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再会

「マイラさん」


「マイって呼んで。2人は昔……夢の中で会った友達に似てる気がするからそう呼んで欲しい」


この言葉を聞いた時にはもうアリシアの心臓はたった4年の人生、いや前世を含めた20年と少しの人生の中でも1番鼓動が早かっただろう。


ただ、そんなわけが無いという冷静な気持ちもどこかにあった。


ありえない。


だけど何となくそんな気が、そうであって欲しいという気持ちが次の言葉を口から押し出していく。


「わかりましたわマイ、あなたは先程ギャルと言いましたか?」


2人の会話を祈るように、固唾を飲んで見守るリリーも先程の明るい顔から真剣な顔になっていた。


リリーの心臓もまたほんの少しの期待に高鳴っていたのである。


そしてマイラはと言うと


「言った。夢の中の友達が使ってた言葉でリリみたいな女の子のことを言う。もう戻れない夢の中の友達もリリって呼ばれてた」


3人の中はもうほとんど確信になっていた。


「わたくしにももう戻れない夢の中のお友達がおりますの。大切なお友達、リリとマイ、わたくしはアリサと呼ばれておりましたわ」


「アリサ、マイ……」


「どういたしましたか?リリ?」


「ホントに……?ホントに2人なの……?」


もうリリーの涙腺は決壊していた。


「わ、わたしも……そうだったらいいなって……お、思ってたら言葉が出ちゃって……うぅ………」


マイラの顔も涙でぐちゃぐちゃになっていた。


「お2人とも……会いたかったですわ……!!」


3人は抱き合って大声で泣いた。


何も分からない世界に生まれて4年、その空いてしまった時間を埋めるようにしっかりと抱きしめて。


その声を聞いて慌てて近づく父達と衛兵たち。


そう、ここは王城の庭、端とはいえ王族の住まう敷地内で小さな子達が大声を出せば衛兵は駆けつける。


「お、お前たちどうしたんだ?いきなりそんなに泣いて、何かあったのか?」


アリシアの父コーディは慌てた様子で尋ねるが誰も答えることは出来ず泣き続けるばかり。


「これはレイランド伯爵様、失礼致します。こちらはどのような状況でございましょうか?」


駆けつけた衛兵も戸惑いを隠せず尋ねてくるが皆困惑した顔をするのみ。


「すまない、陛下にはこちらからお伝えするのでそっとしてはもらえないだろうか」


「承知致しました。よろしくお願い致します」



それから数分後、やっと泣き止んだ3人に父達はゆっくりと理由を尋ねた。


その時も3人はギュッと手を繋いで離さなかったのはとても微笑ましい光景だった。


「それでどうしたんだい?アリシアがこんなに泣くなんて珍しいじゃないか」


「リリーもこんなに泣いてしまって」


「マイラがこんなに泣いているのを初めて見るな……」


「夢でお会いしたお友達にまた会えたのです……」


自分でも荒唐無稽なことをいっているのはわかる。


だがこれだけ大騒ぎをしてしまった手前、言い訳も思いつかず言えることを端的に話すしかなかった。


「そうか」


「え、信じていただけるのですか?」


詳しく尋ねることもせず納得する父に驚くアリシア。


「君は覚えていないかも知れないが、昔君がもっと小さな時に夢見が悪くて大泣きしながら起きたことがあったんだ。その時に『友達に会いたい、リリとマイに会いたい』って言うもんだからね。どこにいるんだい?って尋ねても会いたいけど会えないとしか言わなくてね」


アリシアは覚えていた。


何となく前世の記憶がハッキリしてきてこちらの両親に何となく馴染むのが気まずくなりかけていた時だった。


コーディに抱きついてわんわん泣いていたのだ。


その時のことをまだ覚えているのは少し嬉しかったし

そのおかげでこちらの両親だと、ちゃんと自分を産み育ててくれた人達だと納得した出来事だった。


「さて、みんなも落ち着いたことだし陛下に謝りに行こうか。私達も説明するし一緒に謝るからね」


そうしてアリシアたちは陛下の元まで謝罪と説明をしに行くのであった。

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