表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 破
102/211

二つの流星

 神鎧甲(モノケロス)を装着していたとはいえ、リンドブルムは受けたダメージの大きさに立っているのがやっとの状態であった。

 そのリンドブルムを前に、ブリュンヒルデは宙に浮いたまま語りかけた。


「よく聞け、リンドブルム!そなたの母、ヒルデガルドはトール神の戦乙女(ワルキューレ)であった!」


 その言葉が、朦朧(もうろう)としていたリンドブルムの意識を現実に引き戻した。


「な、なにを言っている?母上が戦乙女(ワルキューレ)だと?」

「そうだ!そもそも、ヒルデガルドの意味は、ヒルデに次ぐ、という意味だ!私もかつて共に、(くつわ)を並べたことがある!彼女の娘なら、その体の内に、戦乙女(ワルキューレ)の力を宿しているはずだ!呼びさませ!その力を!!」


 止めを刺しに行かないブリュンヒルデを怪訝に思いつつ、観客達は、リンドブルムの復活を願っていた。

 リンドブルムもまた、ブリュンヒルデが自分に止めを刺さないのを不思議に思いつつ、語られた言葉が真実であると直感で感じていた。

 そして気付いた。

 自分の内に、未だ力が残されていることに。

 それは、闇の中に灯った光明のようであった。

 その光明の中に、リンドブルムは、母の姿を見たような気がした。


勝者の力(ウイニングフォース)!!!』


 それは、自然と口から出た言葉だった。

 赤い燐光が、身体を包み、その背から光の翼が出現した。

 ブリュンヒルデが、微笑んだ。


「そうだ!それでこそだ!リンドブルムよ!着いてくるがよい!!」


 そう言うと、ブリュンヒルデは空に向け飛び上がった。

 それを追い、リンドブルムが羽ばたいた。


「「「「ウオオオオオオオオオオオオ!!!」」」」


 観客達は、突然のリンドブルムの復活と、空飛ぶ二人の戦乙女(ワルキューレ)に歓声を上げた。

 あわてたのは、ブラギである。

 闘技場(コロッセオ)の上には、客席を守るための結界があるのだ。

 このままでは、二人共、結界に激突する。

 瞬時に、ブラギは自分の弟子達に、念話(テレパス)の魔法で命じた。


『結界を切り替えよ!上部を覆うのではなく、客席を包むのだ!!』


 正に二人が激突する寸前に、結界が切り替えられた。

 ブラギは、安堵のため息をついた。


「これは、心臓に悪いわい・・・。」


 そのブラギに、ガルガンチュアが声をかけた。


「御苦労さん、先生。それにしても、コレは驚きだな。」


 見上げた先の空には、二つの流星が舞っていた。

 流星は、ぶつかっては離れ、再びぶつかるということを繰り返していた。

 ブラギはかつての呼び名が、ガルガンチュアの口から出たことで、彼が本当に驚いていると、実感した。

 空の上で、リンドブルムは雷鳴の斧槍(ガールブレイ)を振り続けていた。

 しかし、やはり空中戦においても、ブリュンヒルデに一日の長があった。

 だが、リンドブルムに恐怖は無かった。

 なぜなら、ブリュンヒルデは自分に空中戦の仕方を教えているのではないかという確信があったからだ。

 致命的な隙は何度もあった筈だ。

 なのに見逃している。

 リンドブルムは、ブリュンヒルデのその背中に、母、ヒルデガルドの姿を重ねていた。

 戦乙女(ワルキューレ)はやっぱり飛ばないとね!

 ちなみに、ヒルデガルドの名前の意味は、カラスが勝手に決めました。

 本当は違います。(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ