社畜 激闘
炎の腕で触手を焼き払い突っ込む
圧縮した炎を叩き込めばダメージになる、ただ問題は触手の壁をどう突破するか
買った剣の能力は弱い、一鬼の一撃でも触手を切り裂く事ができなかったという事を考えればこの剣は今の場面で打開策とはなり得ない
「これならどうだ!」
拳のような形の炎の腕を巨大な刀のような形に変化させて振るう
防御している触手を焼き斬る
触手による攻撃も斬り裂く
『おぉ大きな刀!』
『拳じゃ突破できないと踏んで形を変えたか』
『かっこいい!』
『ニワトリ君いけぇ!』
『ファイアー!』
『斬り刻め~!』
触手で攻撃してくる
炎の腕は変形させても自身から一定距離までしか自在に操作は出来ない
魔物はそれに気付いているのか距離を取らせる
(方法はあるんだが今じゃないな)
2本の炎の刀で触手を斬り裂く
溜めている炎とは別の炎を放って攻撃する
触手で防がれる
突っ込んで刀を振るう、触手を焼き斬るが触手を束ねた拳に刀が防がれる
『あの拳厄介』
『焼き切れないのか』
『大量の触手を相当の密度で束ねてるからな。それに焼いても再生してるんだろ』
『頑張れー』
『ニワトリ君負けるな~!』
『勝ってー』
『負けるなー行け~』
2本目の同じく大量の触手で作られた拳に防がれる
拳は重く触手の密度も高く焼き斬れない
攻めきれず押し切られると考えてる一度距離を取る
束ねられていない触手を伸ばして追撃してくる
炎で防ぎつつ出来る範囲で回避する
炎の刀2本にかなり炎を使っている、その上で現在炎を溜めている
今自由に操れる炎が少ない、攻撃か防御のどちらかにしか回せない
炎の刀の連動を一時的に解除して剣を抜いて斬り掛かる
触手は固く斬れない
(だよな)
攻撃してくる触手を剣で受けて弾く
衝撃が手に伝わる
(キツっ)
何度か受け流すが手への衝撃が大きい
掘り出し物の剣、耐久力は高い
上手く炎と剣を使って捌く
「ここからじゃ見えないな」
天音は一鬼を連れて階段に避難していた
階段であれば魔物から隠れられ尚且つ上の階層の魔物は降りてこない
「隠れてるからね、あと配信画面で見れる」
配信が見れる機器を渡す
「それは助かるな。凄いなあれとやり合ってる」
「鶏さんは強いですから」
「まさか足手纏いになってしまうとはな」
『大丈夫なの!?』
『出血は止まってるみたいだな……杖の効果か』
『治癒系の杖か、効果はそこまで高くないみたいだが』
『それでもこれなら何とか暫くは持ちそうだな』
『治癒系の異能者見つからないのか……』
『獅子神さんがどのくらい持つかにもよる』
杖の効果もあって出血は収まっている
それだけでは足りないと考え天音がとある薬を使った
ただその薬は時間稼ぎにしかならず副作用もある
そう長くは持たない、あの魔物を倒し切るまで待ってられるとは限らない
今回は特に相手が悪い、再生持ちと言う泥仕合確定の相手
(何とか延命は出来てる……だけどそう長くは持たない。でも私一人じゃ入口に行けないし)
天音の力では3級の魔物は突破出来ない
「行け、君の異能なら役に立つ」
「私が行っても邪魔になる。私は弱いから……」
「少なくとも君の異能なら打開する術になるかもしれん……今の私よりは役に立つ。それにあの短剣を貸しただろ」
必ず拘束出来る異能、あの魔物に対してはほんの一瞬に過ぎないだろう
だがその一瞬が勝敗を決する可能性は充分にある
それだけ蓮二の異能は強くあの魔物と渡り合っている
「それとこの剣を持っていけ」
一鬼は自分の剣を渡す、一切能力を明かしていない剣
「これが打開策になる?」
「多分な、そいつはかなりのじゃじゃ馬で制御に一苦労だが強い。鶏君が扱えれば勝ち目は充分にある」
「……分かった」
『秘密兵器?』
『その剣の能力?』
『一度も配信にでてない能力』
『じゃじゃ馬なのか……』
『じゃじゃ馬な分それだけ強いのか』
『戦線離脱してる今使えるのはニワトリ君だけ』
『使いこなせるか限らないのか』
『でも勝ち筋はこれくらいしか……今結構拮抗してるし』
天音は剣を抱えて立ち上がり階段を降りる
「その杖の能力は治癒だから自分で使ってて」
「はいよ」
天音は蓮二の元へ向かう
ドローンも付いていき一鬼は1人になる
「ちっ」
蓮二は触手の猛攻を捌いていく
攻撃が近付けない、炎を放っても防がれる
一度炎の刀を解除して炎を一旦全て防御に回す
深呼吸をする
「……くっそ、勝ち筋が見えねぇ……時間をかけてられねぇんだよ! こっちは!」
このままでは埒が明かないと考えて真正面から突っ込む
『真正面!?』
『其れは危険過ぎだって!』
『早まらないで!?』
『いや何か策があるのかも』
『このまま泥仕合続けても倒せるか分からないからね』
『一気に勝負に出たってか……すげえなニワトリ君並の精神じゃそんな事できねぇぞ』
『肝座り過ぎ』
炎で炎の刀を2本作り触手に備える
自分に当たる範囲の触手のみを切り裂き最短で突っ込んでいく
目的はただ1つ溜めに溜めた炎を胴体にぶち込む事
捌き切れていない触手が掠るが問題なく進む、多少の傷程度であれば許容して突っ込む
防御の為に展開された触手の壁を2本の炎の刀で焼き斬る
壁が無くなった所に炎を放つ
攻撃に使って切られた分の触手を再生させてギリギリで防ぐ
再び刀を振るい再生した触手を全て焼き斬る
触手の盾は無い、絶好のチャンス
「くたばれ!」
このタイミングで溜めた炎の玉を飛ばす
爆発するように前方に広がり炎が襲いかかる
触手の再生が間に合わず体が焼かれた魔物は大きく叫びを上げる
2本の炎の刀で追撃する
これで倒し切れなければ今の行動に対応される
このチャンスを逃さず今畳み掛けて倒さなければ倒せない
魔物は触手を暴れさせる
触手を焼き斬り燃やしていく
「数が多い」
魔物は出せる全ての触手で襲いかかってきていた
炎の刀で捌いていくが足りない
このままでは再生が終わってしまう
燃え上がり苦しんでいる魔物は触手に再生能力を割いている分遅いがそれでも確実に再生している
猛攻を捌いて追撃しないと倒し切れない
「しまっ……」
炎の刀で焼き斬った触手に隠れていた触手の攻撃に反応が遅れ炎を放つ余裕もない
「鎖よ縛って!」
『天音ちゃん参戦!?』
『まじか!』
『大丈夫なん!?』
『今の状況なら助かると思うけど……』
『獅子神さんから剣預かってる。話によるとじゃじゃ馬らしいけど』
『じゃじゃ馬? そういや能力を一度も配信で使った事が無いって聞いたな』
『制御が難しいけど強いのかも』
4本の鎖が触手を拘束する
縛れているのは1番先頭にあった4本だけだが炎を放つ分の隙が生まれた
すかさず炎を放ち触手を焼く
「使ってください!」
天音は剣を勢いよく放り投げる
(あれは……獅子神さんの剣)
剣を受け取る




