表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

共産主義とは

共産主義というものは、社会主義の過激版です。

 前の話で説明した社会主義の【社会保障】【格差の是正】【計画経済】を共産主義者はもっと過激化させました。

 即ち、【私財の共有】と【共同生活】です。






 【私財の共有】とはどういったものなのか。

 それを知る前に、資本論と共産党宣言を書いたマルクスの理想とした社会を説明しましょう。

 マルクスは格差の原因を階級闘争のためと考えました。貴族と平民、資本家と労働者という具合に。

 これを打ち払わなければ格差のない社会は築けないと考え、マルクスは色々な難しい言葉をこねくり回しながら説明しましたが、要は石器時代以前に回帰しようと訴えました。

 何故そう言う考えに至ったのかというと、階級闘争があるのは私財があるからだと考えます。

 私財があると、


「これは俺のものだ!」

「いいや、私のものだ!」


と、論争が起こり、争いがおこります。

 ですが、私財がないと、


「一緒に使おう!」

「わかったわ!」


と、争いが無くなる! このようにマルクスは考えました。物凄く簡単に言いましたが、これが共産社会の本質です。

 マルクスはこのような社会を目指しました。

 ですが、現代社会に慣れている人間を石器時代に戻すことなど不可能です。

 そこでマルクスら共産主義者は、できるだけ私財をなくす努力をしようとします。

 そこで考え出したのが、【私財の共有】です






 【私財の共有】とは、なるべく全ての私財を公的な物。即ち公共財産にして皆で管理しようと考えました。

 全ての資産が国や町のものなら、争いは起きません。

 公共の資本を使って、公共の資産を生産する。そして、公共の資産を使って生活しよう。このような考えです。

 この考えはとても素晴らしいものに見えました。この通りに進めば理想の社会が訪れるでしょう。ですが、そうはなりませんでした。その理由はあとでお話しします。





 【共同生活】とは何か。これは【私財の共有】につながる考え方です。

 全てのものを公共の資本にすると、人間は一人では生きていけなくなります。

 そこでマルクスは、


「大きな共同体を作り、その中で生活すればよい」


と考えました。

 例えば、食料を生産する人、家具を生産する人、料理をする人、掃除をする人、などに分けるのです。

 そうして、それぞれの役割を誇りを持って実行すれば、人々は生活していけます。

 しかし、この考え方は無政府主義へ繋がる考え方です。

 この考えに基づくと国はいらなくなります。最小単位の小さな町や村で十分です。

 しかし、共産主義と無政府主義には決定的な違いがありました。

 マルクスは、


「資本主義は必要悪だ!」


と考え、一国での共産主義革命から、多数の国家へ共産主義を輸出していき、最終的に国家をなくす考えを示します。


 対して無政府主義者は、


「資本主義や国家は悪だ!」


と考え、全ての国で革命を起こし、国家を消滅させる考えを示しました。


 しかし資本主義視点から見ると、どちらも国家を消滅させようとする危険な考え方に変わりはありません。全力で潰しました。

 共産主義者は頑強に抵抗し、この理想社会を建設しようとします。

 そしてできたのが、ソビエト社会主義共和国連邦です。






 共産主義革命は成功したように見えました。ですが、よく国名を見てください。【共産主義】とは書かれていません。どうしてでしょうか。

 実際ソ連は共産主義の国ではありません。国家社会主義の国です。

 共産主義革命は成功させましたが、結果的にソ連で共産主義の採用は見送られました。誰の目から見てもその思想の実現は不可能に近いものだったのです。

 今から共産主義の問題点を説明していきます。






 まず【私財の共有】ですが、現実的に考えて不可能です。

 貴方は自分の持っているものを全部人に与えられますか? 服やお金、家や家族などすべてのものを見知らぬ他人に捧げられますか? 不可能です。

 更にマルクスは共産党宣言の中で衝撃的なことを言っています。


「ブルジョワの結婚は、実際には妻の共有である」


 これを根拠にマルクスは婦女の共有化を推進しています。

 具体的に言うと、町にいる女性は敵年齢になったら不特定多数の男性と子供を作る行為をさせれられ、生まれた子供は共同体で育てられます。

 動物ではあり得る話ですが、今までの結婚観を持っている人間には到底受け入れられません。マルクスは


「みんな浮気をしているじゃないか」


といっていますが、それとこれとは訳が違います。

 そして、この思想は資源が無限にあることを前提としています。

 一度不作に成ったり、近くの資源が枯渇すれば、


「お前が頑張って食料を作らないからだろ!」

「掃除しかやっていないお前に言われたくない!」


 と争いになるに決まってます。

 共同生活も、みんなが完璧な人間ではないのですから、サボったり、不得意だったり、喧嘩したりします。

 共産主義は人間の感情や資源のことを完全に無視している思想です。その為社会に受け入れられることはありませんでした。






 今まで資本主義、社会主義、共産主義について説明してきました。

 現在資本主義を採用している国が多いのは、一番ましだからです。

 社会主義を採用している国もないことはないのですが、資本主義を部分的に採用している国がほとんどです。

 ですが、確実に資本主義にも限界が出てきています。社会主義を大規模に導入しているフィンランドでも格差が出てきている有様です。

 だからといって共産主義や社会主義も限界は証明されています。

 人類は新たな選択をする時が着実に近づきているのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ