夢見る少年は1人の少女に恋(乞い)をする。
初作品です!コメントください!
(寒いなぁ)
少年は手を擦り合わせながら空を見上げた。
白い雪と口から出る白い煙が少年の瞳の前を通り過ぎていく。
「はぁ。」
何度も大きなため息をついた後、ゆっくりと歩き始める。
130センチの小さな体が震えている。
白い頬が赤く染まり、小さな足は膝の上まで雪に埋まっている。
肩の雪を払いながら少しずつ少年は歩みを進める。
「ジル!どこ行くの。」
か細い声で少年を呼び止める声が聞こえる。
「ミルじゃないか。なんでここにいるの?」
「お母さんにお使いを頼まれたの。ジルは何をしているの?」
少年は俯いた。
「父さんを探してたんだ。なかなか帰って来ないからさ。迎えに行ってあげようと思って。」
少年は寂しげな表情で少女を見つめた。
緑の瞳は弱々しく、どこか別の場所を見ているかのように見える。
「そっか。見つかるといいね!」
少女は無邪気に笑いかける。
優しく少年の肩を叩く。
「ジルのお父さんはどんな人なの?」
隣を歩く少女は問いかける。
「僕の父さんは冒険者なんだ。優しくて、みんなの人気者で誰よりも強い。自慢のお父さん。」
「へぇ。会ってみたいな!」
「そうだね。いつか会わせてあげるね。」
少年は自慢げに少女に言った。
「僕お父さんみたいな立派な冒険者になるんだ!強くなってみんなを守るんだ。お母さんも、お父さんも。ミルだって守ってあげる。
」
次第に明るい声から震えた声になっていく。
涙が足元の降り積もった雪を溶かしている。
「ジル...」
少女の顔からは笑顔が消えていく。
少年の目には涙が流れている。
「探し物は見つかったかい?」
1人の老人が2人に近づいてきた。
洗濯された綺麗な修道服の女性は少年と少女を見つめている。
優しい声でいった
「2人とも寒いでしょう。うちに帰りましょう。」
そう言うと2人は顔を合わせて頷いた。
「「帰ろう。」」
声を揃えて2人は言う。
街の街灯が明るく眩しい。
暖かな光が街のあちらこちらから絶え間なく流れ込んでいる。
とある小さな町の2人の少年と少女が過去と未来をめぐり強く育っていく物語...
「ジル!いつまで寝てるの!起きて!」
そして、16歳の誕生日から始まる、少年が少女に恋(乞い)する物語。