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次こそは幸せになろう  作者: ぽっちゃり
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プロローグ

 世の中には多種多様な人間がいる。この場合は老若男女という意味ではなく、まあ、例えば男を金ずるにしか思っていないような女や自分よりも弱いやつを見つけては集団でいじめて優越感に浸るような奴。まあ、なにが言いたいかというとだ、まさに俺は現在進行形でいじめられていた。

「おいクズ。おせえぞ!」

「・・・ごめん」

「分かればいい。ならとっとと前を歩け」

 俺は飯島雄介。クラス内では最底辺カーストで最近は周りからこき使われている。とはいっても最初からそうだったわけではない。

 始まりは一か月前だ。俺たちはいつものように授業を受けていた。しかし、授業を受けている途中、それは唐突に起こった。そう、小説でもよくあるクラス転移というやつだ。

 しかも、運の悪いことにクラス丸ごとだった。本当ならそれは喜ばしいことだろう。なんたって超絶的な力が手に入るのが定番なのだから。そう、定番なら。

 しかし俺には運がなかったらしい。周りの者がユニークスキルと呼ばれる力を手にしていく中、ただ一人、そう、俺だけがユニークスキルを発動させることが出来なかった。

 そのせいか、周りのクラスメイトたちは俺をいじめるようになった。今まで仲の良かったやつも一緒になっていじめてきた。

 そうして俺はクラス転移でそうそうに孤立した。

 クラス転移から一か月たった今、俺は最強の能力を手にするわけでもなく、クラスの中には新しいカーストが出来上がっていた。

強い能力を持った男子が弱い能力の女子を犯すという最低のカーストだ。もちろん女子の方も強いやつといれば身の安全は保障されているようなので喜んで腰を振るやつもいた。

 まったく吐き気がする。俺が望んだクラス転移はこんな惨めな思いをするためのものじゃない。

以前なら喜んだクラス転移だった。だが、今では以前の、普通の生活がひどく尊く感じる。

 そして今、俺は魔物を呼ぶ餌として戦闘部隊の先頭を歩かされていた。それはなぜかというと、この世界に来て一か月。戦闘部隊のレベルは着実に上がっていっている。

 しかし、俺たちのいる場所の周りには戦闘部隊ですら倒せないモンスターがうようよいるらしい。まあそれも数体らしいが。

 この世界の魔物は基本的には弱いやつを狙ってくるらしい。まあ自分から強いやつに挑んで死ぬよりかはよっぽど賢い選択だ。

 しかしそれではいつまでたっても戦闘部隊のレベルが上がらない。

 そうして俺は餌として先頭を歩かされている。もちろんだれも止めはしない。

 先頭を歩いてしばらくすると、オークやゴブリンといった、定番の魔物が出てくる。もちろん俺を狙って。よっぽど俺が食べたいのか、さっきからひっきりなしに出てきては戦闘部隊の奴らが殺している。

 その中にはさっき俺のことをクズ呼ばわりしてくる奴、大和田純も混ざっている。

 向こうではイケメンでスポーツ万能だったこいつだがこっちでも能力値が高かったらしくリーダーをしている。

 だがしかし、性格は最悪の一言に尽きる。毎日拠点に帰っては女をとっかえひっかえして遊んでいる。とっとと死ねと何度思ったことか。

 俺が餌として前を進んでいるとさっきの奴らとは明らかに気配の違う、蜘蛛型のボスモンスターのような魔物がでてきた。

そのモンスターが出てきたとき俺は悟った。「ああ、やっと死ねる」と。

周りにいた奴らはいつの間にか逃げていた。最後まで予想通りの行動をする奴らだ。

そうして蜘蛛型のモンスターの口が開く。口の中はたくさんの生物を食ったであろう血の匂いが広がっている。そうして頭からその魔物にかじられ、俺は死んだ。

 

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