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旦那様と私

 お化け屋敷と揶揄される古い館。

 使用人もみんないなくなり今では私しか残っておりません。


「お前も早く出ていきなさい」

「旦那様お一人では食事もなさらずに儚くなっておしまいでしょう」

「そう簡単に死なないよ」


 いつものやりとり。


 この穏やかな日々が続けば……そう思っておりました。


 けれど今、私は心から悔いております。

 侵入した強盗から私を庇って、旦那様の胸に刃が突き立てられたのです。


 私が、私などがいなければ旦那様は強盗に立ち向かったりなどなさらなかったはずですのに。


 血が、

 血が止まりません。


 旦那様の手が私の頬に伸びました。

「怪我はないかい?」

「旦那様、死なないでっ……置いていかないでっ……」


 旦那様を心配するような顔をして、本音は自分が一人になりたくなかっただけ。

 こんな勝手で足手まといな私を庇って旦那様は──


「……死ねたら苦労はないんだがなあ」

「旦那様!」


 むくりと起き上がった旦那様の胸から、カランと音を立てて血のついた刃が落ちました。


 さきほどまでとは違う安堵の涙に咽びつつ私は、ここがお化け屋敷と呼ばれる本当の理由を知ったのです。

※不死だけど貧乏

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