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居眠りはよくあること



『キーンコーンカーンコーン』


「じゃあ予習復習をしっかりするように。それと、授業中に寝ないこと。」


新美先生がそういった時、目線は明らかに陸奈の方へ向かっていた。

数人の人が笑っていて、その中でも特に1番笑っていたのが舞雪だった。


「くくっ......あはははっっw」


先生が出て言った瞬間にお腹を抱えてすごい勢いで笑ってしまった。


「まゆちゃんひどい!そんなに笑うことないじゃん!」


陸奈はさっきの時間、舞雪のノートを写したおかげで当てられた時にはしっかり答えられたのだ。しかし、そこで気を抜いてしまったのが命取りだった。夜遅くまで起きていたことが原因でとても眠かった陸奈は...寝てしまったのだ...新美先生の授業で...。もちろんこっぴどく叱られていた。


「いやぁ、すごいぐっすり眠ってたね陸奈ちゃん。昨日夜更かしでもしちゃったの?」


「いやね、私が貸した漫画を夜中まで読んでたらしいの。そのせいだね完璧に」


「え!漫画!舞雪ちゃん新しいの買ったの?今度俺にも貸してよ〜」


「私を慰めてよっ」


完全に自業自得なのだが、2人が持ってきていたお菓子などを陸奈にあげて慰めてあげた。


「私も前に新美先生に怒られたことあるなぁ...たしか、CD聴きながら投稿してた時にそのまま寝ちゃって乗り過ごして遅刻しちゃったんだけど、その時の1限目が新美先生でさぁ...めっちゃ怖かった笑」


「まゆちゃんあの時遅刻したのってBLCDのせいだったの?!面白すぎw」


「今となっては過ぎた話よ...」


2人でワイワイ雑談していたら、


「2人とも?次移動教室だから急がないと」


「えっまじか。準備してないや...ってか蒼透、移動教室まだ私たちと行くの?もうそろそろ男子の友達とかと行かないの?」


「え〜だって2人と居た方が気が楽なんだもん。共通の話題もあるし!」


「あおくんがいいならいいんじゃない?」


「まぁ、そうだけどさ...というか、男子高校生が「〜だもん」とか使うなよw」


「漫画とかではよくあるよ?ほらなんだったけな...」


「まゆちゃん?あおくん?話してる場合じゃないと思うんだけど...」


「「移動教室!!!」」


移動教室だったのにうっかり話し込んでしまいそうになった...。バタバタと3人が出て行った後の教室に1人の女子生徒が佇んでいた。





「なんでいつもあの2人ばっかり...」





ぽつりと呟いたその言葉は誰にも聞かれることなく静かな教室の中に消えていった。






✤✤✤






『ぐぅ〜』


かなり大きなお腹の音が教室に響いた。

誰かは分からないけどしょうがない。なぜなら3時間目は体育でしかも結構動いたのだ。今は4時間目。私も今日のお弁当のおかず何かな〜などと呑気なことを考えながら鳴りそうになるお腹の音を必死に抑えて4時間目を過ごしていた。


『キーンコーンカーンコーン』


「きりーつ。ありがうございましたー」


『ありがとうございましたー』


気の抜けた挨拶を終え待ち望んでいた昼食の時間がきた。

いつも通り陸奈と蒼透と3人で食べようと思い、声をかけようとした時


「蒼透くん!もし良ければお弁当一緒に食べない?」


「え?俺?」


ま じ か。蒼透があの子に話しかけられてる...。声をかけたのは、学年でも上位に入るくらいの美少女の霧島 瑚子ちゃん。男子からもかなり人気で、確かに可愛い。身長は低めで目はおっきくて、顔も可愛い。声もいかにも女の子といった雰囲気の高めの声だ。正直言うと、あまり好きではない。どちらかと言うと苦手だ...。

明らかにカースト上位の陽キャ。話せないって訳では無いけれど積極的に話そうとも思わない。クラスに数人はいる感じのポジションの人だ。いつもはキラキラ系の女子と一緒にいるのであまり関わることがない。陰キャとは縁遠い人物ですわ。見た目だけはいい蒼透を狙っているのかよく蒼透に話しかけているのを見かける。傍から見たらイケメンに美少女。並んでいてとても絵になる。


周りでいろんな人が喋っているのでよく聞こえなかったけれど、おおかた2人で一緒に食べようということだろう。蒼透は顔だけはいいからなぁ...しかも頭もいいし...これを期に蒼透はいろんな人と触れ会えればいいのだが。


「まゆちゃんまゆちゃん!あおくんが霧島さんに誘われてるよ!?」


「そうだね。まぁ、蒼透も、もうそろそろ私たち以外とつるんでもいいんじゃない?」


蒼透は友達がいないという訳では無いのだけれど、話題のものとかについていけないというか、そもそも興味が無いことを知ろうとしない性格なので、話を合わせるのがめんどくさいらしいのだ。


「でも美少女の霧島さんに誘われたらさすがのあいつでもでも誘いに乗るでしょ」


「じゃあ今日は2人で食べよっか。そして昨日貸してくれたBL漫画について語りましょうよ」


「もちろんよ」


2人で食べるなんていつぶりだろう。いつも

3人で食べてたからなんだか静かだ。でも話題はいつもと変わらないのだけれど。


お弁当を広げようとした時だった



「え?俺も混ぜてくれないの?」



「「え?」」



さっき霧島さんに誘われたはずの蒼透が私たちの目の前にいた。しばらく沈黙が続くこと10秒。口を開いたのは、


「蒼透、さっき霧島さんにお弁当一緒に食べようって言われてなかった?」


「言われたよ〜?でも、断っちゃった」


「なんでよあおくん?!私たちとなんていつでも喋れるし一緒に食べれるじゃん?」


「ん〜...でも、俺舞雪ちゃんや陸奈ちゃんと一緒に食べる方が楽しいかなって思ったから!」


どうやら蒼透の頭の中には彼女を作ろうとか、モテているとか、そういった思考回路が存在していないらしい。きっと頭の中はBLとかのことぐらいしか入っていないと思う。だがしかし、さっきのセリフ、普通の女子だったら言われたらキュンと来てしまうセリフだろう。しかし、今の舞雪たちにとっては嬉しいのだが、恐ろしい言葉でもある。それは...


「もしかしてお前さぁ...私たちとお弁当食べたいからって言って霧島さんのお誘い断ってないよね?まさかと思うけど一応」


「えっとね...舞雪ちゃんと陸奈ちゃんとお弁当食べたいからごめんねって言ってきちゃった」


はい。私と陸奈終了のお知らせ。

これはもうほぼ霧島さんを敵に回したようなものだ。陸奈の方を見ると完全に顔が死んでいた。きっと同じ気持ちだろう。

かなり怖いけれど、霧島さんの方を見てみると...すっごい睨まれてる...。そりゃそうだ。おそらく今までなびかなかった男子はいなかっただろう霧島さん。かなり自信があったと思うのだがそれを違う女子を理由に断られてしまったのではプライドが許さないだろう...。だって霧島さんプライド高そうだからな。


「あおくん...ふわふわしすぎてるにも程があるよ...何故私たちの名前を出した...」


最後の方は消え入りそうな声だった。お葬式モードの私たちを全く気にせず隣でもぐもぐお弁当を食べているこいつを誰か止めてくれ...。


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