プロローグ
友達といつも通り喋りながら学校から帰ってた。
友達が話す内容は最近いつも同じで、はまっている乙女ゲームの話だった
俺様で筋肉がすごいらしい王子の話が多かった。他にも色々攻略キャラの話を聞いたが聞いた端から忘れていってる始末だった
「ねー?姫華聞いてるー?この俺様王子カッコイイんだってばー!」
「聞いてる聞いてる。何回も聞いてる。俺様で筋肉で物理的に超強くてカッコイイんでしょ?」
「そう!そうなのよ!いやー、姫華の名前にちょっと似てると思って、適当に買ったゲームにここまでハマるとは思わなかったわー」
「私はそういうムッチリした筋肉は、あんまし好きじゃないのよねー。可愛いショタが眼鏡をかけた天才系イケメンに押し倒されて可愛く喘いでるゲームとか無いの?」
「………ショタ受けBLが好きな腐女子に言ってもこの良さは分からないよねー」
「まあ筋肉も攻めには良い要素かな?って思うよ。思うけどさ、その『王の華』だっけ、そのゲームにはさ、ショタ要素も受け要素も足りないんだよ!どう見ても俺様王子以外の攻略キャラも全員攻めじゃん!」
「乙女ゲームの攻略キャラに受け要素入れてどうすんの!?当たり前じゃん!
……はあ。私はねぇ、もう本当このゲーム好きになっちゃったんだよ。もし死んでネット小説であるみたいに神様にでも転生するか聞かれたら、何が何でもこのゲームの世界に転生させてくださいって願うね!」
「ふーん。なら私は転生とかになってそこが魔法有りの世界だったら、魔法超頑張るわー」
「どうしたの!?姫華がBLに対する欲望以外を願うなんてさては貴様 姫華じゃないな!?!?」
「何言ってんの。魔法使って、こっそりいちゃいちゃしてる可愛い性少年達を覗き見たりするし、可愛いショタ君と良い感じのイケメンを運命の出会いをさせてあげたりするんだよ!!」
満面の笑みで言い切った私(姫華)。
ああやっぱり…みたいな顔する友達。
それらはとてもよくある光景だったのだ。話す内容も若干の違いはあれど、似たり寄ったりだった。
ーー交差点を私より先に渡っていた友達に向かってトラックがすごいスピードできていたのを除けば。
思わず信号を確認しても私達歩行者側が青でトラック側が赤だった。友達はびっくりしていて動けない様子。
…たぶんトラックが来ても私(姫華)は死なない。"私"は。友達は、、、死んでしまうだろう
実際の時間的には数秒もなかったと思う。私は友達を突き飛ばして──────────トラックに轢かれた
ああ、身体から力が抜けていく。なんだか寒い寒いよ…
友達は泣いてる。「姫華ぁぁ!姫華死なないで!」
ごめん、ごめんね。楽しかったよ。私と一緒にいるせいで、友達まで腐女子だと思われたりしてクラスメートにからかわれて、プンプンしてたけど、友達のままでいてくれてありがとう。
ネット小説でオタクとか腐女子が死んだ場合、部屋の中の隠してる漫画とか親に見つからない様に回収して!っとかって死ぬ間際に思ったりするのあるけど、大丈夫だからね!
私が腐女子なのは、両親とも知ってるから大丈夫だよ!お父さんお酒飲むとたまに泣いてたけど大丈夫!
だから、だからさ友達よ。私が頑張って助けたんだから、ちゃんと生きてね。泣き続けちゃダメだよ。笑ってね。幸せになってよね…
ああ、もう限界。バイバイ