣士であった。


「それだけじゃねえ!今年はもう一人いるぜ!知ってるだろうと思うが、ミズガルズの英雄、ヴェオウルフ殿だ!」


 皆の注目が、一人の老人に集まる。

 老人は、目を閉じ、腕を組んだまま着席していたが、溢れる闘気は、隠し切れていなかった。


「その全員に勝ち!その上で俺に挑むんだな?ヴァルムンクの王子!ジークフリートよ!!」


 その言葉に、会場が揺れた。

 動揺や、戸惑い、そして驚愕が会場に満ちた。

 ヴェオウルフも、目を見開いていた。


「いかにも!」


 ジークフリートは、少しも揺るがず応えた。

 ガルガンチュアは立ち上がり、ジークフリートを見据えながら答えた。

 しかし、その答えは予想の少し上を行くこととなる。


「いいだろう!受けて立つ!!ただし!俺が勝ったら、お前の女、ブリュンヒルデを妻として貰い受ける!!」


 流石に、それは予想していなかった。

 

 

 ガルガンチュアさん暴走!!リンドブルムさんも目が点になっていたことでしょう!

 さて、次回からは、男性部門本選となります。

 強敵ゴライアスにジークフリートはどう挑むのか?

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