新しい人生?
それぞれ趣味も性格も全く違うけど、小さな頃から一緒にいる幼馴染三人娘は異世界でももっと仲良く暮らします!!
アリシア・レイランド、レイランド伯爵家の長女として2人の兄の下に生まれ、何不自由なく生きている。
言葉を話せるようになる頃には乳母から色々なことを教えてもらい、それを簡単に覚えすぐに家庭教師をつけられた。
天才ともてはやされながらも皆に可愛がられ育てられた。
それもそのはず、アリシアには前世の記憶があった。
「数学などは前世からの知識からなんとでもなりますけど、歴史や地理なんかも頭にスルスル入って楽しいですわね。まだ高いはずの本もたくさんありますし、将来が決まってない今学ぶのはいいことでしょう」
1人呟くその言葉の後に、寂しげなため息をついたのだった。
「アリシア、王城に行くぞ」
その日アリシアは父であるコーディ・レイランドに声をかけられていた。
「かしこまりました。しかしどういったご用件でしょうか?」
「グレンとハンドルの奴らが自分の娘が国で一番賢いと申すのだ。まだ4歳の娘がだぞ?だからうちの娘が一番賢いとわからせに行くのだ」
「お父様、わたくしも4歳です。ですが同い年の方はまだお会いしたことがないので楽しみです!参りましょう!」
貴族の子女は5歳になるとお披露目のパーティを行うのが習わしだがそれまではなかなか同い年の子供に会う機会はない。
滅多にない機会にアリシアの心は踊っていた。
だがそんなことで王城に向かうなど、いくら王城で働いている貴族とはいえ大丈夫なのだろうか。
そんなことを考えているアリシアの心が父に通じることはなかった。
王城の庭のひと区画、小さな東屋で三組六人は顔を合わせていた。
「この子が我が家の長女であり容姿端麗でとても賢いアリシアだ、可愛いだろう!」
コーディはアリシアの頭を撫でながら自慢げに声を上げた。
可愛い娘をそのような自慢に使うのは良いのだろうか。
「アリシア・レイランドと申します。お見知り置きを」
一歩前に出てカーテシーをするアリシアと向かい合いながら挨拶をする2人の大人たち。
「スフィア・グレンです。よろしく頼みますよアリシア嬢」
「トング・ハンドルと申します。よろしくお願い致しますアリシア様」
「2人ともいつになく畏っているではないか、気持ち悪いな」
「当たり前だろうコーディ、彼女は伯爵家令嬢だぞ?」
「そうですよコーディ、私たちのような名前だけの貴族とは違うのですよ?」
「んぐ!?その伯爵家当主なのはこの私コーディ・レイランドなのだが!!」
三人とも前当主同士の仲が良く幼い頃からの知り合いなので立場を気にする公の場以外ではこのように軽いやりとりなのである。
もちろんこれを初めて見たアリシアはキョトンとしていたが、2人の陰からこちらを見ている小さな2人の人物を見て声を上げた。
「大変申し訳ないのですが、そろそろそちらのお二方もご紹介頂けますか?」
「おぉ、すまないね。マイラおいで?」
スッと前に出てきたのはほとんど黒と言っていいグレーの髪を肩のあたりで揃えた女の子だった。
「この子が私の一人娘、マイラだ」
「マイラ・グレンです。」
ぼーっとしてるような無口なだけのような、よく分からないがアリシアの第一印象だった。
「リリー、こちらに来なさい」
「リリーでーっす!!よろしく!」
(ギャルだ)
「ギャルだ」
「「ッ!?!?」」
確かにマイラはギャルと言った。
明らかにこの世界には無い言葉であろう、今までいくつも読んだ本にも出てこない前世の言葉である。
そしてリリーもその言葉に反応していた。
「すまないね、リリーはたまに変な言葉を使うんだ。ちゃんとした言葉使いも教えてるんだけどね」
そんな言葉はもうアリシアの耳には届かなかった。
ただこの2人と話してみたい、自分という存在がいるから他にも、と一縷の望みに掛けてみたい。
「お父様、わたくしはこのお二方とお話してまいります。」
「誰が賢いか知恵比べは……」
「そんなものいつでもできます!!では」
2人を連れて少しだけ離れたベンチに向かうアリシアであった。
※ご都合主義のダラダラ異世界ライフになります