社会主義とは
社会主義とは、どういったものなのか。
簡単に言えば、資本主義の反対です。
これだけでは何のことやらと言った感じなので、次から詳しく説明していきます。
社会主義では、より平等な社会を目指すため【社会保障】【格差の是正】【計画経済】が重視されています。
計画経済はさておき、思ったよりもまともなことを言っているとは思いませんか?
資本主義と社会主義が大きくなってきたのは産業革命の時、労働者が使い捨てられていた時代です。
過酷な労働を強いられながらも、僅かな給料しか貰えない。そんな時代だからこそ、この思想はかなり魅力的に見えました。
当然資本主義者からは、
「そんなことは不可能だ! 理想主義だ!」
と批判されています。当然です。そんなことができたら資本主義が社会の悪になるからです。
しかし民衆は抵抗します。労働者組合を立ち上げ、政治の世界に乗り出しました。
労働者党や、社会○○党などの政党が、しきりに、
「労働者の権利を保障しろ!」
「所得税の増税を!」
「最低賃金をもっと上げろ!」
などと主張しているのは、この社会主義の流れを汲んでいるからなのです。
ですが、よく見ると団体ごとに主張が違います。どうしてでしょうか。
実は社会主義というものは、いろいろな主張が混合しています。
国家社会主義者だったり、社会民主主義者だったり、共産主義者だったりです。
また、資本主義者の中にも、
「社会主義のここの部分だけはまねよう」
とか、社会主義者の中にも、
「資本主義者のここの部分をまねよう」
といったように、いろいろ混じっているのです。
実際いま、社会主義の国というものは意外に沢山ありますが、ほとんどは資本主義の思想を一部取り入れています。取り入れてないのは北朝鮮など一部の国だけです。
少しは社会主義のことが分かったでしょうか。
ここからは更に詳しく、社会主義者が掲げている【社会保障】【格差の是正】【計画経済】について一つ一つ説明していきます。
まずは【社会保障】です。これは資本主義国家の中でも取り入れている国が多い考え方です。
例えば、この考え方がなかったらどうなるでしょう。
「公園に行こう……え!? 金取るの!?」
「病気になってしまった……え!? 診てもらっただけで三万円!?」
「泥棒を捕まえた!……え!? 警察呼ぶのに金取るの!?」
このようになります。どこかでこのようなビデオを見たことがある人もいるかもしれません。
そう、税金が無くなった社会です。
社会保障が薄い社会は税金も安いです。
例えばアメリカは消費税はありません。正確に言えばそれに代わる税金があるのですが、それにしても安いです。所得税も安いです。保険料も安いです。
「なんだ、パラダイスじゃん!」
そう思う人もいるかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。
医療費が馬鹿みたいに高くなります。なので、低所得者は病院に行くことはできません。
逆に税金が多い国は社会保障が充実していることが多いです。
代表格としてフィンランドが当てはまります。
消費税は驚異の二十四パーセントです。その他税金も馬鹿みたいに高いです。日本では考えられません。
ですがその代わりに、小学校から大学まで無料。病院も無料。失業保険も手厚く、子供を産んでもほとんどお金がかかりません。
「老後のこと? 考えたことないよ」
そういうフィンランド人も多いそうです。
まさにゆりかごから墓場までです。
次に【格差の是正】です。これの対策としては累進課税や法人税が挙げられます。
これも多くの国が取り入れており、これがないとお金持ちにばかり金が行くことになります。
たとえ消費税があっても、
「消費税だけなら払うのは簡単」
という資本家と、
「消費税を払うだけで苦しくなる」
という労働者に分かれます。
結果、お金持ちの所にばかり富が行くようになります。
ですが、法人税や所得税があったら、
「払うのが大変……」
という資本家と
「全然苦しくない」
という労働者で分かれます。
これがほんとの平等という奴です。
最後に【計画経済】です。この考え方が、一番議論を呼んでいます。
現在この考え方を純粋に取り入れている国はほとんどありません。
資本主義経済下では、神の見えざる手によって需要と供給が市場で決められ、それに沿って経済は動きます。これを市場経済といいます。
ですが、それを行っていると、世界恐慌、失われた二十年、リーマンショック、世界金融危機が起きました。どれも市場経済の弊害です。
これを解決しようという考え方が計画経済です。
具体的に言うと、市場経済では、
「今年のリンゴは需要がたくさんあるから値段を上げよう」
となりますが、計画経済では、
「リンゴの値段は○○円で決定。生産数の目標も○○個で決定」
と需要と供給をすべて国が決めることになります。
この計画経済は最初は成功しました。ソ連の五か年計画、ドイツの四か年計画などが成功例です。
ですが、この考え方には致命的な欠点がありました。
本来の需要と合わないのです。
もしかしたら、
「リンゴもっと欲しかったな」
という人がいるかもしれません。
市場経済下ではその需要は満たせますが、計画経済では無理でした。結果、非効率すぎるという理由で、採用されなくなりました。
ですが、需要を創造するといった考え方は採用され、
アメリカのニューディール計画や、公共事業の活性化などがそれにあたります。
このように、社会主義思想は全て採用されることはありませんでしたが、確実に資本主義に対して影響を与えることができました。
今ではこういった社会主義を取り入れた資本主義のことを修正資本主義と呼ばれています。
ですが、完璧なる平等な社会は実現できませんでした。大なり小なり貧困は生まれ、格差も残りました。
そこで社会主義をもっと過激にした思想が出てきます。
それが共産主義です。