本選前夜
「ハアッ!?」
これは、ジークフリートが、ブリュンヒルデからガルガンチュアに晩餐に誘われことを聞いた時の、第一声である。
無理もない、これから本選が始まり、優勝したその上で戦う相手の筈であったガルガンチュアと、いきなり合えというのだ。
「つまり、ヒルデの付き添いで、ヴィーグリーズの王城、スルーズヴァンガル城にあがり、ガルガンチュア王に合うということか?」
「その通りだな!オッ!?エルルーン!カーシャ!丁度よい所に来たな!」
そこには、女性部門の本選で闘った二人の戦士がいた。
「これは、ブリュンヒルデ様。まずは優勝おめでとうございます。」
「驚いたよ。まさか姫様にまで勝っちまうとはね。でも、今度戦うときは負けないよ!」
「楽しみにしているぞ!ところで二人とも時間はあるか?今から王城で、ガルガンチュアが晩餐に招いてくれるそうだ!一緒に付いてくるがよい!」
この言葉に、二人は顔を見合わせた。
その表情は、驚きに満ちていた。
「おい。それって・・・。」
「諦めろ、カーシャ殿。ブリュンヒルデ様はこういう方だ。」
「では、行くぞ付いて参れ!」
闘技場の外に出ると、シュベルトライテ、ジークルーネと共に、ディートリヒ夫妻が待っていた。
特に、ディートリヒ夫妻の喜びようが凄かった。
「おめでとうございます!!ブリュンヒルデ様!!!やりました!凄い儲けですよ!!」
「あなた!!声が大きいわよ!!でも流石です!!ブリュンヒルデ様!!」
殆ど、飛びかかるような勢いでブリュンヒルデを賞讃する二人に、当の本人は更に機嫌を良くした。
「よし!皆!今から王城に出向くぞ!ディートリヒ達も供をしろ!」
シュベルトライテとジークルーネはさほど驚いていなかったが、ディートリヒ夫妻は、先程の喜びようから一転、顔を青くしていた。
二人の様子に、ジークフリートも共感していた。
(やっぱりこれが普通の反応だよな。ヒルデ達が普通じゃないんだよ。)
などと思っている間に、ブリュンヒルデは女性陣を引き連れ、服装を整えるため、買い物へ行くと言い出した。
どうも、アリシアは行かないと辞退したようだ。
なんでも、スキーズブラズニルを留守に出来ないと言って断ったようだが、ディートリヒは恨めしそうにその背中を見ていた。
ジークフリートは、ディートリヒの肩を叩いた。
「そう緊張するな!それに一国の王に顔を覚えてもらえるんだぞ。商売にも役立つだろ!」
そう言われ、ディートリヒも覚悟を決めたようだった。
しかし、アリシアが辞退した理由は、すぐに解ることとなった。
女性陣は、ブリュンヒルデの賞金の一部でドレスを購入したのだが、一言で言うと凄いのだ。
戦乙女三人娘が、である。
煌びやかなドレスを纏った三人は、まるで、女神が降臨したような有様である。
まあ、本当に女神であるのだが・・・。
エルルーンと、カーシャも負けてはいないが、いかんせん相手が悪いとしかいいようがなかった。
出来る女性は、勝つ見込みのない闘いはしないものなのだと、ジークフリートは感心したことだった。
日が暮れだす夕暮れに、ジークフリート達は、ヴィーグリーズの王城、スルーズヴァンガル城の正門の前に立っていた。
「さあ!行くとしようか、主殿!ガルガンチュアに挑戦状を叩きつけにな!!」
遂に、ジークフリートは、ブリュンヒルデの助けで、ガルガンチュア王に対面する!
その席で、一体何が起こるのでしょう!
以下次回!!