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社畜 修復を待つ

懐から薬を取り出す

前回の戦闘で受け取ったが使わなかった傷を治す薬

(これを使うか? 時間がかかるから早めに使うべきだがこの先負傷しないとは限らない)

薬は一つしかない

今使えば後で負傷した傷は癒せない

しかし、今使わなければ片腕は使えない


「腕は剣に命令すれば動かせる。感覚がない、痛みも感じない今限定ではあるけど……途切れずに済んで良かった。片腕を失うのはきつい」


片腕を失うと戦闘どころか日常生活でかなりの支障が出てしまう

この薬では失った腕は治せない


『今は床に立っているのか?』

「そうだよ」

『なら取り敢えず上に向かう階段を見つければ……』

「あっても登れなくないか?」


洞窟型のダンジョンは上に登る階段と下る階段は真反対にある

その為そこまでの道が無ければ行けない


『……あぁ、そうか。壁はよじ登れないよな?』

「流石に無理」


(それは負傷してなくても無理だな)

負傷の事は隠す

余計に心配はさせたくない

いざとなれば薬がある


『救助も行けるとしてダンジョンの床修復してからですし……あの大群を押し退けてもどの階層に居るかわからないですし……』

「ダンジョンの修復ってどのくらいかかる?」


ダンジョンの内部は時間が経てば修復される

特に破壊されやすい洞窟型は早い


『そんなに時間はかからないと思うが……何せこの穴だからな。予想が出来んな』

『全て治るのは……最悪数時間かと……私が急げばこんな事には』

「いや竜胆さんのせいじゃない。むしろ竜胆さんの異能で移動出来たから落下時に壁付近まで行けて剣刺して何とかなった」


(鎖が無ければ確実に死んでいた)

最初地面が崩れた時壁からは離れた位置に居た

あのまま落下していれば壁に剣を突き立てる事は出来なかっただろう


『落下位置は入口側だよな?』

「その筈」


剣を突き立てた壁は入口側の壁


『なら付近に階段がないか?』

「見てみる」


辺りを照らして壁側を確認するとすぐ近くに階段があった


「あった」

『それは上に続く階段か?』

「そうだね」

『なら奇数階層か』

「奇数階層?」

『まぁ分かったからと言ってどうという訳では無いがな。ダンジョンの仕組みからして入口側の階段が上に続く場合は三階層、五階層と言った奇数の階層になる』

「成程」

『落下距離が分かればある程度階層数は分かるんだが』

「流石に分からないな。どう動けばいい?』

『いや、下手に動かない方がいい。救助はいつになるか分からない以上下手に動くのは禁物だ。そちらからの脱出も修復までは無理だしな』

「最下層かどうかの確認だけするか」

『反対側に階段が無ければ最下層だが……そう言えば通路型か?』

「いや、部屋みたいな空間だ」

『それは恐らくボスエリアだな。基本的なダンジョンなら二択だが……五階層までなら私らでも行けるが……ダンジョンの主部屋だと無理だな』

「ここの中ボスの情報で異能は?」

『異能を使ったという情報はありません』

『鶏君も勘づいてたか』

「あれは巨体の魔物の力では無い」

『二人とも何を?』

『恐らく鎖を破壊したのは異能持ちの魔物、そして今鶏君が居るのは通路型ではなく部屋型だ』

『まさか異能持ちのダンジョンの主?』

『見えない何か、風か何かを、天音がやってるように撃ち出したんだろう。威力と範囲は桁外れだがな』

「最悪ここで二体の魔物と戦う事になる。巨体だけでも一人で相手するならきついんだがな」

『動かない方がいいとは言ったが効果あるか分からないが階段に居た方が良いんじゃないか?』


魔物は基本的には階段に侵入しない

例外があるため確実では無いが限定的な安全地帯となる


「それもそうだな」


階段に入る

階段は破壊されていない少し登って座り込む

救助が来るまでかなりの時間がかかる


『一応何人かの探索者に呼びかけては見ましたが流石にすぐは無理そうです』

「呼びかけありがとう」

『水はあるのか?』

「携帯食と水はある」

『携帯食もか、なら暫くは大丈夫だな。まぁ一番の問題はそこじゃないが』

「付近には魔物は確認出来なかった。あくまで付近にはだけど、それに炎使ってたから居るなら相手にはバレてると思う」

『……私も探索者の何人かに当たってみる。このダンジョンの等級が分からないから実力ある数人だけだが』


(僕も誰かに連絡できたらするべきだよな……居ないな探索者の知り合い)

仮面を外してボーとして待つ

(帰ったら何食べようかな。昔やってたゲームやろ)

適当な事を考える

今は生き残れるか分からない一種の極限状態

適当な事を考えるなりで気を紛らわせなければ精神が持たない

蓮二は一般人だ

警戒も解く

警戒を解くのは危険だが警戒するのは体力と神経がすり減る

体力を失った状態で魔物と対峙するのも危険

しっかり音は聞いている

近づいてくる音があれば反応出来る

時間が過ぎていく

(今どのくらい経った?)

携帯は必要な時に使えるように開かない

何事もないのがむしろ怖い

あの時間違いなく魔物の攻撃を受けた

下にその魔物がいるはずなのに一切手を出してこないのだ


「ダンジョンの修復はどう?」

『見た感じは進んでない。修復が上からか下からかにもよるが……上からだとしたら遅過ぎる気がする』

「今どのくらい経った?」

『丁度一時間だ』

「一時間か」


(これはだいぶ時間がかかりそうだな)

蓮二は長期戦を覚悟する


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