社畜 ピンチ
前衛二人が戦い天音が異能と風の弾丸で援護する
鎖の拘束は直ぐに破られるがそれでも僅かな時間動きを封じられる
その隙があれば二人は動ける
どんどん魔物に傷が増えていく
魔物の動きも戦いの中で変わっていく
同じ手はほぼ通じず対応してくる
「きつい」
腕の傷と腹の痛みで思うような動きが出来ない
ましてや槍を奪われている
（せめて剣が欲しいな）
槍の攻撃を短剣で凌ぐ
魔物の槍の使い方が上手くなっていく
背後から剣で斬り掛かる
「削り切れないな」
一鬼は短剣の能力を使い短剣から水を飛ばす
念の為に持ってきて使うつもりの無かった武器の為能力の威力が低い
傷を付けるどころかダメージにはならず軽々と手で止められてしまう
「その剣何か能力無いの？ それか異能」
一旦合流する
「残念ながら今使っても倒しきれない。この剣は無能力だ、こんな事ならあれを持ってくるべきだった」
「時間制限ありの異能かぁ」
「お前は？」
「残念ながら使えないのとこの水鉄砲」
「そうか」
魔物が突っ込んでくる
一鬼が水を飛ばして僅かに勢いを殺し葉一が前に出て剣で槍を防ぐ
背後から飛び出て短剣を突き立てる
背後を風の弾丸で攻撃する
「あっ……」
天音の方を一瞥した一鬼は思い出す
天音は風の短剣以外にもう1つ剣を持ってきている事に
「天音！ 剣！」
一鬼が叫ぶ
（剣？ あっこの剣）
意図に気づき剣を投げて渡す
魔物がそれに気づき剣を奪おうと手を伸ばす
その腕を思いっきり剣で叩く
「これ以上奪わせん」
魔物の身体に蹴りを当てて剣を振るう
魔物は手で剣を止め槍で刺そうと向ける
天音が複数の風が弾丸を飛ばしてその1つが槍に当たり槍がズレて攻撃を外す
「外れだ」
槍を持つ手にも剣を叩きつける
一鬼が投げられた剣を取り短剣を天音の足元に投げる
天音が短剣を受け取る
「弱いがそれなら扱えるはずだ」
「分かった」
この剣は扱いづらくまだ使い慣れていない事から天音は使っていない
この剣の能力は単純
所有者の身体能力強化、倍率は使い手によって変動するが単純で強い
しかし、欠点がある
（早めに倒さないとな）
素早く移動して斬り掛かる
ガキン
甲高い音を立てて傷が付く
一撃で傷が付いた
「思ったより強いな」
素早く連撃を繰り出す
突然早くなった一鬼の動きにも魔物は反応し切る
槍で連撃を凌ぐ
「化け物が」
剣による攻撃を槍で防ぎ蹴りを繰り出す
反応し蹴りを避ける
魔物は突きを繰り出す
大きく飛び退き回避して距離を取る
葉一の剣と天音の風の弾丸が襲いかかるが2つとも槍で薙ぎ払う
水の攻撃は無視をする
葉一に振り下ろしをする
咄嗟に回避する
地面が削れる、下手に受けたら衝撃が腕に響いただろう
一鬼が剣で戦う
槍の防御を突破し剣が魔物の身体に当たる度に傷が付く
「どうした疲れたか！」
そのまま剣による攻撃を続ける
速度が上がっていく
槍で防御だけでなく回避もして剣による攻撃を捌く
葉一の剣が魔物に当たる
鎖による拘束を受け重い一撃が叩き込まれる
これなら押し切れる
そう考えた一鬼は更に攻撃の手を早める
そう甘くは無い
魔物は槍を放り投げる
「槍を捨てた？」
「なぜだ」
槍を持った魔物はかなり厄介だ
攻撃の範囲が広がり槍で攻撃を防ぐ為、素手の時よりも厄介と言える
それなのにそのメリットを捨てたのだ
「まぁ槍を捨ててくれたのは助かる」
一鬼は槍の回収を試みるつもりでいる
欠点のある剣よりあの槍の方が使いやすい
「獅子神！」
天音が叫ぶ
捨てられた槍に意識を割いていた一鬼は魔物の移動に気づかなかった
咄嗟に剣で拳を防ぐ
「危なっ」
ギリギリで防ぐ
続けて蹴りを飛び退いて回避する
剣を構えて突きを繰り出す
軽く刀身を叩かれズレて外れる
そして魔物は大きく踏み込み拳を振るう
攻撃した際に出来る無防備な状況を狙われた
すぐに天音と葉一が攻撃を仕掛けるがビクともしない
一点集中の風の弾丸はダメージこそ少ないが衝撃が身体を少し揺らしていたが今回はそれすら無い
魔物は全力で殴る
拳を受けた一鬼は吹き飛ばされる
「ごっ……はっ……が……」
「獅子神！」
そのまま地面を転がる
口から血を吐く
立ち上がろうと身体に力を入れるが身体が震え立ち上がれない
（防具ありで……）
大量の血を吐き地面に血溜まりを作る
防具を付けていた事で何とか身体へのダメージが減り即死は免れた
「ちっ」
葉一が剣を振るう
攻撃を避けて連続で斬り掛かる
（あのダメージでは復帰は無理だな）
一鬼を一瞥して判断する
魔物は攻撃を辞めて攻撃してきた葉一の剣を掴み引っ張る
すぐに剣を手放して蹴りを繰り出す
剣を投げ捨てて攻撃をする
変えの武器は持っていない
拳と蹴りで戦う
ギリギリで攻撃を交わして横腹に打ち込み蹴りを叩き込む
蹴りを手で防がれ足を掴まれる
「反応するか」
足を強く握られる
「ぐっ」
足が折れるんじゃないかと思うほどの激痛が走る
拳を振るうが緩まない
そして足を掴んだ腕を振ってダンジョンの壁に投げ付ける
葉一の身体は壁に叩き付けられ血を吐き倒れる
「鎖よ縛って！」
四本の鎖が魔物を縛り付けるが一瞬で壊される
「天音さん下がって！」
蓮二の声に反応して蓮二と叶の居る方に駆ける
蓮二が溜めた炎を放つ
三人に当たらないように範囲を狭めた一撃
天音は横に飛び回避する
魔物も反応し上に飛び上がって天井を掴み回避する
回避された事を見るとすぐに炎を放つ
魔物は軽々と避ける
前衛二人は状況的に戦闘続行は不可能
蓮二も傷は癒えていない
絶体絶命と言える状況に陥る
「葉一もやられたか……止むを得まい」
