夢
初夢は、相変わらず中学の頃の夢で。副部長と仲直りした夢でした。遠くながら、幸せを祈りつつ。
家族旅行で、海を渡りました。目の前に広がるエンターテイメントの世界は輝いていて、とても綺麗で。最初の頃は素直に楽しんでいたのですが、後半、何か『もやっ』とするものが心の中を浮遊しだすようになってしまい。その『もやっ』は、段々と言葉になって聞こえるようになって。耳を澄ましたら、やはり、舞台側に携わりたい、と。
———お客さんに感動を届ける
昔の言葉が蘇る。あぁ、なんだ。好きだったんだなぁ、なんて。そうだよ、楽しかった——。
舞台はスポットライトで熱いくらいで。たくさんの拍手と、その日のための衣装。積んできた練習とずっと共に生きた仲間が側にいて。本気で。
眩しかったんだな。楽しかったんだな。
あのときは、無理やりたくし上げた私がいた。届かない場所に、心を捻って、息を止めて辿り着いて。なにがだめだったんだろう、って思っても、今でもわからないけれど。
あ、昔より愚痴れるようになった。意見を言えるようになった。辛いときに、辛いって言えるようになった。無理している自分に気がつけるようになった。苦しい時期があったぶん、優しい人にたくさん出会えた。
今度は、この身ひとつで、なにができるだろう。
ひとりぼっちの夢。
鋭いくらい、つめたい夢。
小さくて、大き過ぎる夢を見つけてしまった。
エンターテイメントの、端っこに。
夢を見せる仕事の、真ん中に。
ほんとうにやりたいことを、見つけてしまった。
疑問に思っていたことの全ての辻褄が合って、泣きたいくらいに感情が込み上げてきて。
これが躁なら、それでもいい気がする。なんて。
親というのは、自分の子供がどう転んでも安定した生活を送れるようなところまで、持って行かせたいものなのだと、母は言いました。
全てを投げ打って、自分に賭けるような。
危険な夢は、だめですか。
———心の中でそっと問う。
でも、まだないしょの夢なら、ちょっとくらい見ててもいいよね?
例え、その憧れに辿り着けなかったとしても。そこまでの粘り強さと努力する力は無駄にはならない。その上、そういう力は……勉学でも鍛えられる訳で。
何もせずに何かの才能があるわけじゃないよ。
ものすごい努力して、努力して、ちょっぴり、人並みより何かができるようになるの。うちはそういう家系なんだよ。
なんて母に言われたら、
「でも性格は遺伝と環境、半々なんだってよ!」
なんて言い返して。
「いま凄い恵まれた環境にいるじゃないか」
なんて、父は返す。
口ごもった私は、この力をばねにすることを強かに誓うのでした。
子供と大人の境目で。子供分と大人分の夢を持つ。
そうやって大人になるんだよ、なんて、母は笑うけど。
いいんだよ。まだ痛みを知れる時期だと思うの。いろんな方向に全力を注いでみたい。疲れるのは知ってるけど、いいの。
転ばせて欲しい。
大陸を発った飛行機の窓から、雪景色の上で。
潤ったような夕焼けが、青い空を染めていく。
世界が変わった音がした。




