結婚の約束をした幼馴染
俺、霧海拓真にはいわゆる幼馴染というものがいた。
彼女ーー姫宮雫とは保育園の頃から長い付き合いで小さい頃から毎日と言っていいほど遊んでいた。
そしてあの頃の俺たちは子供ながらに無責任な約束をした。
そう結婚の約束である。
俺は彼女に「絶対にしあわせにするから!」とまぁなんとも保証のないことを言ってしまった。
だが案外彼女はその提案を受け入れてくれた。
「じゃあずっと私の隣に居て私を支えてね?」
彼女は微笑みながらそう言ってくれた。
俺はその答えを聞いてとても嬉しかった。
そして心に誓った一生この子の側に居ようと、……だがその理想はあっけなく崩された。
俺と雫はそれぞれ別の中学に行くことになってしまった。
理由はーーそう学力だ。俺と雫とでは学力に圧倒的なまでの差があった。
そして中学に入学して、初めてのテストで90人中85という順位がでて自分の無力さを実感した。それと同時にこのままでは彼女を……雫を幸せにすることはできないと強く思った。
それから三年間その順位が変わることはなかった。
そして結果的に俺は俗にいう底高校に通うことになった。誰もが底辺高校だと知っているある意味有名校だ。
きっと彼女は俺とは違いもっといい高校に進みその先もきっと明るい未来が待っているのだろう。
願わくば俺が彼女の隣に立ち彼女を支えたかった。だが、俺と彼女では生きる世界が違いすぎる。
だから俺は決めた。彼女のことばかり考えるのはもうやめようと、これからは普通を目指そう、普通になれれば新しい恋もできるだろうだから……
彼女のことは忘れよう。
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