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五百剣  作者: 伊藤大二郎
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別役徳之助

 鶯藩藩主には、悪癖があった。

 夜な夜な寝所に家臣を呼びつける。

 戦国はとうの昔だが、男色は人の性の一種である。

 要は節度の問題なのだ。

 しかし可愛さ残る小姓を侍らせるならまだしも、求めるのはくたびれた風貌の中年男性だと言う。

 いや、まあ、要は節度の問題なのだが。

 藩主に呼び付けられた壮年の武士達のアフターケアとか家族へのアリバイ作りをしていたのが納戸役の湯浅徳之助だった。

 律義者と評判で、友人の相談をよく聞いていると、噂になって示談だの後始末だの相談を上役が持ってくるようになってしまった。

 それを律義にこなている内に、誰が呼んだか、別役徳之助。

 俸給にもならない汚れ仕事だが、誰かがせねば話にならぬ。「畜生め」と小さく呟き、こなしてみせた。


 ある日、上役が告げた。

「殿が、寝所にとの仰せだ」

 何を言っているのか。殿の顔など見たことないし自分は二十二なのだが。

「その、な。律義で、くたびれて年齢より老けて見える納戸役。というのが、評判になってな。殿が、一度見てみたい……と」

 思わず呟いた。

「畜生め」


 その夜のことは、伏せる。


 次の日から、「畜生め」が口癖の面倒見のよい侍が小姓に上がった。

 誰が呼んだか、畜生徳之助。

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