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作戦タイム

 『新緑の眼』:主に初心者のフォローをしているクラン

  ラルド(盾斧使い・クランリーダー・一号車リーダー)

  メシン(盾剣使い・回復役僧侶)

  タイジュ(サポート役僧侶)

  レグリンカ(狩人)


 『タイガーファング』:攻撃特化のクラン

  トネラコ(格闘家・リーダー・二号車リーダー)

  ネブチ(大剣使い)

  アミィ(魔法使い)

  フィンス(魔法使い)

  デネブ(盾斧使い・三号車リーダー)

  

 その他:

  キンカー(護衛依頼の依頼主)

  ニュウ(元盗賊・プレイヤー・15歳)

  ネモ(ニュウの妹・プレイヤー・8歳)

 次の日、ニュウの案内で日中をかけて山を登り、俺の足と言う多大な被害を代償(だいしょう)に、俺たちは盗賊のアジトにたどり着いていた。

 その入り口は、山の岩壁に掘られた洞窟であった。バリケードとして摘まれた岩壁や、見張りのために夜の闇を晴らす篝火(かがりび)が、そこかしこに作られており、正面突破はできなさそうだった。

 

「ニュウ。妹さんはどこにいるか、分かるか?」

「洞窟の牢屋です。頭領の部屋を通り過ぎて、まだ先に」

「ボス部屋の向こう側、ってわけじゃないみたいだな。それなら、潜入さえできれば行けるか……?」

 

 トネラコさんの質問に、ニュウは洞窟の入り口から目をそらさずに答えた。俺から見て、気負いすぎている感じがする。

 そんな彼女の方に、ポン、と手を置くのは、そう!我らがリア充、テルヒロだ。

 

「大丈夫。俺達も助けるから。妹さん、救い出そう」

「……!はい!」

 

 ちなみに言わずもがな、みんな小声です。

 

「しかし、どうするか……」


 思ったよりも警備は厳重だった。

 てっきりキンカーさんの襲撃に人を割いてると思っていたんだけど。いや、むしろ人を割いてこれなのか?とてもじゃないけど、ゲームの時より大規模になってないか?

 ふーむ。【エネミー(【気配察知】)サーチ】(【魔力操作】)でも使えれば、山賊達のレベルとかを確認できるんだけど、魔法アビリティ(【魔力操作】)の副作用として魔法陣の輝きが発生してしまう。今みたいな隠密行動にはまだ不向きなのだ。斥候(スカウト)系のアビリティ持ちがいれば楽なんだけどな。

【短剣】系のアビリティから派生するので、メインウェポンで短剣を鍛えさせられているニュウが一番適しているポジションなのだけど、生憎、彼女のビルドはアタッカー寄りの構成だった。

 攻めあぐねて悩んでいると、トネラコさんが憎々しく歯を見せて、悔しそうにつぶやいた。

 

「くっそ、人質さえいなきゃ楽勝なのによぉ」


 ……ん?なんかおかしなこと言ってないか?

 俺はその言葉が気になって、尋ねてみた。


「あ、あの。トネラコ(と、トネラコ)さんが攻め込むとして、問題(も、問題)って何?」

「ん?そりゃ人質だな。俺は器用じゃないからな。人質を盾にされると、どうしても攻め手に欠けちまう」


 んんー?それだと、人質がいないなら戦力が足りてる、ってこと?こっちは4人、しかも地の利はないときた。どう考えても不利だと思う。のだけど。

 トネラコさんの自信に、テルヒロも困惑したように口を挟んでくる。


「え、でも山賊の戦力も分からないし、囲まれたら……」

「あぁん?あんな一山いくらの木っ端共、いくら居た所で腹の足しにもなりはしねぇよ。そもそも、あの程度なら俺一人でも十分平らげられるくらいだぜ」

 

 ――山賊さん、クソザコじゃないですかやだー。

 冗談はさておき、トネラコさんの嗅覚では、アジトに居る山賊連中の中には、手ごわい敵はいないようだ。どうやってわかるかと思えば、なんとトネラコさんは()()()()()()()()近接職と言うことで【看破】と【鑑定】が高いレベルになっているそうだ。マジかよ。人は見かけによらないな。

 ヤマ勘じゃないなら信用できる情報だ。それなら、私にいい考え――と言うと失敗しそうだ。ここは、手はある、と言っておこう。

 

「じゃあ、トネラコさん。単騎で突っ込もう」

「「「は?」」」

 

 俺の提案に、全員が驚いて目を剥いた。

 

「いやいやいや……俺の話聞いてたか?人質がいるんだぞ?」


 と、トネラコさんが呆れ。

 

「い、妹は見捨てるつもりですか?」

 

 と、ニュウは涙目で睨みつけてくる。怖い。ちょっとその目はやめてほしい。

 しかし、テルヒロは少し考え込んだ後、口を開いた。

 

「シオ。何か理由があるんだろ?トネラコさんだけで突撃するメリット」

 

 流石!わかってるな、相棒。

 

「うん。妹さんを捨て駒にする気はないよ。

 確認だけど、今の所、山賊に捕まっている人質はネモだけ。だ、だよね」

「……そうですけど、犠牲が少ない内に人質ごと山賊を倒す気ですか?」

「ニュウ、ちょっと待って。話を最後まで聞こう」


 見捨てる気はない、って言ってるのにニュウの目は半目で睨みつけるようなものだ。ひぃ、怖。

 今にも掴みかからんばかりの気迫で迫ってくるニュウに、俺は思わず恐怖の声を上げてしまう。その様子に慌てて間に割り込んできてくれるテルヒロ。

 

「だ、だから、人質が妹さんだけってことは、逆に言うと最後の手段にしか使えないわけだ」

「最後の手段?」


 トネラコさんが、俺の言い方に疑問を持ってくれたようだ。

 詳しく話を聞こう、という顔になってくれた気がする。ニュウは、まだ俺を睨んでるから視線を合わせない。怖い。

 俺はテルヒロの方を向いて、解説を続ける。

 

「トネラコさん一人なら、最初は侮って普通に倒しにかかってくるはずだよ。戦力はたった一人だから、数で勝利できるつもりで襲ってくるはずだ。

 何せ、味方が多いと安心するからね。だから俺も攻めあぐねてたわけだし」

 

 なるほど、と同意するテルヒロとトネラコ。

 

「何より、人質が効果を一番発揮するのはニュウに対してだけだよ。

 攻めてきてる人の中にニュウがいたら、すぐに妹さんが人質として盾にされるだろうけど、居なければ単純に山賊討伐だと思うんじゃないかな」

「まぁ、確かに。

 山賊どもが、自分たちの討伐依頼が出されてるなんて情報集めるのは、相当の自意識過剰か、相当の規模と戦力のある奴らだけだ。

 少なくともあの奴さん共に、それだけの実力があるとは思えねぇ。言い方は悪いが、あの規模なら真っ先に商品(捕虜)を傷物にする行為を率先してやるとも思えねえな」

 

 トネラコさんは、俺の説明に納得がいったように頷いた。山賊のアジトをチラ見して、「フン」と鼻息を出す。

 

「作戦はこうだ。まずは、ゆっくり、正々堂々、正面から、余裕を持ってトネラコさんが攻める。それで、中の山賊をある程度おびきだしたら、俺たちが脇から回ってこっそりと俺たちがアジトに潜入する。

 三人もいれば、山賊相手に遅れも取らないだろうし、ニュウがいれば妹さんの所に一直線で行けるはず――でしょ?」

 

 確認のため声をかけてみると、まだ憮然とした表情ではあるが、こくり、と頷いてくれた。

 思う存分暴れてくれ、と頼むと、トネラコさんはニヤリ、と獰猛な笑みを浮かべて「任せろ」と答えてくれた。

 さぁ、ショータイムだ。

 

ご拝読・ブックマーク・評価・誤字報告にご感想、いつもありがとうございます。


本編は、基本的にシオくんとテルヒロくんの絡みをメインで見てほしい関係で、システム面の説明をこれでも結構省いています。

そのため、わかりにくいところがあるかと思いますが、その際にはご指摘を感想などでいただければと存じます。

『満天と月の下で』のあとがきにも追記していますが、第二章の終わりに、一旦ご指摘いただいた不明点を説明する閑話を設ける予定です。

申し訳ありませんが、重箱の隅でも構いませんので「なぜなにRBD」へのご連絡、ご協力くださいませ。

m(_ _)m

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