間章 離れてしまった2人
中学校でとある事件が起き、2人の間には深い溝ができてしまった。
お互いに悪くないのに、タイミングが最悪だった。
少年は自覚し始めていた無力さを突き付けられ、少女は怯えていた恐怖を垣間見てしまった。
そしてすべてが狂い始めた。
完全に狂う前に少年は少女から離れ、少女は少年を解放した。
それはその選択が相手の為だと思い、お互いに自分勝手に行動した結果だった。
側に居るのが当たり前だった存在がどんどんと離れて行って、それにともない壊れていった。
少年は少女にとって益でも害でもない存在に変わり、少女は人が変わってしまった。
やがて2人は距離を開けたまま進学する。それぞれの思惑があって2人以外に2人のことを知る人がほとんどいない、ちょっと遠い高校へ。
たまたま同じクラスになったけれど、距離は縮まることなくお互いに知らない人のふり。
それでも、かつて自分の半身だった存在が気にならないわけもなく、心の中では考えていた。
少年は自ら孤立しようとする少女に話しかけてくれるクラスメイトを。
少女は気にすることなく自分に話しかけてくれるクラスメイトを見つめる少年を。
複雑な気持ちで見ていた。
それはかつて自分の場所であり、自ら手放してしまった場所。
もう少女の隣に少年はいられない。
もう少年は少女のことを見てくれない。
きっと少女は少年を必要としなくなった。
きっと少年は少女から興味をなくした。
何もなければあの時のままだったのだろうか。
何もなければあの時が続いていたのだろうか。
それでも少年は少女の為に、少女は少年の為に離れることを選んだのだ。
あの頃に戻りたいと願っても、相手の為を想うと近寄れない。
あの頃に戻したいと想っても、自分から近づくことは出来ない。
このままでは幼馴染で言葉足らずな2人の距離はさらに離れていく。
それでは駄目だと追いかけたはずなのに。
それで良いと逃げ出したはずなのに。
動くことができない。離れている間に、相手が何を考えているのか全然わからなくなってしまった。
はたしてこのままで良いのか不安になった。
どうしてもほっておけなくて。
どうしても確かめたくて。
ついつい見てしまう。
ついつい期待してしまう。
結局、離れても少年は少女のヒーローでありたくて、少女は少年を安らぎにしたかった。
そのために、2人は求めた。
少年は後悔しないために一歩を踏み出す覚悟を。
少女は絶望を受け止められるくじけない勇気を。




