資本主義とは
まず、資本主義というものを皆さんどのように捉えていますか?
成り上がり。金持ちが有利。競争。金がすべて。
まぁ概ね合ってるんですが……
資本主義とは、お金を集めることです。それ以上でもそれ以下でもありません。
もっと詳しく言うと、自分の所有物を増やすことです。所有物=お金となるので、そこまで変化はないのですが。
民主主義になる前は、世界の国々の多くは封建制度で国をまとめていました。
農民に移動の自由はなく、上京しようにも、働き口はありませんでした。なので、農民がお金を扱う機会はなく、そもそもお金を使わなくても生きていけました。自分の作ったものを食べ、足りないものは村の共有のものを使い。それでも足りなかったら物々交換で補っていました。
しかしそこにやってきたのは産業革命! 労働力がどんどん足りなくなっていきます。頭の良さは必要ありません。ただ、機械のように動く人間が欲しいのです。
「おい! あの工場で働けば、自分の家が買えるぞ!」
「あそこの資本家の下で働けば、自分だけの食器や家具が買うことができる!」
人々はこぞって農村から都市に移住し、工場や会社で働き始めました。これが資本主義の始まりです。
少しはしょったり、時系列を変えたところもありますが、概ねこんな感じです。この後どうなると思いますか? そう、格差が始まるのです。
資本主義に格差はつきものです。
前述のとおり、人々は賃金を求めてやってきます。つまりどちらが有利かというと、資本家のほうが当然有利です。何しろ、賃金を払うのは資本家ですし、生産手段を持っているのも資本家です。
「お願いします! お宅で働かせてください!」
「しょうがねぇなぁ。日給五千円で雇ってやるよ」
「そんな!? それじゃあ生活していくのがやっとです!」
「じゃあ、家で働くことはなしだ」
「う……よろしくお願いします」
とまぁこんな感じです。
なので、資本を持っている資本家は物を売りまくり、更に富みます。労働者は賃金を自分で増やすことはできないので変わらず、むしろ物を買いすぎて貧乏になる人もいます。
しかし何も、ずっとこんな状況というわけではありません。景気という生き物の調子が良くなると、
「お願いします! 家で働いてください!」
「え? いくら出すの?」
「い、一万円……」
「足りなすぎる! 俺を雇いたければ時給五千円を持ってくるんだな」
「そんな殺生な」
「じゃあ、他の所に行く」
「……それでいいので家で働いてください」
とこんな感じになります。これが労働者にとって理想の形なので、私たちはこうなるために、頑張って学校に行っていたのです。
でもおかしくありません? 初めから労働者としてキリキリ働くことが決定されているみたいじゃないですか? 学校というのは労働者養成所なのです! まぁ最初に学校作ったのも資本家なので、仕方ないといえば仕方ないんですけどね……。
富むものは更に富んで、貧しいものは更に貧しくなる。資本主義社会では仕方のないことなんです。
無論、景気が良ければ、みんなお金が増えていきます。けれど景気が悪くなったら? 資本家はどうするでしょう
「社長! 景気が悪いです!」
「リストラしておけ。それで黒字に持っていけ」
「社長の給料は?」
「もちろんそのままだとも」
まぁこうするでしょうね。誰だって自分のお金が減るのは嫌なんです。だったら労働者は?
「すまんね。君たちの給料を値下げすることにした。景気が悪いからね」
「しょうがないか……。俺たちじゃ給料決められないし」
こうなります。皆さんの中にも、経験ある方がいるかもしれません。
これではっきりしたでしょう。資本家は労働者よりも偉い!
だって考えてみてください。国会で寝ている政治家って、みんな世襲でしょ? 金があるから、政治家になれるんです。
金がなくても政治家になろうと思えばなれますが、難易度はえらい違いです。
ここまで読んできた皆さんなら感じでいるかもしれませんが、やっぱり資本主義社会の中ではお金が全てです。
何をやるにしても、金、金、金! 全部にお金がかかります。挙句の果てには友情もお金で買えちゃうようになりました。世も末ですね。
ただし救いは残されています。資本家になればいいんです! それで脱出できます!
資本家になるにはどうすればいいでしょうか。まずなんといってもお金です。やはり、お金は必要です。こういうのを初期投資といいます。
次に知恵と才能です。得意でないと物事はうまく進みません。他の資本家に負けてしまいます。
最後に、運と努力です。こればっかりは頑張るしかありません。頑張って頑張って他の資本家を蹴落とします。
はい。ここで出てくるキーワードが競争です。
資本主義社会とは競争社会です。他人より上に! 上に! 向上心を持たなければ潰されてしまいます。
労働者も同じです。労働者は資本家に高評価をもらうために、学校へ通い、良い成績を取る競争をし、受験戦争を勝ち抜いて、最後に採用競争を勝ち抜いてやっと労働者になれます。
まだ終わりではありません。出世競争を勝ち抜き、人気競争を勝ち抜き、業績競争を勝ち抜いて、やっと良い給料をもらうことができます。大変ですね。嫌になります。
こうして見てみると、遠目で見ると資本家と労働者だけだったのが、四つに分類されます。
【勝ち組資本家】【負け組資本家】【勝ち組労働者】【負け組労働者】
嫌な世の中ですね。羨ましいと思っていた資本家の中でさえ、負け組が出てくるのですから。
ではこの負け組の人はどうなるのでしょうか。
ニート、日雇い、鬱、ホームレス、派遣社員、フリーター、パチンカス、強盗、万引き等々。まぁ、あんまり想像したくはないですよね。
けれど、日本にはこの負け組の人がたくさんいるんです。
内閣府が出しているデータによると(今はあんまり信じることができないですが)ニートは三十四歳までで、五十六万人。フリーターは百七十九万人。派遣社員は全員で百二十九万人 それらをひっくるめた非正規雇用の方は、総務省のデータによると、全員で二千百十八万人です。
お、恐ろしい。この国大丈夫ですかね……
とまぁ資本主義には色々問題点もあるわけです。
当然、世界の人々は新しい制度を考えようとしました。
そうして考えられたのが、次の話で説明する【社会主義】です。