世界図書館の司書、ヴィオリ
ヴィオリは頭を上げ、ナズナとグローリアが抱えていた本を見てからデスクの奥へ移動する。猫は気ままにデスクの上へ飛び乗って毛繕いを始めた。
「必要な書類はこれで良かったんだよね…」
彼はデスクの引き出しから数枚の紙を取り出し、私たちに向けるように置いた。
「お礼と言っては物足りないけど…君たちの貸出期限を無期限にさせてもらうよ。だから…一年後でも十年後でも、いつでも好きな日に返しに来てね」
「へぇー気前がいいじゃない」
グローリアが微笑しながら言うと、ヴィオリも微笑み返す。
「こんなことしかできないけどね。ただし、ここにある本は全て原本であり、初版本だから、紛失してしまっただけで大罪人になってしまう。そこだけは気をつけて欲しい」
「ご忠告、ありがとうございます」
ナズナは深々と頭を下げ、感謝の意を述べる。
「それじゃぁ司書君、アラリカちゃん、また来るよ」
ナズナが頭を上げたところで神様が私の肩の上に飛び乗り、最後に私たち四人の紹介をした。
「それでは…伊倉さん、グローリアさん、ナズナさん、そしてラクイラさん…またのご来館をお待ちしております」
ヴィオリとアラリカに最短距離で出入口にまで案内され、見送られる。二人は白猫をよそに体を寄せ合い、幸せそうな表情で手を振っていた。
「それじゃ、目的は果たしたし、帰ろうか」
二人と一匹に見送られる中、神様の体に捕まり、神の力でナズナの屋敷へ瞬間移動をした。
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「やっと着いたー!あんまり変わってない…今居るかなー…パパとママ」