表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魄星兄弟譚 ~うちの弟は誰にも渡しません!~  作者: 冬佑
第?章「おまけの章」
22/65

閑話 放課後チョコレート

おまけのお話

 



「お邪魔しまーす」

「先に部屋行って待っててくれ、お菓子とジュース持ってくから」

「わかったー」


 啓は俊太の家に遊びに来ていた。新作ゲームを買ったので一緒に遊ぼうと誘われたのだ。

 階段を上がって俊太の部屋に入った啓は部屋の様子を見て苦笑いした。


「何回来ても相変わらずだなぁ」


 啓は自分の鞄を部屋の隅に置くと、部屋に散らかった服を畳み始めた。

 しばらくすると俊太がお菓子とジュースを持って上がって来た。


「お、さんきゅーな。ほい、これ」


 そう言って啓にジュースを手渡す。そんな俊太を啓は怪訝な顔で見た。


「ねぇ、僕に部屋片付けさせるために誘ってない?先週来たとき片付けたのにもうこんなにしてさぁ」


 啓に指摘された俊太は図星だったのか目を逸らした。


「い、いや、そんなこと……」

「ほんとは?」

「ある、かも」


 問い詰められた俊太は素直に白状してしまった。


「だって、ほら、啓がやった方が綺麗だし?」


 事実啓が畳んだ服は種類ごとに分けて綺麗な畳まれていた。


「こんなの誰がやっても同じでしょ、それにゲームも漫画もこんなにしてさぁ」

「それはベストポジションだからそのままでいいって!」


 一見すると無秩序に見える配置も俊太にとっては意味のある配置らしい。本棚に戻そうとした啓は手を止めた。


「もうちょっと大人になりなよ〜そんなだから子供っぽいって言われるんだよ」

「や、それは身長のせいだから関係ないね、うん」


 一人勝手に納得している俊太を横目に啓はベッドの縁に座った。


「はぁ、もういいや。で、何のゲーム買ったの?」

「これだよ、これ、あの名作オープンワールドゲームの続編だぞ」


 俊太はパッケージを取り出して啓に見せつけた。


「あ、それ気になってたやつだ……今もはかせが徹夜でやってるんじゃないかなぁ」

「だー!あの人は反則だろ!ほぼ引き篭もりなんだから!」


 比較対象のおかしさに突っ込む俊太に啓は悪びれることなく言った。


「やってるとこ見た訳じゃないし内容は知らないから安心してよ。それにどうせ困ったらうちに来てはかせに聞くつもりでしょ」

「そこまでお見通しかよ……最初俺がやるからちょっとしたら交代な!」


 俊太はゲームの用意をするとカーペットの上に座り込んだ。


「うん、あ、このチョコ食べていいの?」


 お盆の上にはジュースと高級チョコレートの箱が乗っていた。


「ああなんか貰ったやつだから好きなだけ食ってくれ。母さんが啓くんにはいつもお世話になってるから〜って言ってたぞ」


 そして俊太はゲームを始め、啓はそれを見ながらチョコレートを食べ始めた。




 〜〜〜〜〜数十分後〜〜〜〜〜





「そろそろ交代するか?……ってどうした?」


 返事がなかったので俊太が振り向くと真っ赤な顔をした啓がボーッと横になっていた。


「ふぇ?んーわかった……こうたいするー」

「ちょ、おま、どうしたんだよ!」

「どうしたってーなにがー?」


 自身の変化に気づいていないのか啓は気の抜けた返事しかしない。


「顔真っ赤だぞ!」

「たしかにちょっとぼーっとするかも」


 俊太は啓の隣に座って額に手を当てた。その時、啓が大きく息を吐いた。その吐息で俊太は気がついた、啓は酔っ払っているのだと。


「このチョコ……まさか」


 俊太が一つ食べてみると口の中にお酒の風味が広がった。そしてそのチョコレートは既に半分ほど無くなっていた。


「そーいうことか……ってこの程度で酔っ払うもんなのか?」

「このちょこおいしーねーすきー」


 そう言って箱に手を伸ばす啓を俊太は慌てて止めた。


「ストーップ!お前これ以上食べるの禁止!」

「えーもっとたべたいー」

「酔っぱらってんだろ!ダメだって!」


 俊太は箱に蓋をすると啓から離れた場所に置いた。


(ったく……酔うとこんなになるのかよ……大人になっても酒は飲ませちゃダメだな……)


「ゲーム……できるような状態じゃねぇよなぁ。啓、立てるか?送ってやるから今日はもう帰れよ」

「んーわかったーしゅんたがそういうならもうかえる……」


 そう言って啓は立ちあがるが、ふらふらしてまたベッドにストンと座ってしまった。


「やっぱむりかも、おんぶしてー」

「……は?」


 ベッドに座ったまま啓は両手を上下に振って俊太を呼ぶ。


「俺がクラスで一番背が低いの知ってるよな……あーもう啓、兄ちゃんに連絡して迎えに来てもらえ」

「んーとにーちゃんにでんわ……」


 プルルルル


『おー啓か、どうした?』

「にーちゃん?えっとねぇ、むかえにきてほしーのチョコたべたらかえれなくなっちゃった」

『あ⁉どーいうことだそれ!』

「うひゃ!」


 何かあったのか心配した奏の大声に驚いた啓はスマホを落としてしまった。


「こりゃダメか、借りるぞ」


 俊太はスマホを拾うと奏に何があったか説明した。


『事情はわかった、すぐ行くから待っててくれ』


 俊太が電話を切ると啓は俊太の膝の上ですーすーと寝息を立て始めた。


「ってそこで寝るんかい……」


 しばらくすると寝言が聞こえてきた。


「ん……にーちゃん……」

(こーいうとこ、子供っぽいんだよなぁ)

「しゅん、たも……」


 自分の名前が出てくるとは思わなかった俊太は思わずドキッとしてしまった。


(……これ写真撮ってクラスのやつに見せたら……怒られるなぁ、主に奏君に)


 俊太がそんなことを考えていると

ピンポーン

奏の到着を知らせるチャイムが鳴った。


「はやっ、もう来たのか。起きろー兄ちゃん来たぞ」

「むにゃ……」


 まだ起きないと判断した俊太は奏を家に入れるために玄関へと向かった。ドアを開けると学ランを着た奏が待っていた。


「悪いな、啓が迷惑かけた」

「あ、や、そんなことないです。とりあえず僕の部屋上がってください、寝ちゃってて」


 俊太の案内で奏は部屋に上がる。


「おい、啓、帰るぞ」

「んー……」


 奏は部屋で寝ている啓を軽々とおんぶしていた。


(おお、あんなひょいっと、流石……)


「んじゃ、世話になったな」

「じゃ、じゃあまた明日って、言っといてください」


 そう言って二人は帰って行った。啓を見送った俊太は玄関を閉めてドアにもたれかかった。


(はぁ、なんだったんだアイツ……ゲームしよゲーム!)


 この日から啓がチョコレートを食べるたびに謎の心配をするはめになってしまった俊太だった。





おまけのおまけ


~帰り道~


「そろそろ寝たふりやめろよな」

「あれ、ばれてた」

「ったく、誰だと思ってんだ」

「えーっと、僕の兄ちゃん?」

「正解。で、どっからシラフだった」

「兄ちゃんが迎えに来てくれたとこ」

「これっきりにしろよ」

「……はーい」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ