雨室
「少しずつ確実にできることから始めなさい」
保健室の先生はそう言った。
できた、って嬉しくなることが、自分を次の挑戦に導いていくから。
「もし、挑戦に失敗したらどうするんですか」
失敗のないように、本当に確実なことから、馬鹿みたいに小さなことから始めるのよ。そうすれば次の振れ幅も大きくなるから。
あるサッカー選手の夫さんがそう言っていたらしい。
「それにね、あなたがこうなる前に止めてあげたかったと思う」
私の所属していた部活は、数年前まで大荒れだったらしく、3年前に赴任した顧問は立て直しに奮闘していた。
どこまで外部の人物が介入していいのか、保健室の先生も悩みものだったそう。
ぼんやりと。ただぼんやりと。
苦しいことも、辛いこともわかるんだけれど。不思議と「こうなった」自分のことも嫌じゃないような気もしてくる。
疲れてくると、言葉を選ぶ能力が低下するのは考えものだと思うけれど。
それは別に、その所為でもない。人間のひとつの性だと思う。そんでもって「その所為」って思うのも、可笑しいような気さえしてくる。
みんなちがうけれど、おんなじ。
みんなちがって、みんないい。
こういうこと言うのかなぁ……見上げた空は泣いていた。




