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閑話. RDBシステム解説[ レベルとアビリティ ]

感想にて、「レベル上限の条件が矛盾してないか?」とのご指摘があったので、詳しく説明させていただく話になります。

 俺の名前は管羽(くだば) 英太郎(えいたろう)。これから、友だちに誘われて有名なオンラインゲーム『ReBuildier(リビルダー) DImentions(ディメンションズ)』というゲームを始めようと思う。

 VRヘッドマウント系のハード非対応のレトロゲームだが、昨今ARグラスには対応したらしいので、俺もプレイしてみようと思ったのだ。今時、板モニターゲームなんて前時代的だぜ。

 ……と思ったら、登録は板モニターかタブレットでしかできないそうだ。はー、なんだこれ。ちゃんとできるかな。

 出鼻をくじかれた感じこそするが、とりあえず手持ちのタブレット端末でキャラクターを作る。

 まずは種族。『色人種(しきじんしゅ)』『獣人種(じゅうじんしゅ)』『精霊種(せいれいしゅ)』『機鋼種(きこうしゅ)』の4種類だ。

 

 『色人種』は俗に言う人間、ヒューマンと呼べる種族だ。器用だが、総魔力が少ない。この"器用"というのは、手先が器用である他にも当てはまるらしく、様々なアビリティを使う際の規制が少なくなるらしい。

 ……アビリティの規制ってなんだよ。色々厳しそうだな。次。

 

 『獣人種』は【フィジカル】寄りのパラメータの伸びが良い種族。見た目の特徴としてはケモミミと対応した尻尾が生えていることだ。魔法系のアビリティの効果にマイナス修正がかかる代わりに、物理系のアビリティの効果にプラス修正が入る、如何にも前衛系の種族だ。

 こっちは友人が選んでいる種族なので選ばない。俺は、友達と一緒にプレイするゲームは、なるべくかぶりが少ないようにチョイスするプレイスタイルなのだ。

 あと、ケモミミは自分が生やすより、眺めて愛でるのが俺のジャスティス。真実の王者もそう言っている。

 

 『精霊種』は獣人の真逆。【スピリット】のパラメータが伸び、魔法系アビリティにプラス習性がある。外見的な特徴としては、色人種に近い外見に、耳が角のように高く伸びている。また、肌の色が比較的色白い上に、この種族はキャラメイクで肌の色がいじれない。他には、有無の選択ができる特徴で、羽を生やすこともできるが、この羽根で空を飛ぶことはできない。

 ふむ。……保留だな。友人が獣人種の前衛タイプだから、バランス的にちょうどよくなるな。

 

 『機鋼種』は唯一、魔法系アビリティが覚えられない種族だ。そのおかげで【スピリット】のパラメータを考える必要がなく、成長チャートに迷いが少なくなる。また、魔法系アビリティを覚えられない代わりに特殊な【機鋼アビリティ】があり、覚えている【機鋼アビリティ】のタイプで遠近どちらかに(かたよ)る形になる。

 見た目は、名前の通りメカメカしい鋼鉄ボディだ。

 面倒くさがり屋はこいつ、ってことだな。魔法が使えないからと言って近距離ってわけでもなく、遠距離戦もできるので、精霊種以外の選択肢としてはアリだ。

 

 結論。まずは悩みどころを少なくして気軽にプレイしよう。俺は『機鋼種』を選択した。

 次は、ジョブの選択だ。【メイン】と【サブ】をそれぞれ一つずつ選択する。同じものを選ぶと、ジョブの成長に補正が入るらしい。ただでさえ選択肢の少ない機鋼種を選んでいる上に、初心者で、更にジョブを単一化して、尖ったキャラクターにするのはあまりよろしくない。

 しかし、せっかく友だちと遊ぶなら、なるべく寄生プレイをするよりとっとと追いついて同じレベルで楽しみたい。

 そして当初の目的通り、遠距離系の成長をさせたいので、【メイン】には『狩人(かりうど)』、【サブ】には『狩人』の遠距離特化でとっとと話を進めよう。

 世界観を楽しむのは、セカンドキャラを作るつもりになってからでいいだろう。

 

 次に、初期アビリティの取得だ。

 キャラクターメイキング時点では3つのアビリティを取得できる。覚えられるアビリティの種類は、種族と職業で決まる。そして、一つは必ず武器アビリティを選ばなければいけない。

 まずは射撃武器として【短弓(たんきゅう)】。欲を言えば【銃】が欲しかったが、調べてみると高難易度ダンジョンのクリア報酬で貰えるものらしい。とりあえず、当面の目標はこれだな。

 残りの2つだが、これはキャラクターの成長チャートに合わせる必要がある。と、いうのもこのゲーム。レベル上げの制限がやたらややこしい。

 ゲームを始める前に調べてみたところ、まずキャラクターとアビリティ、それぞれにレベルがある。そして、それぞれ経験値プールを持っている。アビリティを使うことで、キャラクターと使ったアビリティにそれぞれ経験値が入り、一定量が貯まることでそれぞれレベルが上っていく。

 武器アビリティを使う相手は、もちろん敵だ。敵を倒した際に入る経験値は、倒した際に使ったアビリティにしか入らない。

 つまり、複数の武器アビリティを持っていたとしても、結局敵を倒すアビリティだけが突出してレベルが上がるので複数の武器アビリティを持ってもメリットがない。

 また、レベルの存在するアビリティは能動的に使うアビリティが多い。それなら、ひたすら武器アビリティを使ったほうが効率的だろう。

 基礎パラメータを上げるようなパッシブアビリティもレベル製のものが有るが、その補正は微々たるものだ。

 俺は、【機鋼アビリティ】の【超伝導集積回路(ハイスペックIC)】と【狩人アビリティ】の【早撃(はやう)ち】を取得した。

 【超伝導集積回路】はレベルのないパッシブアビリティ。効果は、最終的な命中力を1.2倍にする。命中力は基礎パラメータの影響は少なく、その(ほとん)どが装備に依存するらしい。で、あれば地味ながらも、後々必須になるアビリティであることは間違いないだろう。

 【早撃ち】もレベルのないパッシブアビリティ。射撃攻撃の動作にかかる時間が0.9倍になるというアビリティだ。これは、素早く敵を倒してレベル上げの周回を回すには、必須の能力だろう。

 

 最後に外見。機鋼種は、課金によって装飾パーツが爆発的に増えるデザインだ。俺は、無料プレイ派なので、プリセットだけでアバターを組む。

 あまり目立ったデザインではないが、なんとなくデジタルなモンスターのアンドロイドじみた見た目になってしまった。もうちょっと未来から来たコマンドーなロボットも混じっているか?もうちょっと骨太な感じでは有るが。

 さて、早速プレイを開始しよう。

 

 *--


 ――さて、一週間が過ぎた。

 俺は、ゲーム内で合流した友達に盛大に愚痴っていた。

 

「あのさ。キャラクターレベルが上がらないんだけど」


 ゲームを初めて一週間。キャラクターレベルと【短弓】レベルは順調に上がって両方ともLV3までいったのだが、そこから全くレベルが上がらなくなった。それどころか、キャラクターレベルの経験値プールに入る経験値が0になってしまう始末だ。

 自分のレベルがゲームのレベルキャップであるはずがなく、レベルキャップの解放クエストを探しているが、全く見つからない。

 レトロゲームの域に入っているおかげか、ネット上でも情報がなぜか見つからず、恥を忍んで友人に質問したというわけだ。


「ん……?ちょっとアビリティ見せて」

「アビリティ?」


 俺はキャラクターレベルの話をしてるんだけど?俺は首をひねりながら、パーティにステータスを公開する設定にして、ステータスウィンドウを開いた。

 

「……レベルアビリティが少ねえ」

「は?」

 

 話を聞いたところによると、キャラクターレベルは持っているアビリティのレベルの合計と同じまでしか上がらないらしい。何だそれ!?

 

「面倒臭がって、レベルアビリティを持ってないからだ。万遍(まんべん)なく上げていかないと()まるって言ったろ」

「プレイスタイルの話かと思ったんだよ!しょーがねぇな」

 

 友人は、他のメンバーに誘われてインスタンスダンジョンに行ってしまったが、俺はまだその粋に達していない。なぁに、すぐに追いついてみせるからな。

 俺は、友人と別れて早速レベルのある狩人アビリティ【獣の知識】を取得した。このゲームは、レベルアップしたポイントでパラメータを上げるだけじゃなくて、アビリティを取得することができるのが手軽な感じだ。

 【獣の知識】は、獣系のモンスターに対してダメージが増えるパッシブアビリティだ。取得して、早速リーウルフを倒したところ、すでにレベルアップ直前まで経験値プールが溜まっていたおかげか、すぐにキャラクターレベルが上がった。なるほどなぁ。

 じゃあ、今度は機鋼種アビリティ【メタルボディ】を取ろう。本当は、能力に不安が出てきたり、ジョブを上位に切り替えた時に強いアビリティに切り替えたり、【銃】のために取っていたんだけど、これも安定プレイのためだ。

 

 *--


 ――さて、一週間が過ぎた。

 俺は、ゲーム内で合流した友達に盛大に愚痴っていた。

 

「あのさ。キャラクターレベルが上がらないんだけど」

「またかよ」

 

 再びステータスを見せる俺に、溜息を隠そうともしない友人。本当にすまんが、全く理解できない。レベルが上がる度にちゃんとレベルアビリティを取っていたのに、レベルが8から一向に伸びないのだ。


「……【狩人】以外がほとんど3……これだよ。パッシブスキルばっかりじゃねえか。お前ちゃんと公式のチュートリアル見ろよ」

「どういうことだ?」

「レベルの最大値は持っているレベルアビリティの合計だけど、上げることができるレベル以下のレベルキャップがあるって書いてあったろ。

 持っているレベルアビリティの一番低いレベル+5点。何度も言うけど、公式の解説ちゃんと読め。

 パッシブ取るなら、ある程度レベル上がらなくなるまでは基礎パラメータ上昇のものを選んだほうがいい、って俺言ったよな」

「し、調べても出てこなかったんだが!?」

「お、俺もうレベルアップポイント残ってねえぞ!?もう、あとは時間かけるしかねえのか!?」

「パッシブ効果が戦闘補正ばっかりだから、戦闘してないとだめだな」

「う、うがああー!」

「公式見ろ、ってテンプレあったろ?言っておくが、お前のプレイスタイル、地雷扱いされるからな。だからテンプレに"自分で公式を読もう"って追加されたんだよ。

 親切丁寧な案内の初心者サイトなんて、もう残ってねえからなぁ」

 

 俺は、セカンドキャラを作ることにした。くそう、ゲームでも勉強が必要なんて、聞いてねえぞ!

 ご拝読・ブックマーク・評価・誤字報告にご感想、いつもありがとうございます。

 今後も、感想で質問された、本編で抜けているシステム説明はこのような形で英太郎くんに苦労してもらうことにしました。

 がんばれ、英太郎くん。


 ちなみに、当話中の英太郎くんの行動にツッコミを入れると、

 ・『機鋼種』は『銃』コンテンツ追加時に開放された種族なので、ぶっちゃけセカンドキャラ用です。序盤は行動の制限が多く、スムーズな成長は寄生プレイ以外にありません……。

 ・劇中のとおり、最初に職業を一つにするのはアビリティのレベルが上がりやすくても、キャラクターレベルが上がりにくくなるのでおすすめできません。

 ・このゲームは世界的に有名だったり、全世界の誰もがプレイしているゲームではありません。

 ・メインターゲットが日本ではないせいで、攻略サイトは日本語では検索できなかったりします。


 本編の話は、シオくんとテルヒロくんのお話なので、私が独断で本編での説明は冗長となるので、不要と切り捨てるシステム部分の話があります。

 今後も「これおかしくない?」「ここんとこわからない」みたいなゲームの内容がありましたら、質問していただければと存じます。

 ……多分、私自身が間違えてたりする要素もあるかと思います。その際は、誠に申し訳アリませんが色々と修正すると思います。

 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これまでの連日投稿、本当にありがとうございました。 どうかご無理のないペースで執筆くださいますよう。 シオくんの自己評価に比してのテルヒロくんの本音とのギャップが思っていたより大きい………
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